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71 とある悪党の親玉の視察(その4)

まだ続きます


悪党の受難の日々の記録ですね


ちょっと前の苦労の話と今後のネタ振りです

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大豊作の麦畑を見て思った


大変だった


いや本当に





悪魔サラはどうした?


言うだけ言ってとっとと馬車に乗って帰っていったぜ


本人曰く「死ぬほど忙しい」だそうだ





・・・だったらわざわざ麦畑まで来て悪党親玉オレの相手をするな、と言いたい


居てくれない方が幸せだからな






最初はクソをまき散らす意味が判らなかった


おかげでオレの方が白い目で見られたぜ


部下からも街の人間からも


・・・よく途中で放り出さなかったと自分で自分を褒めてやりたい






今は判ってるぜ?


麦畑これのせいだって






でも誰がクソと麦を結びつけることをしただろう


いやないな


いままで誰もやったことなかったし、聞いたこともない






でもな大変だったのはそれだけじゃないんだ


街中のクソを集め始めた頃はキチガイ扱いだった


でも歩いて1時間とはいえ、街の近くの荒野に段々と草が生えていくとなれば噂が広がる


無料タダで集めたクソを使って農業するらしい


・・・ウワサっていうのは意味もなく真実を探り当てるから恐ろしいな







そうなるとタダでクソをやるのが惜しくなる人間ヤツが出てくる


人が得するのを黙って見ていられないのが人間の本性ってものだ




「金払え」


という訳だ





・・・悪党オレを脅す市民ってどうなんだと声を大にして言いたい


立場が完全に逆だろう





一人や二人だったら何とかなった


殴ればお終いだからな




ところが数を集めて押し掛けてくるとなると話は別だ


説得ぼうりょくが聞かなくなるんだ


・・・悪党おれたちの被害者の気持ちが初めて判ったぜ





悪魔サラ命令されたクソ撒きだけでも大変だというのに、さらに仕事が増えた


話し合いは平行線だというのが恐ろしい


金が絡むから当然といえば当然だ


絶対に解決できない案件だな





さすがにココまで来たらクソ集めもクソもないので


「もうやめましょう」


という言葉を遠まわしに遠まわしを重ねて悪魔サラに言った






・・・あの頃は疲れ果てていたな


もう死んでもいいや


ヤるならヤれって感じだったな


ひと思いにヤってくれ


そんな感じだった




だからできたとも言える


・・・今はもうできないだろうな





悪魔さらの返事というか指示は


「『旅人(の葉)』を届けている男爵様に相談しなさいよ」


だった





なんでこんなことも判らないの?


バカなの?


一度死んでみる?


そんな目をしていたな







スラムの悪党が男爵とはいえ御貴族様にお願いをする


太陽が西から昇ってもあり得ないことを言われた


いや思いつかないオレの方が正しい、と思う






御貴族様に言った途端バッサリ切り殺される未来しか見えない


それが判っているのか?


それとも悪党親玉オレを合法的に殺したいの?


そう思ったオレは悪くない





まあやったけどな


悪魔サラに言われた時点で拒否権はないんだよ


「No!」と言った途端人生が強制的に終わらせられるからな





仕方なく『旅人』を届けるってことで親しくさせて貰っているネックホールダー男爵様に相談してみた


もう死んだな


死刑台に上がっている気持ちだった




男爵様からのお言葉は


「私の名前を言いたまえ」


だった





トントン拍子に話が進んだのは嬉しいが


でもオレの中の常識ってなに?!、って感じだった






でも一つだけ判ったことがある


生きているって素晴らしい!

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