66 ネックホールダ―男爵の家出(その3)
執事の災難の巻です
ある意味自業自得です
-----------------------------------------------------
「そこをなんとかお願いします!」
執事は土下座して頼んできた
そりゃもう必死の形相だった
でも心が動かされないんだ
男爵の当主だというのに妻の母親に頭が上がらないんだ
尊敬する方が無理ってものだろう
でもな、貴族と平民の差ってのがあるだろう?
使える人間への最低限の礼儀を示せ、と言いたい
陰で「ごくぶつし(意訳)」とか悪口を言っているのを知っているぞ?
そんな人間が自分に不利益になるからってことで改心したと言っているんだ
だれが信じるかっていうんだ
だから頭を下げても『だから何?』としか思わない
『愛情』の裏返しは『憎しみ』ではなくって『無関心』だぜ?
いままで慇懃無礼な態度をを改めるとか言うよりも行動で示してみ?
一応、忠告をしておいた
ノブレスオブリージだ
・・・決してイヤガラセではない
「すみませんでしたっ!」
忠告を聞くと執事頭がさらに下がり、床に額がくっついた
いや『謝れ』と言っているわけではなく『とっとと帰れ』なんだが・・・
いや無理か
使用人が男爵の行動を決めるというのはどうよ?
それが普通だと思っている執事はどうよ?
ついでに今現在男爵のプライベートな時間を奪っているのを判っている?
印象最悪だぞ?
もう直接言った
バカでもわかるように
察してくれってのは無理そうだからな
それでも全然帰る気配がなかったんだからある意味凄い?
バカもここまでくると感心したな
もっとももう付き合っていられないから無理やり退場してもらうけどな
手を振って合図をした
今まで空気とかしていた男爵専属の従者が動いた
この従者は仕事が忙しいから男爵家とは関係なく個人的に雇った者だ
オレの言うことだけを聞くオレだけの私兵
職が無く結構悲惨な生活を送っていた
そこを雇い入れたせいか男爵への忠誠心がハンバではない
従順なだけではなく生活面でも色々と忠告 ~貴族なんて人の手がないと生活できない~ をする優れ者
使用人の鏡と言っても過言ではない
その従者が執事をつまみ出した
部屋からではなく宿から
言わなくても男爵の意を汲んで動けるところが凄い
掘り出し物だったな
-------------------------------------------------------
従者は主人公の手の者です
早い話がスパイですね
一国を相手にするんだから打てる手は全部打ってます
え?
男爵ならすぐに判るのでは?、ですか
所詮、御貴族様
平民は人ではありません
早い話、人間、見たいものしかみないですからね




