表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
56/237

55 とある旅人達の夜話

名もなき旅人達の話です


『旅人の葉』の宣伝とも言う



-------------------------------------


「おいっ、時間だぞ」


同僚に起こされた


ああ、もう交代の時間か


包まっていたマントから抜け出して焚火の方に行く





起こしに来た同僚はオレが寝ていた場所 ~枯れ草や枯れ葉を集めただけの簡易寝床~ にマントに包まって横たわった


ああ、退屈で長い夜がまた始まった







はじめまして、だな


オレは某商会で働いている下っ端だ


部下Aとでも呼んでくれ


・・・ということは一緒に不寝番するのは部下Bか?





当然下っ端だから街から街への荷物運びもやったりする


大量の荷物を積んだ馬車を数人の同僚で運ぶわけだ





ちょうど良いところに村があれば空き家か、納屋を借りて休むことができる


でも大抵は野宿だ




そこで一番問題になるのが不寝番だ


夜盗に野犬に魔物と脅威がてんこ盛り





・・・実は同業者からのイヤガラセの襲撃というのが一番多い


元手0で商品が手に入るのだ


やらない訳はない





まあ、そんなわけで二人一組の不寝番は必須だ





不寝番をする時に問題になるのが眠気だ


何もせずにただたき火の前で座っているだけ


たとえ同僚と話をしていても眠いモノは眠い


一番の難敵だ





そんな所に救世主が現れた


その名もずばり『旅人(の葉)』だ




普通に見える葉っぱなのだが、口に入れて噛んでいると眠気が無くなるという優れ物


少々値段が高いが瞬く間に広がった




自分の命がかかっているんだ


当然、皆が買いあさった


・・・葉っぱが乾燥しすぎると効果がなくなるという欠点があっても、だ





今日の野営は働いている商会は違うものの、同じ輸送仲間と合同だ


数が多ければそれだけ面倒事も減るからな





たき火の所にいって『旅人』を懐から出して噛む


口の中で何回も噛んでいると段々眠気が無くなってきた




<ペッ>


噛み砕いた葉は、地面に吐き捨てた


使い終わった葉は食べれはしないからな





・・・眠気覚ましの効果はスゴイが、朝になるころには吐き捨てたもので周りが一杯になり汚れまくりなのだけはいただけないな





そう思っていたら別の商会の顔なじみ ~順当にいけば同僚Cか~ が起きてきてきた


そして懐から見慣れないものを取り出す





長さが15センチくらい?


先端が大きくなっていて真ん中が凹んでいる


反対側は細くなっている




一体なんなんだ?


不思議に思い眺めていると先端の穴になにやら詰め込んた


そして太い枯れ草をたき火に翳し、火を点けたと思ったらおもむろに詰めたものに近付け燃やした






枯れ草をたき火に投げ捨てたと思ったら手に持っているものを一息に吸い込むと口から煙を吐き出した


なんなんだ?!


思わず聞いたな





手に持っているのは『パイプ』で、詰めたものは乾燥した『旅人の葉』だそうだ





旅人は普通、噛んでおしまい


目は覚めるが暇が多い





でもパイプを使うと


詰め込む


火を付ける


煙を吸う


燃えカスを掃除する


といった感じで手間がかかるが良い暇つぶしになるそうだ






おまけにすでに乾燥しているので長持ちする


また、ちょっとづつ燃やすから目が覚めている時間が長いという利点がある





なにそれ?


凄すぎる!






何処で買った?


思わず聞いたら旅人の葉を売っている貴族から買えると言われた





いや初めて聞いたぞ?!


じゃなくって絶対に買おうと思った


ちょっとお高いけど命には代えられないからな










・・・しかし最近の貴族はおかしい


そう思う





昔は見栄をはり高い買い物をするだけだった


そして支払いをしぶり値切る


あるいは踏み倒す


本当のクズ






ところが最近、ある貴族が旅人の葉を売り出した


・・・プライドを捨てて金儲けに走ったとうのが通説だ






旅人はもともと噂では知られていたが南の方の植物なので手に入りにくかった


遠くて運ぶの大変だからだ


でも貴族の力を使うと簡単に運べるようになるらしい





・・・貴族の力は万能だな


できないのは死者を蘇らせることくらい、と言われている





そんなわけで貴族は商売をはじめ、おまけにぼろ儲けしているそうだ


時代は変わるものである




その言葉を実感した




---------------------------------------------------


ネタ振り回です


仕込みは主人公サラです


時間をかけて国盗りです

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ