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51 とある親玉の側近の苦労

前話の三代目の金魚のフンをしている人のお話です


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「旅人(の葉)を御存じかしら?」


平気でそう言ってくる娘の度胸に驚いた




ウチは泣く子も黙る犯罪組織・・・のはずだよな?






あ、はじめまして、だな


スラムの犯罪組織の三代目の頭の秘書をしているセレムだ




まあ、秘書と言っても実態は何でも屋だな


ボスの教育から仕事の手伝いを始めとして、組織のトラブルに至るまで何でもやらされる


組織一番の貧乏くじだ





・・・先代の(十)二代目が引退する時に頭を下げられて頼まれたんだから仕方がないんだ


もう数年したら引退してどこかの村で畑でも作って余生を過ごせると思っているのはお約束だ





先日、貴族崩れのサラとかいう小娘がやっているアマン商会へのイヤガラセの依頼が来た


他の組織が暗殺者を送って返り討ちにあったとの話があった


他方では、ヤりに行ったのはいいけれど、行方が全く判らないヤツが出てきたとかもあったな


逃亡でもしたのか!?と追手がかかったが影も形も掴めなかったらしい


まあ、自分の所の失敗をベラベラ喋る組織はないから最後はどうなったか判らないが






でも、イヤガラセくらいなら見逃してくれるだろう


そう思って手配した


御貴族様どうしてもことわれないところからの依頼だったからな


今思えば、なんて甘い考えなんだ、って反省している




ウチの中堅二人がしっかりと潰されて返ってきた


文字通り完全に潰されて再起不能だ




医者に連れて言ったら


「どうやったらこうなるんだ?!」


と驚かれた





それはこっちが知りたい


(小娘は)教えてくれないだろうけどな・・・




医者への謝礼と薬代


働けなくなったのでこれからの生活費を出さなければならない


ああ、生活費はオレのポケットマネーだ


悪の組織はそこまで優しくはないからな




昔は人情があった


悪の組織でも、いや悪の組織だから、だな




世の中からあぶれた者同士が助け合って生きていた


最近は金、金、金で、人情なんて金にならないものは見向きもされない





組織を維持するには人情も必要だ


それが判っているから先代はオレを置いていったんだが若い三代目にはピンとこないらしい


先代は確実に子育てを失敗したな


まあ、そこそこ若いにもかかわらず、人情に厚いのもどうかと思うが・・・




まあ、長い目で育てて行こう


そう思う


オレも若い頃は結構ヤンチャしていて先代に迷惑をかけたからな


見捨てずにいてくれたから、なんとかまともに生きることができているんだ





そういう意味でも今回の失敗はイイ糧になるといいな


そう思っていた矢先、小娘げんきょうが訪ねてきた





何やら取引をしたいらしい


しかし、その態度の大きいこと、大きいこと


最近の若い者は誰彼かまわず喧嘩を売りやがる






おまけに威圧感がハンパない


目の前にいるだけで身体から力が抜けるは、息がしずらくなった


訪ねた相手に狂犬のような振る舞い






本当に最近の若いヤツラときたら本当に・・・

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