46 とある悪役Aの後悔
言いがかりをつけてきた悪役A目線のお話です
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「そうですね、迷惑をかけたらちゃんとお礼をしないといけませんね」
小娘、いやアマン商会長がニコニコして言っている
「お、おうっ」
オレの、いやオレ達の望んだとおりに進んでいる
でもなぜか背中が、いや身体が寒く感じる
厭な予感が・・・するでいいのか?
気を取り直して、ではなく取り直すためにもう一度考えてみる
現在、オレは仲間と一緒にアマン商会で仕事をしている
非合法活動だ
早い話、いちゃもんをつけて金をせびる、だな
言っておくが犯罪ではない
責められても口先三寸で言い逃れができるLLCだ
合法ではないが、犯罪でもない
いわゆるグレーゾーンというやつだ
アマン商会という最近羽振りが良くなってきた商会がある
出る杭は打たれる、なんてことわざがあるように当然嫉妬されたわけだ
まあテンプレだな
嫉妬のためギャフンと言わせたが、自分の手は汚したくない、なんてヤツらがでてくる
上は御貴族様から大きな商会、下は平民の同業他社だな
オレ達下層民ならば気にいらなければ喧嘩をふっかける、闇討ちする等々、いくらでもやりようはある
月夜の晩だけではないからな
でも偉くなると持つものが増えるため、捨てられない物が出てくる
そこでオレ達に仕事が回ってくる、というわけだ
もっともオレ達に直接、御貴族様達が依頼するわけではない
各地域のまとめ役が依頼を受け、部下に命じ、その部下がオレ達下層民の顔役に依頼し、最後にオレ達に話が来る、というわけだ
オレ達下層民は生きるためなら、なんでもやる
店に押しかけて、店員にぶつかり、怪我をしたと言って金をせしめる
買ったものが半分しか入っていなかった、あるいは虫が入っていた、でもいいがな
たまにではあるが、商会の荷馬車に襲撃をかける、なんてのもある
もっとも割高になるのでたまに、である
こちらは命がけだからあまりやりたくはない
言いがかりをつけるのは命の心配がないので楽な仕事だ
楽すぎて金を貰うのも気が咎める
でも仕事だからしっかり貰えるものは貰うけどな
ある意味、慣れた仕事なので段取りは大体わかっている
・・・難癖つけるのに段取りもクソもないんだがな
ところが、いつも通りに仕事が進んでいるのにもかかわらず、何故だか居心地が悪い
非常に悪い
「当然、商品をダメにした場合、きっちり代金と迷惑代と、御貴族様への補償の分をきっちり払ってもらいますよ?」
商会長がいきなり意味不明なことを言ってきた
「ああ、そのへんのブツは御貴族様の予約品ですよ?」
そう言ってオレの隣の机の上にあるガラス瓶を指差す
言っていることは判るけど、言っている意味が判らん
一体なにを言っているんだ?
そう言いたい、いや聞きたい
商会長の口元が笑っている
なんかヤバい?!
仕切り直しで、一旦引くか?
そう思ったら相棒 ~床に膝をつき痛がっているフリをしている~ が急に叫び出した
「目、目がっ!」
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次話に続きます
乞うご期待!
・・・期待を乞うというあたりが底辺作家らしい




