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44 とある酒場の店員のぼやき

騎士団のバカ息子、もとい、次男がいきつけの酒場の店員の話です


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<ガッシャーン>


個室の中からスゴイ音がした


やれやれまたアレか


オレ(某酒場店員)はため息をついた





ココはちょっとだけお高いけどその分美味しいお酒が飲める店だ


ついでに美味しいツマミもあるよ、だな


以上、お店の宣伝だ





ではなくて、結構人気がある


おかげで変なヤツも来る


その筆頭が騎士団長の次男とその愉快な仲間達





一番高い個室を占有した上に、毎回大騒ぎして部屋をグチャグチャにする


最初に個室を使った時には、金貨10枚もする高い壺を見事に割りやがった


今まで10年以上飾ってあって無傷だったのに、である




ついでに巨木から切り出した自慢の一枚板のテーブルはボコボコ ~酒のジョッキを叩きつけるように置いたらしい~ だった


その惨状を見た途端、店主は床に膝をついた


なにせオーナー自慢の一品


それが無残な姿になっていれば、な




素人目にも逸品だというのがわかるんだ


どう説明しようとオーナーは絶望するってものだろう


・・・店長、お疲れ様?






何度か問題を起こされたので控え目に苦情を言うと


「オレに意見するとはいい度胸だな、ああ?」


そう言って剣を突き付けてきた





本当に困ったものだ


オレは店長でなくて良かったと思ったな


偉くなるのも考えものだ




今までは貴族であっても節度を持つ人達ばかりだった


多少、いや結構お高い値段設定なのでそこそこの人達しかこなかった


あと、裕福な平民 ~商人やら職人、芸術家等々~ も以下同文




・・・あれ、オカシイのは愉快な仲間達だけ?





そんなクズどものに目を付けられたのがウンのつき


酒を注ぐタイミングが遅いと給仕♀に絡んだ末、体中を撫で回すは


給仕♀にお詫び踊れ!、とか無茶ぶりを言い出すは


拒否すると服や下着を少しづつ切り刻んだりして無理矢理踊らせたりするは


料理の味付けがオレ様の好みではないと料理人を呼び出し土下座させるは


意味もなく ~その場の勢いで?~ 隣の個室に突撃するは


その他、考えられる限りの迷惑行為のオンパレード


酒場なので酔った客がいろいろとやらかすのは日常茶飯事だが、ここまでヒドイのはめったにない




おまけに個室であるのをいいことに何やら犯罪の話をしだす始末


手下に向かって、どこかの商会の会長を襲えとか、建物に火をつけろとかがボソボソと小声で言っているつもりだろうが、酒に酔っていつの間にか大声になっている


・・・酒の上での戯言なのか、本当に犯罪の計画をしているのか断定できないからタチが悪い






客の会話の内容を洩らさないのは酒場のルールだ


それを知った上で、普通は聞かれたら良い話しかしないのが大人というものだ


要は重要な話は誰に聞かれているか判らない酒場ではしない、だな




平民だって大人になるくらいには誰に教わるわけでもないが身に着く常識


ところが『愉快な仲間達』、いや次男様は知らない、いや、わからないようだ





普通は犯罪に走ろうとしたら止めるだろ?


仲間は止めないどころか、自分に火の粉がかからないように友達を犠牲にしやがった


こいつらの親は何を考えて子育てしてきたんだ?


問い詰めたいぞ


いや、しないけどな


御貴族様と平民の間の垣根は高くて厚いからな





しかし、オレはいつまで個室の前で待機していればいいのかね


酒が足りないやら、○○の料理を出せとかの給仕の仕事だけでなく、他の人が近寄って間違っても犯罪の話を聞かないようにしているんだ


いくら金を払えばお客さま、と言ってもこんなくだらない仕事をしているくらいなら、皿でも洗っていたり、酔客のゲロを片づけていた方が商売人として何倍もマシなんだけれどな

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