32 ワンブリッジ家バトラーの災難(その4)
学園でサラをいじめていたホークマスター子爵家令嬢の元婚約者(ワンブリッジ家)の執事バトラーの話の最終話です
次からは別の人の話になります
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「やさしく言っていれば調子に乗りやがって!(ギロリ)」
思いっきり睨まれました
たった数日、いや数週間のあおりを受けたくらいで感情を乱すとはなさけない
さすがエセ貴族
あ、エセ貴族というのは平民でありながらお貴族様の権力を笠に貴族気取りの態度を取るクズのことです
貴族の下位互換、要はバッタモノですね
本当の貴族なら100年前の失敗でも昨日のようにネチネチと攻めます
1000年後でも機会があるごとに攻めていることでしょう
嫌がらせはできるだけ長引かせる
上の人間に根回しして消火しても、忘れたころにまた再燃
商国の人間からは『貴族』と書いて『人間のクズ』と読むとさえいわれる外道っぷり
まあ血筋やら年月やらしか誇れるものがないんですから当然です
え?
今までの貴族の話とはちょっと違う?
それはそうです
彼らはまだ本気を出していませんからね
貴族達が本気になったら私なんて一発で消されますね
どこからともなく黒ずくめの男たちがやって来て、ヤられて、音もなく去っていく
まさに瞬殺です
おそらく目撃者もいないでしょう
早い話、貴族単体だと良くって、貴族達だとアウトです
私は基本的に貴族個人にしかけんかを売ってないはずです
だからまだ生きてます
・・・暗殺や謀殺されそうになったくらいですね
貴族にとっては只の挨拶
もしも私が死んでも
「あれ?これくらいで死んじゃった」
くらいで終わることでしょう
いじめをされていたころにここまで成長していればよかったんですけどね
群れた貴族の子供達に気をつける
それくらいわかりなさいよ!
過去の自分のバカさ加減に怒鳴りたいです
私は若かったですね(しみじみ)
痛い目を見てようやく貴族らしくなりました
・・・もっともすでに貴族籍ないんですけどね
そんでもって(私の)命(だけ)を賭けた遊戯をやっています
それなのに何を考えているのか、しゃしゃり出てくるピエロさん
同じ平民くせに、貴族の名をいいことに主導権を取り、「これくらいでカンベンしておけや!(意訳)」といって問題を解決しようとする
全然判ってないですね
この緊迫した状況にもかかわらず、無知と無能をデカデカと掲げて乱入してきましたよ
大体、苛められた人間は絶対に恨むことを辞めないですよ
当時の屈辱だけでなく、その後、何度怒りのあまり眠れない日々を過ごしたことか
枕を思いっきり叩いた夜を忘れることはありません
その対象と婚約したってことは一心同体です
もちろんその関係者も、です
私からすると自分からヤッてくれと火の中に飛び込む愚かなピエロさん
まあ、そんなことを説明しても「それくらいで!」とか自分勝手な理論で騒ぐでしょう
・・・すでに眼の前で騒いでましたね
まあ、仕方がありません
貴族>>(越えられない壁)>>平民
ですからね
その御貴族様の権力を平民の自分が執事の立場で代理で使えるとなれば図に乗るのも仕方がありません
だからといって言いなりになったり手加減なんてしませんけどね
何と言っても私には野望があります
エセ貴族ごときで止まる私ではありませんよ?
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これにてエセ貴族様のお話は終わりです
その後のサラからの悲惨な報復というか、報復のまきこまれによる<ピー(自主規制)>があります
『死んだ方がまし』というか『もういっそ殺してくれ!』って感じになりますね
その辺は次からの別視点でお楽しみください




