30 ワンブリッジ家バトラーの災難(その2)
前話の続きです
つまりは学園でサラをいじめていたホークマスター子爵家令嬢の元婚約者(ワンブリッジ家)の執事バトラーの話のですね
ただし主人公目線です
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「貴族様の決めたことですので私にはどうにもなりませんわ」
そう言って頭を下げた
1秒
2秒
5秒
10秒
30秒
「頭をあげなさい」とか「もういいです」といった許可の返事がないので頭を下げたままです
ひょっとしてどう対処していいのか判らなくて困っているのでしょうか?
でも助けてあげませんよ?
だってあなたも復讐の対象なのですから
彼女に関係する者は全員、敵とみなします
・・・いちいち区別するのはめんどくさいですからね
しかし、どうやってケリをつけるつもりなのでしょう?
ちょっとワクワクしてきましたね
事の起こりは、学園にいた頃のイジメです
最初は「地味」だとか「暗い」とか言われたい放題でした
学園では身分に囚われないというお題目があるからでしょうか
男爵の三女とかでも平気で言ってきましたね
・・・人間としての品位はどうなのか?、と問いかけたかったですね
僻地の領地で祖母に真面目一徹になるように育てられたのだから仕方ありません
ただ普通に生活しているだけで、イジメられましたわね
・・・王都で過ごしている人達は何を考えて生きているのでしょうか?
ウチの領地は悪く言えば僻地、よく言えば風光明媚な田園風景です
おかげで隣の領地までが遠いとなれば同じ貴族で、かつ、同世代の友達なんてものは皆無です
人間関係の構築の仕方に問題があってもしかたありませんわね
早い話が、同世代に対しては社交性が低い、です
・・・祖母と同じくらいの年配の方ならなぜか好かれるんですけどね
悪意満載の言葉には言い返しませんでした
祖母から『そんなはしたないことはしない』ように躾られましたので
おかげさまで調子にノルノル
イジメは段々段々エスカレートしていきました
最後には男子生徒まで広がりましたわ
男子生徒にはペン入れを取られるという定番のイジメをされましたね
「返して!」と取り返しに行くと「ヘイ!パス!」とかいってペン入れを他の男子生徒に投げ渡す
そして「オレもってないじゃん!」とヘラヘラ言う
昔からあるお約束です
やった方はほんのちょっとのいたずら
次の日には忘れていることでしょう
しかしやられた方は10年後、いや死ぬまで忘れることはないでしょう
周りにいて止めなかった者も同罪です
そんな最低の日々のきっかけを作った人間への仕返しは絶対ですわよね?
え?
逆恨み?
人の嫌がることをして楽しむ人間が平気で生きている社会ですよ?
なにやっても合法ですわよね?




