3 王妃様の苦悩
目が覚めると明るくなっていた
ああ、また一日が始まってしまった・・・
ベッドの中で物思いにふけてしまう
なぜこの国の王妃だというのにこんなに憂鬱な気分にならなければいけないのか・・・
それもこれもすべて息子のせいね
できるかぎりの良縁をと思い婚約者を用意してあげたというのに、勝手に婚約破棄をする始末(涙)
学園でのことなので把握するまでに時間が少し懸ってしまった
おかげで王宮にいる私の所まで話がきたころには婚約者のサラの行方が判らなくなってしまっていたわ・・・
そこまでなら王族の権力と国王派の結束でなんとかできた
しかし香水が作れなくなったのが致命的ね・・・
サラと初めて会ったのは私のお茶会でだったわね
私のお茶会に国内の貴族の令嬢を招いたのは少しでも王子の立場を強くするためだった
国王派の有力貴族が進めてくる令嬢といったら『よくもここまで!』と呆れる者ばかり!
王妃の私に露骨に媚を追従をしてくる令嬢
一度お茶会に招待しただけなのに王子の婚約者気取りで傲慢に振る舞う令嬢
挙句の果てには、私の名を勝手に使う者まで出る始末
あきれて物も言えなかったわ・・・
私は隣国から嫁いできた言わばよそ者
例え隣国の王族であったとして国内の貴族をまとめるのには苦労した経験がある
だから王子には少しでもそんな苦労をしないようにとできるかぎり良い者を与えたかった
サラの最初の印象は地味だったわね(笑)
でも決して耳触りが良いだけの御追従は言わなかった
御祖母様の元の育ったからかしら?
上に立つものは範となるべき言動を心掛けよ!
昔の古き良き貴族の矜持ね
あと、香水には驚いたわね(苦笑)
この国では香木を燃やした煙を衣服にたきこめたり、香草を乾かしたのものを入れた袋を携帯するのが一般的
でもあの子は最初っから薔薇のいい匂いがした
招いたお茶会でも他の令嬢が気にしてチラチラみていたわね(笑)
そこでお茶会が終わるとすぐにサラを呼びとめて別室に連れ込んだわ
殿方が恋人を部屋に連れ込む気持ちが良く判ったわ
スリル満点ですもの(笑)
そこで薔薇の香水のことを聞き出した途端、すぐに私御用達にしたのは今でも最上の一手だったと自慢できるわ
おかげで国内の貴族をまとめることができたのだから
敵対する貴族派の婦人と舞踏会で和気あいあいとまではいかないものの、良好な関係を築けたのだから
・・・もっとも裏での足の引っ張り合いはそのままだたりしたわね(笑)
かなり無理をして王子の婚約者にしましたわ
おかげでサラには香水を寝る間も惜しんで作らせるという重労働をさせてしまったわ(汗)
悪いことをした自覚があるので謝ったらすぐに許してくれたわね
目の下にクマが出来ていたというのに(汗)
そんな子を棄ててあんなのを連れてくるなんて・・・
おまけに先日は謝りに行っておきながら、逆に喧嘩を売ってくる始末
ああベッドから起きたくないわ・・・
物語の御姫様のように、このままずっと寝ていていいかしら・・・