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26 とある侍従の独り言

ちょっと前に王子様を叱り飛ばした侍従のお話です



決して某白い箱のように作業が遅れたからといって総集編に走ったわけではありません


ほんとですよ?

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「サラ=リッチバッソル元伯爵令嬢か、困ったものだな」





<バサッ>


読んでいた報告書を机の上に放り投げた





<ギシッ>


イスにもたれかかると背もたれが悲鳴を上げた


だがかまわずにもたれかかり、頭の後ろに手を組んで天井を見上げる


・・・考え事をする時はなぜかこの姿勢が一番





報告書の中身を思い返してみる



リッチバッソル伯爵家総領娘(当時)


弟がいるにもかかわらず総領なのは一度総領から外れると二度と元にもどらないから、だな





生まれると同時に総領の届け出が出された


数年後にギルバートが生まれた


ここで弟を男だからという理由で総領にして、病気で死んだりしたら、一度不適格として継承権を取り下げた娘を再び総領に戻すのはかなり手間がかかる


だから確実に弟が伯爵家を継ぐことになる直前に総領の座を移す


こんなところだろう





貴族は相手の足を引っ張ってなんぼ、だから、だな





もっとも弟はそれがわからずにいつまでたっても総領になれない不満を姉にぶつけた訳だ


3年、いや今なら4年前か、俗に言う『学園婚約破棄事件』の当事者として




簡単に言うと


この国のナイン=バーチェリバー第一王子がマーガレットとか言う男爵令嬢を気にいった


地味な婚約者のサラと違い、いろいろと華やかだから魅かれたらしい


衣装とか、化粧とか、いけない遊びとか、だな






さすが下町で平民として育っただけのことはある


見事に手練手管と身体を使いやがった


温室育ちの王子様はひとたまりもなかった




どうしても手に入れたい王子様は見事に婚約を破棄したというわけだ





協力者は6人


それぞれがサラからの報復で悲惨な目に遭っている





アン=フォーマルハルト子爵令嬢


同家は警備隊を使って事件をでっちあげた賠償として金貨1000枚を支払うことになった


その際、不足分として家宝の『幸運の石』を売却


家宝は見事にバラバラにされ、それぞれがアクセサリーとして主に敵対する貴族派に売られた


そのせいで一族の結束が乱れ、今も紛争中


原因となったアン子爵令嬢は日々、針のむしろの生活を送っている





バーバラ=カーライル男爵令嬢


兄が婚約者から婚約破棄された


理由はサラからの報復のあおりを受けたため


血縁でなくても、少しでもつながりがあれば関係者とみなすとのサラからの宣戦布告の見せしめである






マージョリー=ヌケ男爵令嬢


サラの報復から逃げるため、修道院へ行った


しかし途中で誘拐され行方不明になる


後日、属国で見つかるが身も心もボロボロになっており社会復帰は困難と思われてる


なお、誘拐犯に関してはまったく情報がない





ギルバート=リッチバッソル伯爵家(継承権第3位)


同家はサラから完全に敵認定されているせいで、財政的に困窮している


使用人の流出が止まらない状況に困惑している




騎士団長次男(笑)


無抵抗のか弱い女性を床に押したおして喜ぶ人間は騎士としてふさわしくない


それが理由で騎士団の見習いに据え置き


当分正式に騎士になる見込みがない






副団長子息(報復未掲載)


騎士団長次男の手下その一


騎士団長次男と同じ理由で騎士になる見込みなし


そのせいでサラに恨みを抱いているので要注意







いずれも自業自得だが、バカ王子も似たようなものだ


おまけにどこかのバカな男爵令嬢を客室にむりやり入れて豪華な生活をさせているというので王子の予算がガンガン減っている





あと未確認だが、王宮のものを売り払っているというウワサが囁かれている


大丈夫だよな?


本当なら大問題になる、よな?


王子付きの侍従の私まで巻き込まれるのはカンベンしてほしい






いや、無理か


王子様に何かあったら監督不行き届きとかで適当な理由で責任を押し付けられる未来しか思いつかない




結構やばいかも?


どうしようか・・・



考えても全然いい案が浮かばない・・・

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