24 とある失踪令嬢のおとうさま
失踪していた令嬢の父親の話です
某所に匿う為に、カモフラージュで修道院送りにしました
ところが途中で行方不明になりました
ようやく見つかったと思ったら・・・
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「いや~~~~っ!」
娘が私を見るなり頭を抱えて叫び出した
しゃがみ込んで身体をできるだけ小さくして何かから身体を守ろうとしている
身体がガクガクと震えている
「御当主様!お控えください!」
メイド長(経験年数27年平民、?歳)が私(貴族家当主、32歳)を娘から遠ざけようとしている
グイグイと身体を押して、部屋から出された
・・・小さいときから仕えているので遠慮がない
まあ、娘が父親を見るなり錯乱すれば誰だって原因(父親)を追い出すのは当然ではあるが・・・
<バタン>
閉まる扉の音を聞きながら、どうしてこうなった、と後悔をした
ことの始まりは王子からのお願いだった
寄り親の貴族から使いが来て、王子の婚約を破棄させるための手伝いをするように命じられた
当然ではあるが、拒否権はない
寄り親の貴族が白といえば、カラスでも白になる
これが貴族の常識
娘に命じて婚約者の非道を告白させた
・・・偽証しろと言うだけで詳細は丸投げ、うまくいかなかったら責任を取らされる、こっちの身にもなってくれと言いたい
自分達(上級貴族)は命じるだけ、決して汚れることはない
一方、私達(下級貴族)は命じられるままに右往左往するだけ
そうして時折、私の娘の様な犠牲者が出る
娘に偽証させたのはいいのだが、その報復をサラから受けたわけである
いや、現在も報復の真っ最中だな
サラの専売の香水を盾に、経済封鎖やら、イヤガラセやらが有象無象に来ている
上のやつらはまったく庇ってくれないところがある意味酷い
まあ、大人はこの年になると『こんなものか』とあきらめて、嵐が過ぎ去るのを待てばよい
しかし、年が若い娘にとっては耐えがたいものがある
見る見る憔悴していった
だから娘を守るために、国一番厳しい修道院に行かせた
もっともフリだけで、安全な領内の某所に匿うためである
そうしたら娘が攫われた
極秘に、腹心の者だけで計画していたにもかかわらず、である
そうして見つかったところ、男を見ると錯乱するようになっていた
・・・一体、何があったというのだ?!




