231 月の雫(その3)~ガゼル=フロスト編~
「ああっ」
娘が床に崩れ落ちたが手を差し伸べることができなかった
なにせ絶望に叩き落した原因なのだ
手を差し伸べられても逆に困られることだろう
そう思うと手を出すことができなかった
無力な父でスマン
そんな思いで一杯であった
でもどうしようもないのだ
最近では貴族が絶対という価値観が薄れてきている
逆にお金がすべてといった風潮がある
貴族という地位に胡坐をかいてきたせいで今となっては時代の変化に追いつけなかった
変われなかったものは置いてゆかれるだけ
そのツケを娘に押し付けることになったとしても家の存続のために涙を呑むしかなかった
といった貴族家当主としての判断をする一方、娘を持つ親としての苦悩も湧き上がってくる
だれが好き好んで娘よりも年上の男に可愛い娘を嫁がせたいと思うものか
掌中の珠である娘を差し出さなけらばならないことに心が張り裂けそうなくらい痛い
一体我が国はいつからこんなことになったのだろうか
時代についていけない自分を不甲斐ないと思いながら、責任を押し付ける原因が他にあると思いたいせいかそんなことを思ってしまう
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すべては主人公のせいです
お金至上主義になったのも主人公のせいです
ちなみに無理矢理嫁がせられる娘のための媚薬を作ったのも主人公です
打てる手をすべて打つとどこかでピッタリ合致して不幸になる貴族が居たというオチですね
これからそんな貴族が多くなっていき国が衰退することでしょう




