192 ネックホールダ―男爵家の小ウサギ狩り(その6)
「年寄りは手足が冷えて眠れないんじゃ」
なるべく情けなさそな声で言ってみた
もちろん困った顔をしてじゃ
そして痛みを堪えるような雰囲気
完璧な演技じゃった
自画自賛したのも当然じゃ
伊達に歳はとっておらんのじゃ
なぜこんな白々しい演技をしておるかというともう夜になったからじゃ
夕食を食べて風呂にも入った
あとは寝るだけじゃ
「おやすみなさいませ」
メイドの少女が部屋を出て行きそうになった
今まで一緒にいたのに居なくなることに気が付いたワシの頭は結構もう碌しておるのかもしれん
まあ棺桶に片足突っ込んでいるから当然とも言えるのじゃがな
そこでワシは思いついたのじゃ
添い寝をして貰う
なにせネックホールダー男爵のウサギ狩りはその内容は秘匿されておる
貴族といえば噂話に明け暮れるのじゃがまったくないのじゃ
どうしてなのか?と教えて欲しいくらいじゃ
まあ今回はそれを利用するのじゃ
思いっきり欲望を解放することにしたのじゃ
一度小さな欲望 ~少女をメイドにして愛でる~ をしてしまったら後はズルズルじゃな
もう欲望を止めることはできないのじゃ
でも後悔も反省もしないのじゃ
かくして添い寝が実現したのじゃ
実にいいの
温かくて柔らかくいい匂いがする
薄い夜着越しの感触が実によい
天国は死んだあとに行くものじゃと思っていたのじゃが地上にあったのじゃな
・・・実に惜しい
ワシは今まで数十年近くも無駄にしてきたのじゃな




