184 ネックホールダ―男爵家のウサギ狩り(その13)
婚約破棄した男爵家の息子の目線です
婚約破棄の舞台裏です
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「申し訳ないが婚約(の予定)を無かったことにして貰いたい」
そう頭を下げると男爵と男爵夫人は驚いていた
そりゃそうだろう
結構順調に話が進んでいたんだ
ところがいきなり将来の婿(予定)がいきなり屋敷を訪ねてきて、応接室に通したと思ったら、お茶を飲むことなくいきなり婚約破棄をしてきた
誰だって驚くだろう
いやオレがやられたても絶対に驚く
・・・なんでこんなことになったんだろう?
いややっているのは俺なんだけどな
今回の婚約話が世間に広がった時、友人の一人から忠告されたんだ
「心から望んでいるならば止めないが・・・」
俺ははっきり言って真面目だ
父親や長男の不興を買ったら家から放り出されるから真面目にならざるを得なかったとも言う
まあただ単に遊ぶ金がなかっただけなんだが
そんな訳で清貧を貫くと噂話に疎くなる
だから婚約者の悪い噂とかを聞く機会がなかった
・・・父親とかが調べたはずなのになんでだと言いたい
まあグレーな噂を調べられるかというと疑問だけどな
そんな時に友人の男爵家の次男からの忠告があった
割と真面目に忠告されたんだが詳細は教えてくれなかった
「勘弁してくれ」
と口が固かった
そりゃそうだ
グレーな噂を話してもしも間違っていたら大事だ
なにせ婚約話が一つ吹っ飛ぶのだ
後々まで恨まれること間違いなし
俺でも絶対に言わないだろう
一体何があるのだろう?
そう思って調べたのだけれどなぜだか判らなかった
いや調べようとすると誰かが邪魔をしていた
貴族のはしくれの男爵とはいえ、それでも貴族は貴族だ
そう簡単に邪魔されるような存在ではない
それがやんわりと邪魔されている
厄介事の匂いがプンプンしてくる
最初は婚約者の父親のマタ―男爵か?と思った
でも男爵だったら自分の娘の醜聞は消しに行っているだろう
中途半端にグレーな噂を撒いた上に、邪魔するなんて手間はかけないはずだ
なら誰だ?
裏で糸を引いている存在がいる
だけど姿を見せずに隠れている
このまま行くと破滅が待っているかもしれない
いやろくでもない未来しかないだろう
そう思い破談にしようとしたのだが失敗した
そして今、婚約者の父親に胸倉を掴まれている
・・・あんたの娘は悪い噂があると正直に答えてやろうか?




