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183 ネックホールダ―男爵家のウサギ狩り(その12)

やられちゃった令嬢目線です


とことん運がありませんね


まあどこかの誰かが運気を下げているんですけどね


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「申し訳ないが婚約を破棄させて頂きたい」


婚約者が我が屋敷を突然訪ねてきたと思ったらいきなり頭を下げてきましたの





そうしましたら


「ふあっ・・・」


とお母様があまりのことに崩れ落ちました





一方、お父様は


「どういうことだっ!」


婚約者の胸倉を掴んで怒っていました




そして婚約破棄を告げられて茫然としている男爵令嬢わたくし




見慣れたはずの我が家の応接室がまったく知らない場所になっていました


一体なにがどうなっているのでしょう?








ちょっとだけ簡単に説明をさせてくださいな




貴族の婚姻というのは家同士がつながることを意味します


そのため知り合いの家や、橋渡しの世話役を介して慎重に行われます


時には人を使って調べることもあります


いえとことん調べる、が正解ですわね




現在だけでなく過去に遡って調べます


結婚した途端、過去の罪が暴かれて連座して処罰など絶対に嫌ですもの




そこまでして婚約をしました




縁が繋がることを前提に進んでいる領地での話もあります


あるいは新たな婚姻の話もありましたね


そんなふうに両家の親戚までを巻き込んでいます





ここまで進んでしまった婚約はそう簡単に破棄できません


というか破棄できるものなのでしょうか?


とてもできるとは思えません





婚約破棄します


判りました


そんなのが許されるのはお芝居の中だけですよ?





困難が予想されるだけではありません


「あそこの娘には一体どんな瑕疵があるのか?」


などと事実無根の噂を面白おかしく広められることでしょう




いや絶対にしますね


貴族にとって他人の瑕疵ほど楽しいものはありませんもの




お母様はそれが容易に予想したためショックで崩れ落ちましたわ


いえわたくしも一緒に倒れられたら、と思いましたわ


若さが憎いですわね





お父様にしても悪くないのに親戚中に頭を下げて回らないといけないでしょう


目の前にいる若造こんやくしゃの胸倉の一つも掴みたくなることでしょう




「貴様のせいで、せいで、クソクソクソ」


・・・お父様が壊れていました




壊れるはずのない婚約が壊れてしまいました


一体なぜ?と思った時、わたくしの心の片隅でひとつの思いが浮かび上がりました




まさかアレがバレてしまったのかしら・・・、と






心の中に不安が広がりますが聞くことはできません


隣には両親がいますし、もしいなくても怖くて聞けません


予想が当たっていた場合、わたくしの人生の終了が確定してしまいますもの






ガクガクガク


わたくしは震えることしかできませんでしたわ

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