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160 ウオリック兄弟(その14)

ウオリック兄弟の兄のヒューイット目線です


子爵家の執事様とご対面?


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「あなた方のものはすべて引き取ってきましたので御確認下さい」


子爵様の執事に案内されて泊まっている客間に行くと男爵家の部屋にあったはずのものが山積みされていた



・・・おいおい







時間を少し戻そう




子爵夫人が男爵家への断罪していた


もちろん俺達兄弟のもの ~つまりは子爵夫人達からの贈り物~ を男爵家の使用人達が盗んでいた件だ




男爵達が米つきバッタのように頭を何度も下げまくっていた


俺達兄弟は部屋の壁際で立って聞いているだけなので暇だった


一体いつまで続くんだろと立ちすぎで足が痛くなってきていた頃に顔見知りの執事が部屋に入ってきて子爵夫人に小声で報告した





一体なにが起っているのかね(んだ、ですの)?


そう思ったのは、加害者側の責任者の男爵達と、被害者の俺達兄弟だけらしい


一緒に壁際に立っているほかの子爵家の使用人達は事態についていけている顔をしていたからな





『???』と頭をひねっていると俺達兄弟だけが執事様に連れ出され泊まっている部屋に案内された


それが冒頭のシーンだ




Q:男爵家の自室にある荷物がなぜ子爵家の客間にあるのでしょう?


A:執事わたしが運んだからです




・・・男爵が子爵夫人から怒られているという極めて短時間でこの展開


正直呆れた


仕事が早すぎるだろう




開いた口が塞がらなかった


有能を通りすぎてちょっと怖い


なにこれ?


貴族、マジで怖いわ


正直な感想だ




絶対に努力する方向を間違えていると思ったね




こちらの困惑をよそに


「盗られたものの一覧をお出し願えますか」


子爵家の執事が訪ねてきた




子爵家の執事のくせに平民おれたちに丁寧な言葉と態度


おまけに笑顔つき





いわゆる『お願いという名の命令』というやつだ


「はい」と答える以外に選択肢がない




展開が速すぎて気持ちが悪くなってきた


心と体が事態に追いついていない


でも条件反射で「はい」と答えれたオレはある意味凄いといえるのかもしれない





そう心の片隅で思っていると執事様から次の質問が飛んできた


「どうやってするのですか?」




・・・一体平民に一体何を求めているのだろうと言いたい


平民なんて馬鹿で阿呆で屑だろう


子爵家の有能すぎる執事様と同じレベルの仕事求められても困るというものだ


いや逆に展開が速すぎて居場所がなさすぎると文句を言いたいほどだ




ところが有能すぎる執事様は、平民おれたちの困惑をよそに自分しつじさまと同等の成果を求めてきた




・・・何がなんでも盗品のリストを俺達兄弟に作らせたいようだ


一体何がしたいんだろう?


聞きたいけど聞けない






「え~っと、手帳に書いた備忘録を見てでしょうか?」


執事様の再三の質問にそう答えることができたのは幸運だったと思う





なにせ執事様はようやく満足したようで


「はやめにお願いいたします」


というお願いという命令の言葉を残して部屋から出て行ってくれた





「「は~」」


弟と一緒に寝椅子にへたり込んだ





男爵家の馬鹿な使用人達の相手も大変だったが、有能すぎる子爵家の執事様の相手も大変だった


普通の人達はどこに居るんだろう?と思ったオレは悪くない




一息つくと、俺たちの私物 ~山のように積まれたかつての贈り物の数々~ が目に入った




ぜんぶ調べた上で男爵家の使用人に盗られたものを書きだす?


気が遠くなる仕事が残っていた





贈り物を盗られたと騒いだ俺達兄弟が悪いのか?


泣き寝入りして有耶無耶にしなかった俺達兄弟が悪いのか?



どっちだろう?

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