156 ウオリック兄弟(その11)
兄弟の長男のヒューイット目線です
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長椅子に浅く座る子爵夫人
その前には男爵夫人が平伏している
ああ、一体いつになったら終わるんだろうと俺は思っていた
いや俺が悪いことは判っている
子爵夫人に告げ口したからな
でもまさかここまで怒るとは思ってもみなかった
謝るから誰かなんとかしてくれ、と思う
まあそんなささやかな望みが叶うことはなかったがな
この世界、権力と金がなければどうにもならないと身にしみた
そんな訳で子爵夫人は今まで見たことがないほど厳しい顔をしていた
まさに般若といってよかった
マジで怖かった
そう思っていた時もあった
でもお貴族様を舐めていた
これくらいで終わる訳がないのだ
この後、お貴族様が真剣に怒った時の本気を見た
はやい話、男爵の呼び出しで空になった男爵家に執事が突撃して嫌がらせをしていた使用人たちを肉体的精神的にぼこぼこにしていたという訳である
盗んだ帽子は元に戻されていることもあり
「ヒューイットの気のせいです!」
などと言い訳をしたようだったが子爵の執事には通用しなかったようだった
・・・一体どうやったのか聞いてみたい気がするけど怖いため聞けなかった
だって男爵が帰ってきたら身一つで紹介状もなく叩き出されるそうだ
仕事が速すぎ
何が起ったのか、いや何をしたのか想像できなかった
おまけに他の貴族家で働いている使用人の親兄弟も同じ待遇で解雇だそうだ
泥棒の身内は怖くて雇えない
それが理由
・・・お貴族様というのは自分に敵にまわった人間には一切容赦がないな
ある意味自分の欲望に忠実でかえって清々しい?
しかし今日からどこで暮らせばいいのかね
いや今日は子爵家にお泊りだから明日からが心配だ
一応最終避難場所として孤児院は確保してある
でも切り札は最後まで取っておくものだ
使わないことに価値がある
まあ今回のことで行き場をなくしたら使うしかないんだけどな
とりあえず今夜は客間に忍んでくる子爵夫人相手に腰を振りまくるのは確実?
御機嫌取りをすればなんとかなるのかもしれん?
張りがなくなってきているどころか弛みまくりの肌を夜、閨で舐めまわせば良いのか?
・・・言っておくが好きで舐めまわした訳ではないぞ?
客間で寝ていたら夜中に忍んできて御奉仕されるように言われたのだ
平民に選択肢はないと言いたい
それもと一晩中腰を振れば良いのか?
前から子爵家への引き抜きの話があったから何回もイかせれば思い出してくれるのかな?
とにかく生き残るために頑張るしかない
因果応報
人を呪わば穴二つ
とは良く言ったものだ
男爵家で受けた教育のおかげ?を実感した
・・・こんな実感はいらない、とつくづく思った




