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153 ウオリック兄弟(その8)

ウオリック兄弟の兄目線です


再度子爵夫人から呼ばれたのでお出かけする所です


でも大切な帽子がなくなっていたようです


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「ないっ?!本当にないっ!」


子爵夫人の家に呼ばれているため以前夫人から頂いた衣装一式を着ようと衣装部屋に入った


シャツとズボンと上着を着て、最後に帽子をかぶろうと帽子ケースを開けたら中が空だった


あまりのことに思わず「ないっ」て叫んでしまった




「兄貴、どうした?」


弟のジャックが帽子ケースを覗き込んで固まった


そりゃそうだ


あるべき帽子が無いんだ


それも出かける直前




固まるのも無理がなかった


いや固まったのはオレも同じなんだけどな







・・・あ~そうきたか


思わず納得した





犯人は男爵家このいえの使用人だろう


なにせオレ達兄弟は嫌われている


元孤児な上、顔で男爵夫人にとり入っていればそりゃ気にくわなくもなるだろう





だが孤児なのは本当だが、とり入ったのは間違いだ


正しくは買われた、だ


孤児院に支払われた寄付金によってな




まあ孤児院は金がないから院長の選択は当然だ


幼い子供達が腹をすかさなくて済む


・・・というのは建前で半分は院長の酒代になっていることだろう





オレ達兄弟の引き取り先は仮にも男爵家なのだ


隙間風が吹く部屋や具のほとんど入っていないスープよりはマシ


うまくいけば使用人になれるかもしれない


そうしたら金を持ってこい


銭ゲバの院長の声が聞こえてくるようだ





まあいい暮らしを得るかわりに使用人からの嫌がらせがあるんだけどな


後から蹴られるは嫌味を言われるはスープが少ないはと嫌がらせのオンパレードだ




まあそれくらいなら許せる


今までと同じだからだ


孤児院に居ると世の中の嫌なことすべてが体験できるんだよ




でも子爵夫人から貰った物に手を出すのはやりすぎだ


いくら威張っていても所詮は男爵家の使用人


オレ達孤児相手ならば許されるものも、御貴族様相手ならシャレにならん




いやシャレにならなくしてやろうじゃないか


孤児院上がりを舐めたことを後悔させてやる





あ、子爵家に出かける前に男爵夫人かいぬしに報告しとかないと、だな

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