151 ウオリック兄弟(その6)
金貸し兄弟の兄、ヒューイット目線です
金がすべて!、の兄弟の物語りが始まります
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「大変美味しいです」
紅茶を一口飲んだ後にそう言ったら子爵夫人は大層喜んだ
そりゃそうだ
オレ達兄弟、顔だけは良いからな
言っておくが紅茶は本当に美味しかったぞ?
元孤児のオレでも違いが判るレベルだと言えば判って貰えるだろう
たかが飲み物一つにここまでするのか?!?
と驚いた
そりゃ金がいくらあっても足りないはずだわ
貴族というのは本当に凄い!
心の底から思ったな
まあだからと言って尊敬できるかどうかというのは別だがな
状況が判らないようなので説明しよう
今はオレ達兄弟は男爵夫人の寄り親の子爵の家にいたりする
早い話、貸し出しをされた訳である
男爵家にいかないと愛玩動物に逢えない
それをお貴族様がガマンできるか?
できるはずがない
という訳で権力が使われた
早い話、兄弟揃ってお茶会に呼ばれたという訳だ
「来て下さるかしら?」
と質問という名の命令が男爵夫人経由できた
・・・本当に御貴族様というのは最低だな
もちろん男爵夫人はハイの返事しかない
その場は笑顔だったが後で自分の部屋で泣いていたな
もちろん悔し涙だ
男爵夫人が見つけ出した愛玩動物を権力で奪われた
そういうことだ
もちろんそれを見て陰で嗤ったのは秘密だ
・・・気がつかなかったがオレは男爵夫人のことを結構怨んでいたらしい
「貴方達の家は男爵家よ・・・」
お茶会の当日に男爵夫人が涙目で言っていた
・・・いや男爵家は俺らが売られた先なんですけどな
それにもしも帰る場所があるなら孤児院のはずである、というのは言わないお約束だ
「もちろんです、すぐに帰ってきますよ」
当然男爵夫人の手を握った上に目を覗き込んで返事した
顔をポッと赤らめる男爵夫人
チョロ過ぎる
まあそれだけオレ達兄弟の顔が良いって訳でもある
もちろん大事な男爵夫人を手放す気はサラサラない
いい暮らしができるからな
隙間風のない部屋と腹一杯食べられるってのは何にも勝る
そのためならババアと寝るのだって楽勝ってものだ
ついでに金を絞りとって楽しい老後を過ごすつもりだ
だから御機嫌とりに手を抜く事はない
え?
男爵様に怒られないか?
若い愛人の相手に忙しから全然問題がないらしい
・・・貴族は腐りきっていやがる
まあそんな訳で子爵家から馬車が使わされた訳だ
男爵夫人相手にお涙頂戴の三文芝居をした後の馬車に乗ったらビックリした
なにせ子爵夫人が乗っていたのだ
・・・いやマジでビックリした
愛玩動物を愛でるためにわざわざ乗るか?
いやココまでするのか!?
とビックリだ
・・・自分の顔は美しいと思っていたがココまでとは思ってもみなかった
子爵夫人曰く
「せっかく1日レンタルしたのだから1分1秒が惜しい」
とのことだった
・・・それでいいのか御貴族様?と言いたい
男爵家を出た早々子爵夫人に拉致されたがその後は普通だった
お茶して
ダンスして
夜になるとベッドの上でご奉仕だ
・・・それは普通でないという意見は却下だ
この場合、子爵夫人が法律だからだ
「この国は本当に大丈夫か?!」
と思わないでもなかったが着せ替え人形させられた際の高そうな服とか指輪を貰えたので文句はない
適当に着古した後は古着屋に売ればそこそこの金になることだろう
世の中金が一番だからな
これだから愛玩動物は止められない




