15 とある商人の独言
サラの協力者の商人の話です
この話の後、イイ仕事する予定です(二ヤリ)
自分は商国商人のロレンスいいます
ちょっとだけグチ言っていいでっしゃろか?
貴族崩れのサラと出会ったのは、たしか彼女からの接触でしたな
婚約破棄された上、貴族籍をなくして大分たってましたな
・・・これでも商人ですから、噂くらいは把握してまっせ?
会う、会わないはこちら(商人)次第
貴族でなくなった人間の価値なんてそんなものでっせ?
え、貴族として復活するかも?
そんなことは絶対にありえませんがな
貴族っちゅうものは、いや身分ってものはシャレではありませへんで?
でも会いましたな
なぜかは今でも説明できませんな
もしも言うならば『商人としてのカン』でっしゃろか? ←ゴーストが~なんて言いません(笑)
「はじめまして」
最初に会った時は初々しかったですな
少しの自信と、これからの交渉が上手く行くかどうで将来が決まるのですから不安になってましたな
少しだけど顔色が白かったですわ
でも見た目に騙されてましたわな
よっぽどの修羅場を潜り抜けてきたんやな
ウチの若いモノでもそうそういませんわ
それに気が付いたのはしばらく付き合いが続いた後でしたわ(苦笑)
「こちらを持っていていただけませんか?」
そう言ってサラが名前だけが書かれた契約書を渡してきましたんや
下のあたりに名前だけが書かれているだけの紙でっせ?
ありえませんがな!
勝手に契約書を書いて借金を負わせることができるんでっせ?
一瞬だけどやってやろうか思いましたな
金貨10枚(100万円)、いや30枚(300万円)くらいでっしゃろか?
それくらいの、破産するほどではないが、ちょっとした手痛い損害っちゅうやつですわ
『他人を信じではダメ』
これは失敗することで身に付くものんですわ
自分も、先輩にやられましたからな(涙)
これは年長者としての親切でっせ?
全財産なくすよりは、一度手痛い失敗をする方がいいっちゅうわけですわ
でもやらなくてよかった思っちょります
金貨1000枚とか吹っ掛けたと聞いた時は『負けた!』と思ったんですわ(苦笑)
おいおい、そこまでやりまっか?!
そう思いながら、契約書をでっち上げましたわ(笑)
もちろん問い合わせはきましたな
契約書を商国の店まで確認しにきた役人は目を剥いてましたわ
『ハッタリや!』って思っていた現物があるとは誰も思ってはりませんでしたらな
でも現物を見せられればどうしようもありませんわ
すごすごと帰っていきはりましたな
自分、勝手に商国の上層部に根回しして証言を頼んでおいたんですわ
・・・もちろん買ったなんて事実はないのででっちあげの証人と証拠でっせ(笑)
お役人様はそっちまで確認しにいってはりましたな
そして肩を落として帰っていきはりましたな
え?
やりすぎでっか?
そんなことありまへんで?
昔、自分、同じことをやられて破産したんでっせ?
これでもまだやさしいほうでっせ?(笑)
御貴族様といっても子爵家では金貨1000枚なんておいそれとは用意できませんわな
足りない分として、サラは家宝の宝石まで巻き上げたそうですわ
・・・ちょっとだけ可哀想に思ったりしましたな
宝石は大人の男のこぶし大の大きさですわ
それを分割してブローチやら、指輪やら、腕輪に仕立てるように依頼されましたわ
家宝を粉々に!
そこまでしまっか?!
ほんと思いましたわ(苦笑)
おまけに、貴族派に売るように依頼される始末ですわ
そこまでやりまっか?
主導権をとられてばかりなので商国の商人としてのプライドはもはやボロボロでっせ?
だから
「そこは国王派の貴族にも売るべきでは?」
苦し紛れにそう提案してみましたわ
「まあ、それはイイ考えね!」
サラは満面の笑顔で、正直ひきましたわ
嫌がらせのために、敵である貴族派に売ればいいと思っていたそうですわ
だから同じ派閥には売るなんて思ってもみなかったそうですわ
「全部手に入らないとなると諦めがつくものですが、少しでも手に入ると欲がでますね、残りが貴族派にあって手に入らないと知ると悔しがるでしょうね?さすが商国の商人ね」
サラからは感心されたわ
いや、苦し紛れの口からでまかせですがな(苦笑)
「そうすると売り先の貴族についてもすでに目星が付いているのかしら?」
サラからの問いかけに
「ええもちろんでっせ」
そう答えたが、そんなわけはありませんがな(苦笑)
でも商人としてのプライドを総動員して必死で涼しげな顔を作りましたわい
自分、なんか胃のあたりがいたい?
・・・付き合いを考えた方がよいでっしゃろか?