143 大地の歌商会のお仕事(その6)
主人公目線です
新しい協力者を手に入れます
復讐の準備ができました?
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「力をお貸し願えないかしら」
アマン商会会長はウオリック兄弟に提案しましたわ
でもピクリとも反応しませんでしたわね
さすが金ですべてが買えると豪語する金貸し兄弟ですわ
「愛すら金で買える」
が口癖なだけのことはありますわね
手ごわい交渉相手ですわ
でもわたくしも無策ではありませんことよ?
守銭奴だということは広く知られていますわ
でもわたくしの手の者が手に入れた裏情報ですと兄弟そろって異常性癖者でしたわ
長男のヒューイットは少女愛好者
次男は美少年愛好者
・・・頭が痛くなってきましたわ
わたくしは人の性癖をどうこう言うつもりはありませんわ
貴族ではたまに自分の父親よりも年上の貴族に嫁ぐ令嬢だっていますもの
だからといって限度があるのでは?
と思ってしまいましたわ
まあ娘は若い方が良いと言うのはなんとか理解しますわ
殿方の中にはたまにいらっしゃいますし?
でも殿方が殿方を、というのは理解できませんわ
一体なにをどうやるのかしら?
その前に殿方の身体に欲情できるものかしら?
・・・この場合理解しないほうが幸せなのかしら?
まあ性癖は理解できなくても活用できますわ
口先の交渉は貴族の嗜みでしてよ
まあわたくしの場合元、ですけどね
「そういえば某男爵家はいろんな所に借金があるようでしたわ」
といった前振りにはピクリとも反応しませんでしたわ
でも確実に心に引っかかったはずですわ
貴族は平民の商会からの借金を踏み倒すのが日常茶飯事ですわ
もちろん平民は泣き寝入りですわ
そこに現れたのがウオリック兄弟ですわ
お金で爵位を買いましたの
騎士爵という非公式の爵位ですわ
男爵以上は国から授けられる公式な肩書
騎士爵というのは貴族が個人的に与えた非公式な肩書
でも騎士爵だと同じ貴族になるので借金を踏み倒すことができませんの
与えた貴族の顔に泥を塗る行為ですもの
そこを利用して平民の借金を買い上げて手数料やら延滞料やらを追加して請求しますのよ
格下とはいえいちおうは同じ貴族
おまけに事前に寄り親への根回しもする悪辣さがありましてよ?
「貴様の寄り子の貴族が借金を踏み倒しやがったんだから代りに払え(意訳)」
と言われて払う寄り親貴族はいませんわ
他人の借金を払うなどというおバカは貴族にはなれませんことよ?
外堀を埋めてから正々堂々中央突破
支払えないと言わせた後は本家分家問わず手下が動かせるものは根こそぎ持ちだす
文句が出てきたら
「代りに払うのか?(意訳)」
と恫喝
お金貸しとして急成長するはずですわ
いえわたくしもそちらを職業にした方が敵対貴族家への復讐ができたのかしら?
今後の方針についてちょっと考えないといけませんわね
まあそんな訳でわたくしの持っている借金貴族の情報に確実に食いついているはずですわ
でもそれだけだと
「いいこと聞かせて貰った」
と情報料を支払われて終わりです
でもここまでが前振りです
本当の交渉はこれからですから問題がありませんわ
「そういえばデビュダント前の御令嬢がいたような気がしますわ」
そういうと長男のヒューイットが反応しましたわ
さすがに少女にしか欲情しない変態ですわ
ここまで自分の本能に忠実だと嫌悪を通り越して感心しますわ
「分家にはこんど学院に入学するご子息がいたんじゃないかしら」
弟のジャックが反応しましたわ
さすが美少年を愛でる変態ですわ
直接見なくても美少年かどうかを判別できるのかしら?
まあ貴族ならそれなりに身だしなみに時間とお金をかけているので平均以上の見た目を有していますわ(たぶん)
わたくしの言葉にここまで簡単に心を動かす変態兄弟
それを手の上で転がせるとはさすがの情報ですわ
大地の歌商会に貸し出している手下にボーナスを払うべきかしら?




