141 大地の歌商会のお仕事(その4)
大地の歌商会に捕まったスパイ目線です
主人公の復讐対象のカーライル男爵からのスパイです
ようやく主人公の罠に獲物がかかりました?
-------------------------------------------------
冷血と呼ばれる傭兵がいる
金次第でどんな汚れ仕事でもするらしい
もっともこの業界では噂が流れるだけで誰も見たことがなかった
誰かが面白半分で流している噂だとされていた
もちろん俺もそう思っていた
裏社会に流れるデマの一つだと
しかし今回のことで確信した
大地の歌商会の人間だったと
いや正確には目の前に居るクソ野郎だ
自己紹介がなくても確信した
おそらく捕まっている他のスパイも同じ意見だろう
今回、とある村に伝わった農業の秘伝を盗むというのが御貴族様からの指示だった
スパイを蔑むくせに『貴族のために働け』という理不尽
成功しても当然のような顔をされ、捕まれば切り捨てられる
まあ貴族家に仕えている下働きの3男なんてこんなものだろう
多少気転が利くからとイロイロな雑用を押しつけられていたと思ったらいつのまにかスパイにされていた
まあある意味素人だ
今回捕まるのも当然だったのかもしれん
いやだからといって殺されるのを受け入れた訳ではないんだがな
と言っても今回は相手が悪かった
平気で拷問する人間がいたとは思わなかった
あまりの拷問の酷さに食べ物がなくて飢え死にする方がマシだと思った
そしてその時理解した
こいつが『冷血』だと
こんなやつが二人も居てたまるかと思う
だから目の前に居てあんな拷問を平気でするヤツが『冷血』だと確信した
もちろん保身に走った
御貴族様のために働くのは嫌だが、働かないと殴られる
だから仕方なくやっていた
ところが今回捕まったら殺されるのだ
いや殺される寸前なのだ
もうなり振りかまっては居られなかった
主人であるカーライル男爵のことを洗いざらい喋った
ついでに今までスパイをして得られた他の御貴族様の醜聞も、だ
コレで助かるよな?
大丈夫だよな?
もしも助かったら南の方の国に逃げ出して平穏無事に暮らそうと思う
もうスパイなんて阿漕な商売は辞めるんだ!




