140 大地の歌商会のお仕事(その3)
大地の歌商会会長目線です
とんでもない部下を持って御愁傷様?
相変わらず不幸な人です
おかげで復讐を誓う主人公の企みは今日も順調に進んでいます
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「お、オレはカーライル男爵の不正の証拠の在処を知っている!」
と言ったスパイがいた
もはやスパイたちはなり振りかまっていなかった
このままならこの極悪非道な殺戮者に殺されると必死に逃げ道を探していた
大地の歌商会の裏にはアマン商会がいる
そしてその商会の会長は元貴族令嬢であることをスパイ達は知っていた
知る人ぞ知る話だがスパイ達の業界では普通の知識だ
貴族様達が知っているのだからその手先のスパイも知っているというわけだ
もっとも今までは使う機会はなかった
出してはいけない情報くらい弁えているからである
しかし自分の命がかかっているとなれば話は別である
御貴族様達はスパイの命なんて守ってくれないのだから当然だ
多少の汚名なぞ生きている幸せの前には塵も同然
もしものことがあれば名を変え顔を変え別人になれば良い
もしも他のスパイに生きていることが密告されたら関係者一同に血の復讐だ、がスパイの常識である
自分の腕一本で生きる自信がある者の強みである
だから、もしも密告でもしようものなら総スカンを食うことだろう
明日は我が身だからである
当然のことながら自分の知っている情報を残らず喋った
国王派の弱み
サラの復讐相手の醜聞
その他イロイロ
もしもの時のために必要な情報は用意しておく
スパイの常識だ
生き汚い?
スパイにとっては褒め言葉である
もちろん大地の歌商会交渉担当もそれは知っている
喋るもよし
喋らないもよし
そういうことであった
お互いに納得ずくの小芝居だとも言える
まあそのための最後の人押しのための拷問があった訳である
人間言い訳がないと行動しにくいのである
交渉の皿に乗っているのは自分の命
その自分の命の身代金を払え
嫌ならば死ね
そういう話である
拷問にあったスパイだけが貧乏くじであった
・・・といったことを交渉担当から聞かされた
目の前で繰り広げられた拷問
その後に必死に命乞いをしたスパイ達
それらが双方納得ずくの小芝居だった
何も知らずに可哀想だと思った商会長の純情を返せ!、と言いたい




