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137 ヘッドアッシュ劇場(その15)

スワンプラット男爵目線です


ようやくひと騒動が終わりました


でもこの後また新たな騒動が起きたりします


貴族のクズさはハンバないですからね



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「生きているってすばらしいな!」


私、スワンプラット男爵はそう思った




なにせ昨日まで男爵家わがやに押し掛けてきていた上位の貴族達が居なくなったのだ





今書斎にいるんだが耳をすませると何も聞こえない


本当に静かだ




上位貴族達が引き連れてきた召使い達はきちんと教育がなされているため無言で動いていた


だがそれでも大勢すぎたため館中が騒がしくて仕方なかった




それだけならまだしも(いや良くないが)上位貴族が何人もいた方が酷かった




普段は大人しいんだが、敵対派閥の貴族と廊下で会うと戦争くちげんかが始まるんだ


本当に勘弁して欲しい


一応館の主人だから仲裁しない訳にはいかない


もっとも男爵位なんて何の役にもたたなかったな


ひたすら右往左往するだけ


・・・やるならば王都で勝手にやってくれと言いたい






あと食事で張り合うのもやめてほしい


「小腹が減った(意訳)」


といって豪華な軽食を用意するんだ


それも応接室に敵対派閥の貴族がいるというのに、だ




そして


「やはり我が領のものが一番だな」


と言外に相手の領地を貶したらしい


・・・どう聞けば貶すことになるのか教えて欲しいモノである




いやそれよりも自分から喧嘩を売ってどうすんだと言いたい


嬉々として高値で売っているのを真近で見せられるこっちの身にもなって欲しい





それと嬉々として高値で買うな!とも言いたい


売られたからといって速攻で買ってどうするんだと聞きたい





案外アンタ達実は仲良しなんじゃないんか?、と思ったぞ


仲が良い程喧嘩するっていうからな





仲裁に疲れ果てて思わず口に出して失言したんだが


「「それはないっ!」」


って言われた





そんなに声をそろえて言われたら絶対に信じられないってものだ






まあそんな寄ると触ると喧嘩ばかりしていた上位貴族様方はある日突然雪崩を打ったかのように引き上げていった


男爵の私に何の説明もなく、だ




いや執事から


「今日お立ちになります」


と連絡があった





・・・この場合連絡があっただけでもすごいと言えるのか?


人間が犬猫牛馬に向かって話しかけるくらい身分に差があるからな





後で判ったことだが戦いの場所は寄り親のアッシュ子爵家に移ったそうだ


原因は高度な政治判断だそうだ


・・・上級貴族ならばすぐに理由が判るんだろうが男爵風情ではまったく意味が判らん





人が出ていったため静かになった我が男爵家


余りに静かさに耳が痛かった


いやこれが普通なんだ




普通っていいな


男爵おれはしみじみ思った
















その静けさが数日しかもたなかったことを知るのは別の話だ


ちくしょう!

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