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125 ヘッドアッシュ劇場(その3)

大地の歌商会の副会長目線です


某男爵の庶子の貴族崩れです


いやまだ貴族は辞めてませんけど


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会長がチラチラこちらを見てきた


計画にない伯爵様に困っているようだ




一体どうなっているんだ


言葉に出さなくても伝わってくる




そりゃそうだ


伯爵様なんて元スラムの人間にとっては雲の上の存在だ


困って当然だ




もちろん男爵の庶子である副会長おれも同じだ


男爵クソオヤジより2クラス上の存在にはできれば近寄りたくない




あ、おやじは別に普通に話せるぞ


むしろ機会があれば殴りたいな


正妻がいるのにオレの母親に手をだすクズだぞ


国の仕事で戦争に行っておきながら遠征先でナンパして子供おれが生まれた


・・・助走をつけて殴ってもいいかな?





まあ家庭内の愚痴くそおやじはさておいて伯爵様の話だ




バカな貴族の一人くらいなら釣れるだろうなと思っていたら本当に釣れた


・・・庶子なのにこの国ヤバくね?、と真面目に心配してしまったぞ





男爵様が相手だからそれなりの相手だと思ったら予想通り一つ上の子爵様(の庶子)


それも騎士団長系の子爵


うちの黒幕(アマン商会会長サラ様)は裏で手を廻していたりするのかと勘繰ったね


いや絶対に手を廻していると確信している


自分の敵の手下の手下が見事に嵌ったからな





自分の復讐のためにとことん人を嵌める手段を考える


人を不幸にすることを四六時中考えている


復讐のためなら人間辞める


それがアマン商会会長サラ


傍で見てきた元アマン商会員で現大地の歌商会副会長オレには判る







まあそんな会長でも伯爵様の乱入までは予想できなかったようだ


おかげでオレは困っている



第一段階は男爵領でバカを釣り出す


第二段階は手に入れたバカを元手に伯爵様が騎士団系貴族を責める


そんな計画だったのに第一段階から伯爵様が登場してきた


せっかくのシナリオが台無しだ




バカな貴族を破滅させるのを特等席で見るというオレの楽しみが返せと言いたい



え?


男爵の庶子なのに貴族の破滅を望むのはおかしい?




まず男爵って事で子爵以上の貴族から見下される


次に庶子ってことでマウントされる


おまけに母親が南の国出身ってことで肌の色がちょっと黒いということでヒソヒソとディスられる


これで貴族が好きになる方がおかしいってもんだ




そんなオレに目を付けたのが魔女サラ





「手伝っていただけないかしら?」


そう言ってアマン商会にスカウトしてきた


何を手伝うのか、については全く言わなかったが態度で判った



因縁のある貴族達への復讐、だ




特等席で貴族の破滅を見られますわよ


だから私のために働きなさい


副音声まで聞こえてきた




・・・オレも結構貴族に染まってきたな


そしてアマン商会の会長サラはいまだに貴族が抜けきらない


結構似た者同士なのかもしれん


おかげで長い付き合いだ





南の元祖国で旅人の葉を大規模栽培したり


乾燥させて袋につめたり


そのへんに生えている草木の葉を天日で乾燥させたタダ同然のものを『旅人の葉』として高値で売り飛ばしたり


スラムの人間に礼儀を教えたり


新しく立ち上げさせた大地の歌商会の会計をしたり


クソを育てるのに魔法を使ったりと結構な仕事を押しつけられた





まあ貴族関係のトラブルはクソオヤジに丸投げして意趣返しさせてもらったし?




あとオレを見下した国王派の貴族には


「入荷数が少ないんです、すみません」


とか言って頭を下げつつ他の貴族に送る『旅人の葉』を金の力で無理矢理奪わせて不仲にさせたり?




・・・今気が付いたが結構順調に進んでいるな






今のところ収支はトントンって所だ


もしもオレの持ち出し(苦労の方が多い)ならば断固抗議するけどな


だって魔女サラとの(契約書なしの信頼だけで成り立っている)契約ではそうなっているはずだから


苦労と復讐は等価交換だ


今のところ問題なく進んでいる





いや~復讐っていいな


心が洗われるようだ


実にすがすがしい


今のところはそんな気分で進んでいる


一度復讐を特等席で見たらあまりの快感に止められないってものだ





それなのに伯爵様が乱入してきた




復讐劇はポーカーと同じで手元のカードが見えていると成功しない


意外性と不意打ちが復讐を成功させるカギだと言える


それを台無しにしている伯爵様には文句を言いたい


・・・いや言えないけどな




この不測の事態については黒幕サラに速攻で連絡しよう


大地の歌商会の足の速いヤツに手紙を持たせて走らせよう





・・・今後どんな展開になるのかワクワクしてきたな


これはこれで結構楽しいかもしれん




魔女サラの手腕に期待しよう


もちろん手伝えることがあれば喜んでさせて貰うぞ!

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