124 ヘッドアッシュ劇場(その2)
大地の歌商会会長のサード目線です
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おかしい
ウチの副会長が貴族崩れなのを利用して追い込むはずだった
なのになぜラスボスの伯爵様が目の前にいるんだ
わけが判らん
正直な感想だ
みなさまおひさしぶりです
大地の歌商会の会長のサードです
・・・もう無理です、ここからは砕けた口調にさせてください
現在、スワンプラット男爵の客室には
スワンプラット男爵
マクフィアンナ子爵の庶子の次男
スワンプラット男爵の寄り親のヘッドアッシュ伯爵
の三人の貴族がいる
正確には
子爵次男が男爵家に無理難題を言いに来たらなぜか伯爵様が居て驚いた
だな
一体何が起こっているのか?
庶子様の内心が顔に出まくり
いやそれは商会長も同じ
最後に一発大逆転の大どんでん返しで子爵を嵌めることになっていた(はず)
なのになぜ予定外の伯爵様が居るのか問いただしたい
いやふざけるな
何考えてやがる!
こっちの苦労を返しやがれ!
・・・そう言えたらいいな
なにせ隙を見せるためにテクテク歩くは
村に立ち寄らず野宿をする(させられる)は
襲撃者は殺れば簡単なのにわざわざ縛って連れてこさせられるは
捕虜の食べる物まで用意させられるは
もう大変だった
・・・マッパにして歩かせたくらいでは気が治まらないな
それでもガマンして付き合ってた
・・・魔女に文句を言ったら「あらだったらいらないわ」とか言って処分しそうだからな
それなのにあらかじめ教えられた計画とは違ってきたんだ
シナリオにない伯爵がなぜかいた
横目で貴族崩れの副会長を見ると、こちらも困惑していた
どうやら平民では判らない貴族特有の駆け引きというわけでもなさそうだ
つまり伯爵様以外みんな困惑
責任者出てこい!
たぶん敵味方問わず皆で同じことを考えていた(はずである)
まあオレは所詮平民
出番はない(はず)
壁際に立って背景と化していれば嵐は過ぎる(はず)
台風が来たら首を竦めて通り過ぎるのを待つだけ
そういうこと
触らぬ神に祟りなしとはよく言ったものだ
・・・そんな甘い考えをしていた時もありました
御貴族様は元スラムの人間の考えの斜め上を行く存在でしたね
台風に飛ばされ翻弄されるような波乱万丈でしたよ
いやマジで勘弁してください




