118 スワンプラット男爵の苦労(その3)
スワンプラット男爵目線に戻ります
頭のおかしな人間の相手をするくらいなら平民のままで良いというやつですね
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「その領地で起った問題はそこの領主が解決するという国法があります」
スワンプラット男爵はバード殿の提案 ~襲撃犯を釈放しろ~ を拒絶した
当たり前だ
明らかに裏で糸引いている黒幕相手に譲歩する必要はない
そんなことをすればなし崩しで領地が無法地帯になる
・・・いや冗談ではなくホントになるからな?
この国の歴史の教育の時間に両手で余るほどの過去の愚行を教えられたんだ
一度崩れた秩序は回復するまでに10年かかる
今や貴族の跡取りの間の常識だ
貴族は常に高潔たれ
これがスワンプラット男爵家の家訓だ
これさえ忘れなければ愚行にはならん
もっとも貴族の意味を勘ちがいしている者の方が多いのが現状だ
当主以外、帝王学を教えられないからな
好き好んで競争相手を作る必要はない
ヘタに教えると次男三男あたりが下剋上する可能性が高くなる
そういうことだ
まあおかげで勘ちがい様が目の前にいる
「あ~
よく聞こえないな~
もっとわかり易くはっきりと発音してくれないかな~」
バード殿は耳に手を添えた『良く聞こえません』アピールをしてきた
完全に嫌がらせだ
明らかに見下していた
こんなのが貴族だとは世も末だ
ああそうか
みんなこんなクズの相手をするのが面倒になったんだな
だから言うことを聞いていたんだな
バカの相手をするくらいなら言うことを聞いてさっさと御帰り願う
そういうことらしい
貴族の傲慢さと平民の無教養からくる愚かさ
そのどちらも持っているバード殿
相手をするくらいなら金でも払って追い払いたくなるというものだ
ある意味最強、いや最狂のジョーカーだ
マクフィアンナ子爵の意図が判ったような気がした
庶子による被害に困ったあげく、避難のため他人に押し付けたとの内情が判ったのはかなり後の話
相手をさせられたスワンプラット男爵の身にもなれ!




