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116 スワンプラット男爵の苦労(その1)

スワンプラット男爵目線です


ちょっと前に大地の歌商会が襲われました


その犯人を引き渡した領主様です


どうやら進展があったようです


新たな犠牲者の話の始まりです


---------------------------------------------------------


「さっさと渡せと言っているだろうがっ!」


<ガツン!>


マクフィアンナ子爵の次男が怒りのあまりテーブルを蹴っていた





おいおいこれじゃ貴族ではなくならず者だよ


スラムの人間だった大地の歌商会会長の方がまだましだとスワンプラット男爵おれは思った





・・・男爵を継いだことを後悔しそうだ






事の起こりは寄り親のヘッドアッシュ伯爵様のお願いという名の命令が来たことだった


大地の歌商会に20年ほど畑を貸してあげてね


・・・何処にツッコミを入れればよいのやら





街から汚物が消える上、村の畑の収穫が倍以上になるんだから拒否はしなかった


いやこの場合、出来ないと言った方が正しい


所詮、男爵なんてこんなものだ


しかたがないと諦めた





そうしたら大地の歌商の会長が襲撃犯を差し出してきた


なんでも男爵領うちに来る時に襲われたので返り討ちにして生け獲りにしたとのことだった


・・・男爵おれはどこまで諦めればよいのか教えて欲しい





さらに厄介なことに捕まえた悪人の中に自称貴族の関係者がいた


そして逆に脅してきた


「オレは某子爵様の知り合いだ!だから放せ!(意訳)」


・・・男爵を継いだばかりだけど隠居していいかな?





困ったので寄り親のヘッドアッシュ伯爵様にお伺いを立てていた


そしたら返事より先に悪名高いマクフィアンナ子爵の次男が訪ねてきた


対応が早過ぎだ!



・・・病気になるので療養させてくれないかな






子爵の長男は本妻の子であるが次男は庶子


つまり平民の愛人の子である


そのせいか少々、いやかなり品が無い


まあ市井で育てば当然だ





そのまま平民として暮らせば良いものを何を思ったのか子爵様が子供だけを引き取った


それが目の前にいるバード=マクフィアンナ殿だ


庶子であっても一応子爵の一族にカウントされるから男爵おれとしては丁寧な対応をしなけえばならない





・・・知っていることが多すぎるのも困ったものだな


つい子爵殿への忖度が入ってしまう


バカな子ほどかわいいというのは絶対に間違いだと思った






話を戻そう




大体、捕まえて数日で乗り込んでくるなんてのは異常だ


裏で糸を引いているとしか思えない


証拠はないが実際引いているんだろうな、と確信している






貴族ならもう少し隠そうよ、と言いたい


ヘタの小芝居を見せられる男爵おれの身にもなってほしいものである





大体目撃者はいなかったと聞いている


それなのになぜか男爵家うちに襲撃犯が捕まっている事を知っている?


裏で糸を引いていることがバレバレだ


状況証拠から完全に黒だよな





それでも平気な顔で文句を言っているマクフィアンナ子爵の次男殿


ほとんどばれているというのにいい性格をしている


さすが貴族、である





いや案外気が付いていないのかもしれん


意外とバカなのかね?






現実逃避してそんなことを考えていた


こちらの気が逸れたことに気が付いたバード殿は怒ってテーブルを蹴り飛ばした


完全な恫喝外交


そう言うことだ






さすがは庶民育ち、である


実に品が無い







「大体平民ふぜいが言っていることを信じるなぞ何を考えている!


そんなものは証拠にはならん!」


バード殿がふんぞり返って言い放った





大地の歌商会の人間は平民だから証言能力が無い、と言いたいらしい






「大体薄汚い平民の言うことを真に受けてどうする?」


偉そうに説教をしているが完全に自分のことを棚に上げていた





お前だって(半分)平民だろ!


そう言いたい


言えないがな




正しいことを正しいと言えないのが貴族というものだ


早い話爵位が一番


・・・ためいきが出るな

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