表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/237

11 侯爵夫人の焦り

これは婚約破棄した王子の母親(王妃)の天敵の侯爵夫人のお話です


王子が棄てたサラを拾ったおかげで王妃よりも優位にたてました


しかし、策士策に溺れてマズイことになりそうです


・・・この国にはまともな貴族はいないんでしょうかね(笑)


----------------------------------------------------------------------------



「私は香水なんて今までも売ってませんし、これからも売る予定がありませんが?」


少女サラが尋問台の上で言い放った






すごいわね、あの子


周りを貴族に囲まれて、あの度胸


世界を敵に回しても一人で戦えるわね(苦笑)





これで国王派のもくろみ ~脅して香水の作り方を分捕る、あるいは作らせるかしら?~ は潰れたわ


これでわたくしの貴族派が優位になったというわけね


思わず笑みが浮かんだわ





あら失礼


御挨拶が遅れました




わたくしはアイランドハーバー侯爵家夫人


アイランドハーバー侯爵家は貴族派の筆頭ですわ


御存じでして?




国王派は、国王を頂点とする数少ない人数で支配して国全体をスムーズに治めようとするもの


建国当時の戦乱の時代ならばそれでもよいのよ?





でも今は大きな争いがない平穏な時代


せいぜいが盗賊くらいかしら?


あと、川の氾濫か干ばつによる食糧不足?


その程度のトラブルならいちいち国王にお伺いを立てるよりも地方の各貴族領で対処できましてよ?





貴族領ごとの独立性を持たせることによりスピーディに対処することを皆が望んでましてよ?


それなのに過去の栄光を棄てきれないのかしら?


それとも、一度獲得した権利を手放したくない?


国王とそのとりまきの貴族が無駄な抵抗をしていますわ




本当に無駄な抵抗ですわよ?


その証拠に王子をみれば判りますわ





勝手に婚約破棄をするは


平民出の男爵の娘を娶ろうとするは


貴重な香水魔法の作り手の価値もわからずに手放すは


謝りに行っておきながら喧嘩を売って帰ってくるは


男爵の娘を王宮の客間に居座らせるは


・・・欠点が多すぎて数えるのも疲れてきましたわ(笑)







そんなおバカ達(国王派)が何やら暗躍したようでサラが牢屋に入れられたとのこと


調べさせたところ、かなり酷い環境!


そして飲み物も食べ物も与えなかった!


おまけに尋問も聞き取りも何もしなかった!?





国王派は何を考えているのかしら?


金のガチョウ(香水を作れるサラ)を潰すようなことをするなんて・・・





まあ、危なくなったらわたくし(侯爵夫人)が手を差し伸べて恩を売るつもりでしたけど?(二ヤリ)





もっともそんなことには全然なりませんでしたわね


サラは1週間の間、飲まず食わずでピンピンしていたそうよ?


どうやら独自のルートか賄賂で対処したようね


こちらの思惑が思いっきりはずれたわ(苦笑)






こういう場合、(サラを)褒めればいいのかしら?


それとも呆れればいいのかしら?(苦笑)





まあそれはさておき、思惑を外された国王派は次の手を打ってきたわね


早い話が裁判ね





簡単に言うと、どこかの貴族から秘伝の香水のルセット(作り方を書いた本)が盗まれた


盗んだのはどこかのコソ泥


盗ませたのがサラ


だから作り方を書いた本を返せ





要は香水を売ってくれないなら、その作り方をゲットしよう!


ということらしいわね





なかなかいいアイデアね


ベタだけど


ありきたりだけど


手あかがつきまくりの古い手だけど


悪知恵だけは一人前ね(笑)





そこだけは感心したわ(苦笑)






まあ、わたくしは今行われている裁判でサラが苦境に陥ったら手を差し伸べて恩を売ればいいわけね


濡れ手で粟とはこのことね!





そう思っていたらサラから逆撃が来たわ(汗)







サラは顔は真正面を向いていたのですが、その視線だけはわたくしの方を向いていましたわ(汗ダラダラ)


『人が陥れられるのを判っていながら黙っており、恩を売ろうというのか』


こちらを見ているサラの目がそう言っていたわね(大汗)






その時点で自分の失策を悟ったわ


さすがは元貴族令嬢?


あるいは王子の婚約者としての帝王学教育を受けた者?


盲点だったわ





国王派と貴族派の両方を思惑を見事に見抜いていたわ(汗)





かなりマズイことになっているわ!


貴族派といっても一枚岩というわけではないのです




当然わたくしから派閥の主導権を奪おうとしている者もいますわね


アレらと手を組んだら負けないまでも勝つのも難しいわね





あら、サラがわたくしを見る目が一段ときつくなってきたわ


彼女の発言を意訳すると『これからは香水を売らないぞ?オラッ!』かしら?







そう言えば冒頭でそんなことを言っていましたわね(汗)


冷や汗が出てきたわ・・・

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ