10 警備隊員の驚愕(裏)
「お前たちがきちんと見張っていないからだ!」
御貴族様に怒られた
警備隊員全員が集められ、もうかれこれ30分あまり怒鳴られている
全くもって理不尽である(涙)
隊長のオレは最前列にいるから矢面に立って大変だったりするんだよな・・・
この仕事で一番不幸な時間である(ガックシ)
ちょっと前のことだが御貴族様の命令で王都にあるとある商会の代表を捕まえて牢屋に入れた
その頃までは御貴族様の機嫌がよかった
「ふっふっふっ、何日もつかな?」
そんなことを笑顔で言っていた
か弱い女性をロクに証拠もないのに一番臭くてジメジメした牢屋にいれておいてこのセリフ
まったくもってこの国の貴族派腐ってやがる
もっとも言わないけどな!
言ったとたん首になる
もちろん物理的な意味でだが(汗)
しかし御貴族様の機嫌がよかったのはそこまでだ
3日が過ぎたところで怒鳴られた
それが冒頭のセリフだ
なにせか弱いはずの件の女性が音を上げないからだ
大の大人、いやオレでも1日で音を上げるぞ?
どんなところでも根性でガマンなんて絵本の中の勇者くらいだし?
飲まず食わずで良く頑張るものだと感心する
ところが御貴族様は誰かが差し入れしているのでは?と疑った
オレ達(警備隊)の警備に穴があったと言いがかりを付けてきた
いやいやいや、それはない!
牢屋はしっかり鍵かけてあるよ!
それに牢屋は警備隊の詰め所を通らないといけない構造になってるし!
詰め所には常時数人いるから買収なんてできないから!
そう言っても聞きやしない
御貴族様は自分の聞きたい科白しか聞かなかった(涙)
それで自分の私兵を警備につかせるとかなんとか
いやもう勝手にやってくれって感じだな
私兵からは散々ばかにされたな
おまえらのような目が節穴なものとは違うとかなんとか散々言われた(涙)
我慢したね
いや、ガマン以外の選択肢がないんだけどさ・・・
もっとも数日でスカットしたけどな!
だって件の女性は牢屋に入って一週間しても音をあげなかったから!
やつらの顔といったらなかったな!
御貴族様から叱られていたし?(笑)
いや、でも、マジな話
飲まず食わずでなんで!?って思ったな
覗き穴から覗いてみると体操していたし?
なに?この生き物?
そういえば御貴族様は魔法が使えるとか・・・
『人間辞めてるんだな』
そんなヒドイことを思うのはオレせいではないと思う
でも御貴族様達、勘弁してくれませんかね
こちとら普通の平民ですから!
普通の常識しか持ち合わせていない弱者ですから!
貴族の権力で無茶振りするのも
なんか人間辞めているのを見せつけるのも辞めて欲しい
家族を養うために日夜、汗を流して働いているただのお父さんですから!