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魔女見習いの助手、始めました  作者: 水無月 涼
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1話 僕の就職先、決まりました⑫

前回の続きです。

昼食を軽く済ませた後、僕はアストリアさんに屋敷内と周辺の森を案内してもらうことになった。

まだ怒っているのか、昼食の席にティノンはいなかった。ティノンの昼食はアストリアさんが直接部屋に運んだようだ。

ティノンの事が気になるが、とりあえず屋敷の案内といこう。


「まず、改めてですがここが食堂です。朝昼晩ここで食事を頂きます。キッチンは南側にあります。え?なぜこんなにテーブルが長く椅子も多いのか、ですか。それは私にもわかりませんね。このお屋敷を建てたのはケイト様のお師匠様ですから」


アストリアさんはケイトさんが召喚した悪魔だから、それより前を知らなくて当然か。

僕は食堂全体を見渡す。北側に堂々と立っている大きな柱時計を横目に食堂を出た。

出てすぐ右の廊下を通ってリビングに向かう。ちなみに右の廊下をまっすぐに進むとティノンと 初めて出会った、印象深い浴場がある。


「ここがリビングですね。たまに、ここでお嬢様とゲームをするんです。お嬢様お強いのですよ」


カーペットの両サイドにソファ、小さなキッチン、本棚もあり大分リラックスできそうな空間だ。

ふと僕はキッチンの隣のドアが気になった。


「アストリアさん、そこのキッチンの隣にあるドアがあるじゃないですか。あれって何かの部屋ですか?」


「ああ、あれは書庫ですね。今は事情があって入ることができませんが、中は道を知らないと迷

子になるくらい広いのですよ」


「書庫なんですか。それにしても、迷子になるくらいって相当ですね……。いつ入れるようになるんですか?」


「さあ、私もいつになるかはわかりませんね」


「そうですか……」


見たかった!本を読むことは好きな方なので、とても気になったが残念だ。


「さ、次へ参りましょう」


リビングを通り抜けるような感じで次の部屋へと行く。明るく広々とした部屋に出た。

振り返ると大きな一枚の大きな絵画が飾ってあった。絵画には美しい一人の女性が可憐に微笑んでいる。周りには多種多様な動物達が彼女に寄り添っていて、皆安心しきったような顔で目を閉じている。なんとも心惹かれる幻想的な一枚だった。

天井には部屋で見たよりも大きいシャンデリアが部屋全体を白く照らしている。


「ここはエントランスです。お気づきでしょうが、屋敷内は土足禁止になっていまして、上靴に履き替える仕様になっています」


そういえばそうだ。僕はスリッパで、アストリアさんはつま先が丸く踵の高い黒い光沢のある靴を履いていた。


「後は二階ですが、お嬢様のお部屋と物置部屋。それと私の趣味部屋ですので割愛させていただきますね。さあ、次は外のご案内をーー」


アストリアさんと玄関に向かっていると、後ろのリビングに繋がるドアがガチャリと開いた。


「あっ……」


「あら、お嬢様。どうかなされましたか?」


「ちょっと散歩に行こうと思って……」


ティノンは僕と目が合った瞬間、視線を外して気まずそうにしながら、玄関まで歩いてくる。


「お散歩ですか! でしたらお嬢様、私達とご一緒に行きませんか? 実は丁度これから、アデル様を森までご案内するところだったんですよ!」


アストリアさんは半ば強引にティノンを散歩へと誘う。


「え……うん、わかった。一緒に行ってあげる」


僕の方をチラッと見て、渋々といった感じで了承してくれた。

外へ出ると暖かい風がこちらに向かって吹いてきた。季節は春。新生の青葉達が太陽の光を元気に受け止めている。

石畳に沿って門のところまで三人で歩く。


「ところで、森って僕がここに来る途中に迷ったあの森ですか?」


「そうです。あの時はすみません、お迎えが遅くなってしまって」


「いえいえ、大丈夫ですよ。それにしても屋敷の庭綺麗ですね」


「はい。毎日手入れを欠かさずしていますから」


庭の花壇には、名前はわからないが綺麗な花がいくつか咲いている。

門の所まで来ると森が鮮明に見えてきた。森は屋敷を隠すように静かに囲んでいる。


「あれが森ですね。あの森もケイト様のお師匠様が作った……のでしたっけ?」


「違う、ひいおばあちゃんの友達が作った」


「あ、そうでしたそうでした。ありがとうございます、お嬢様」


「まったく、リアったら……」


「それにしてもこんなに大きい森まで作ってしまうなんて、魔女ってすごいですね」


人にも森は作れないことは無いが、かなりの時間を要する。

それを一瞬で成し遂げてしまう魔女って、すごい存在なんだな……。


「ちなみにこの森にも魔法がかかっていて、ウインザー家からの印が無いと出られないようになっているんですよ。だからアデル様は迷われてしまったんです」


あの張り紙に印は無かったんですね……。


「お嬢様はお散歩ということですし、少し森を歩きましょうか」


「わわ、押さないでくださいよ」


「……」


と言ってアストリアさんは僕とティノンの背中を押す。

昨日迷って死さえ覚悟した森に、こんなも早くにまた来るとなるとは……怖いなあ。

僕達は森の中へと足を踏み入れた。

ここまで読んでくださりありがとうございます!

とても恥ずかしいですが、これからもどんどん上げていけたらと思います。

色々勉強したいので指摘(文構成、表現、使い方……)などあったら是非ともお願いします!


水無月(みなづき) (りょう)

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