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5時限目 進路と先輩

楽しんでいただければ幸いです。

図書室から神田先輩達が戻ってきた。いつの間にか詩乃さんも先輩達の後ろにいる。そして、部室では見慣れない顔が1人混ざっていた。


「今日は暇なので遊びに来ました。品川さんお元気ですか?」


「いやいや秋ちゃん。いつも教室であっているでしょ」


同じクラスの秋子と軽いやりとりをした。秋子は私と同じクラスにいる。実家がお金持ちのいわゆるお嬢さんだ。黒髪ロングの清楚というキャラだが教室ではあまり目立たない存在だ。



「でも、部室に行くのは久しぶりですよ。先輩さんもいらしてたんですね」


「こんにちは秋子さん。よく来ましたね。手狭なところですがゆっくりして行ってください」



先輩は、一応丁寧な言い方ができる。普段の言動からは考えられないのはいつものことだと流した。


「調べものって何していたんですか?」私は先輩に尋ねた。


「大学の学部選びの参考になるように大学関係の本とか読んでた」


「それで、先輩は何学部にするんですか?」


「それなんだけど、経済・経営系か薬学部かな。本当は俺の進路は甘やかしてくれる良妻賢母なお姉ちゃんと一緒に暮らして家事全般をする予定と書きたいけど担任に目をつけられると面倒だから進学と書いて提出予定だ」


「あんた、文系だけど薬学部の受験対策できるの?」横で聞いていた真希先輩の鋭い質問だ。


「それなんだが2年生の秋から選択科目で理系がやる内容でも文系の生徒が選択できるみたいだからそれで受験に必要な科目の勉強しようと思ってる。あと、受験の映像授業のアプリで自習すればいいだろうと考えてる」



「普段けっこういい加減なのに受験対策をしっかりと考えているなんて意外ね」



「とにかく、都会の有名大学かそれなりの国立大学に進学したいからそれぐらいは当然調べているさ。すべては、将来のためだ」


相変わらず、先輩はブレないなと思いながらとりあえずつっこみを入れておこうと思った。少しでも真人間に近づいて欲しいからだ。


「でも、その将来って女の子に甘やかされながら養ってもらうっていうことですよね」



「何か勘違いしているようだが一方的に甘やかされて養ってもらうんじゃないんだぞ」


「自分のパートナーが病気とか出産とかになったらちゃんと自分で稼ぐぞ。寄生とか搾取じゃなくて相互補完っていう関係性を大事にしたいんだよ。片っぽが辛くなっているのに自分だけふんぞり返って何もしないのはおかしいだろ。2人で足りないところを補い合う関係を育むって考え方だよ」



「そ、そんなこと言ったって結局は女性が困るまで甘えまくるじゃないですか」


「困っていないときも甘えちゃダメか?」


「た、たまにくらいはいいですけど。いつも甘えるのはなんか許せないです」



「青春ねー」雪菜先生はお茶を飲みながらほっこりしていた



「結局、経済学部と経営学部の違いがよくわからなかった。経済学部は数学出来ないと入ってから困ることまでは分かった」先輩は、自分の調べた成果について話してくれた。



すると雪菜先生が先輩の疑問について何か知っているように微笑んでいた。


「それってね。私も高校生のころ思って大学に入ってから分かったわ。ざっくり言うと経済学部は会社の外、つまり社会全体のお金の流れやシステムを研究するところで経営学部は、会社の内部つまり、

財務やマーケティング、経営戦略や人事や総務といった企業経営活動のことを研究するってイメージでいいわ」


「数学の方はどうなんですか?」先輩が質問をした。


「経済学部は経済数学っていうのがあるからそれなりに数学はできたほうが研究の幅が広がるわ。某理科大学の経営学部は数学できないとかなりやばいことになるわよ。就職はそれなりにいいみたいだけど。」


「とにかく今は受験に向けて模擬試験のほうも力をいれていかないとな」先輩が熱く語る。


それを聞いて雪菜先生はこう言った。


「まあ。進学も就職でも自分なりに一生懸命考えて周りの人にも助けてもらいながら進めていけば悪いようにはならないわ。今やっていることを一生懸命にやるのが大事だと私は思うわ。一見今やっていることが将来何の役に立つかは分からないけどある日突然バラバラになっていた点が線になるように自分のやってきたことが実は関係あることで結びついていてアイデアとか生き方が分かるってアメリカの実業家も言っていたわ」


「先生、熱いこと言いますね」私が先生にそう言った。


「授業をするだけでなく生徒の心を良いほうになるように努めるのも教育者の努めよ」



今日は何だか濃い時間だったと私は思った。





読んでいただいてありがとうございました。

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