3時限目 新入生歓迎会
ちょっと空きましたが投稿しました。
「さて、始めようか。」先輩が新入生歓迎会の開始を合図する。
「おーー」部員一同声をそろえた。
駄菓子からちょっとお高めのお菓子までそろっている。先輩達のお菓子のチョイスは分かりやすかった。
神田先輩は、クッキーとチョコレート。真希先輩は、ゼリーとバームクーヘン。先輩は、駄菓子とロールケーキだった。先輩は伸びる紐のグミとか水を入れて混ぜると色が変わるお菓子とか子供の喜びそうなチョイスだった。
私はワッフルを食べている。サクサクしていてメープルシロップのいい香りがしてとても紅茶に合っていておいしい。
既に3個くらい食べている神田先輩がクッキーを食べながら「このクッキーおいしいねー」と満足した様子だった。
「それ、けっこう高いやつだな。俺も食べよう」先輩は素早くクッキーに手を伸ばす。
「このバームクーヘンおいしいわー。あんた、意外とおいしいお菓子買ってくるのね。」真希先輩は機嫌よさそうに言う。
「もっと褒めていいぞ。甘いもの食べると幸せな気分になれるからな」先輩は笑顔で答えた。
そして続けて
「女性に喜んでもらうためにおいしいお菓子を探すスキルを上げることはパートナー探しのための当然の努力だ。目的達成のための努力は日々怠らないことが重要だ。つまり学校の勉強と一緒だな」
「そ、そうね。み、見つかるといいわね」真希先輩は先輩の発言に若干引きながら苦笑いしている。
「今日も鍛錬ということか」と神田先輩は少し楽しそうに言う。
「お菓子の情報や料理、お出かけスポットや健康に関する話題なども日々調査しているよ。結構忙しい日々だが充実しているよ」先輩は腕を組みながら真面目に語っていた。
私は、なぜ先輩の努力が全力で女の子に養ってもらうために向いてしまうのかと思ってしまう。
あと、先輩は年上は好きそうだけど甘やかしてくれるなら年下や同い年でもいいのかなと考えてしまった。
「プリンが足りない....」詩乃さんがつぶやいた。
「まさか、これが世界精神の選択?私は負けないーー」詩乃さんが何かよく分からないものと戦っているようだけどとりあえずスルーしておこう。
「どうした、シノン。世界精神がなんとかはドイツの哲学者が言ってたセリフだろ。プリンがなくなってることがこの世界にとって歴史的な影響でもあるのか。シノン、よく考えろもっと重要なことを忘れているぞ」先輩が詩乃さんのノリに合わせている。
「うむ、それはいったいなんなのだ。我に教えよ」途中からキャラが変わったような詩乃さんが先輩に答えを求めた。
「そろそろ、お菓子パーティ切り上げないとカラオケを予約した時間に間に合わなくなるぞ」といたって普通の答えだった。
「それは、大変ですね。早く後片付けをしないといけないですね」詩乃さんのキャラがまたブレはじめた。
「宴は次の段階へと移行するというのか。では、それに従おう。」やっぱりキャラがブレてくる。ガンバレ、シノンちゃんと私は心の中で少し応援していた。
そして、私たちは後片付け手早く終わらせカラオケ店へと移動した。
カラオケ店にて
「予約していた神田です」神田先輩は店内に入るとカウンターで受付を始めた。
そして1階の8人くらいは入れる部屋に案内された。
部屋に移動する途中で真希先輩は「カラオケって久しぶりね。新曲はどんなのがあるのかしら」と少し楽しそうに言った。
「よし、俺はアニソン入れるぞ」部屋に入ってすぐに先輩は端末を操作していた。
「♬~~~~~」先輩は楽しそうに高い声で日常系アニメのオープニング歌い始めた。
「来たわね。この間放送が話題になったわよね」真希先輩も知っている曲だった。
「ここは、流れに乗って私もアニソン入れるわ」真希先輩が端末をいじって歌を入れていた。
「とりあえず、J-POPを入れておこうか」神田先輩は手慣れた手つきでわりとみんなの知ってそうな歌を入れていた。
「~~~~♬」先輩が歌い終わった。
「次は、私ね」真希先輩はマイクを受け取って歌い始めた。
「~~~♬~~~」真希先輩が歌い終わった。
「真希よ。お前どこからそんな子供みたいな声をだしてるんだよ」先輩は真希先輩につっこんでいた。
「そ、そんなことないわよ。カラオケの時って普段は出さない声出るものでしょ」真希先輩は恥ずかしそうに答えた。
「そうだとしてもだ。普段と違いすぎるだろ。幼女かと思ったわ」先輩は若干驚いていた。
私も見た目が女子中学生にしか見えない真希先輩が幼女のようなかわいい声だしていたので驚いた。
次は神田先輩が歌い始めた。
「~~~~♬」
一方。詩乃さんは、曲選びに苦労していた。
私は、中学のころよく聴いていた曲を何曲か歌った。卒業式の打ち上げ以来だったがちゃんと歌えた。
結局、詩乃さんはロシアの民謡をきれいに歌っていた。
そして、終了の時間になり最後の一曲は言いたいことも言えない世界にあらがう歌を神田先輩が渋い声で歌いカラオケはお開きになった。
神田先輩が会計を済ませ部員一同店を出た。
「それじゃ、みんな気を付けて帰れよ。1年生の2人もこれからもよろしくな」先輩はそう言って駅の方に歩き始めた。
「まったく、今日の宴はよかったぞ」詩乃さんは満足そうに言ったあと先輩たちとは別の方向に向かって帰っていった。
真希先輩と神田先輩と私も駅のほうに向かって歩いて行った。
先輩たちと駅のホームで別れそれぞれ家に帰った。
新入生歓迎会も終わり一区切りついた。いい思い出になったなと思いながら電車に乗り家へと向かった。
読んでいただきありがとうございました。