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お稲荷物

きつねじゅういち

 湿気と気温でゆだり切った身体は、何かの煮物にでもなった気分。そんな時に、帰り道にあるコンビニは、癒やしの殿堂の様に感じてしまう。


 冷房のよく効いた店内に入って、ほっと一息。イートインスペースで、コーヒーを買って座ろうとしたら、溶けている人がいた。


「あぢゅい……」

「こぁん?」


 九尾の方、撃沈中。洋服で、しかも耳を隠す為かつばひろの帽子を被ってるけど、流石に見慣れてるのですぐ分かっちゃう。コンちゃんがとてとてと頭に乗っても動かない。追加でアイスクリームを買ってきて、顔に近付けると反応が。


「良き……冷菓よ……」


 目礼して、厳かに食べ始める。時々、一気に食べて頭が冷えるのか、目をギュッと閉じたり尻尾が出てきてバタバタ。見ていて飽きない。


「馳走になった……。ありがたや……」


 拝まれた。私が拝む方な気がするんだけど。でも、なんでこんな所に。


「これじゃ!」


 きつね色の鞄から出てきたのはシール台紙。デザートなんかに付いてるシールを集めると色々もらえるあれだ。今回は、確か……。


「そう、これじゃ!」


 凄くしっかりと指差し確認。そこに掲載されているのは、リラックスした狐のマスコット。えー。もはや九尾さんだったら自分で作ればいいのではないかと。そんな事を伝えたら、面倒だと即時却下。とりあえず私も貢献しようと、デザートを購入して台紙にシールを貼れば見事台紙は埋まり、景品交換が可能な状態に!


「たのもうー! こちらのこれをな……」


 キラキラした目で店員さんにお願いする九尾の方。


「あ、さーせん。今在庫無くって、お渡しは来月になりまっすねー」


 なん……だと……という感じで崩れ落ちる九尾の方に、肩を貸してお店を出る。引換券があるから大丈夫!


「今、欲しかったのじゃ……」


 気持ちは分かるけど、狐が人気なのはいい事だと伝えればちょっと元気になる尻尾。


 暑くても、元気になれるものがあるのはいい事。私もちょっと元気になれた。ありがたやありがたや。


 神社についたら、ぐだりさんが手に景品の狐を持っていて奪われたのは、ある意味お約束でした。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 今更ながらタイトルの『きつね』の後ろにあるひらがなの意味に気付いた大馬鹿者です。 かみさまとのこういうお付き合いもいいかもしれないと、のんびり思います。
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