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第三話:出会い

終われるのか心配になってきました(汗)

まだ、始まったばかりなんですけどね〜。なんかトロいんですよ。スピード感が感じられないんです。自分で言うのもなんですけどね(笑)


とにかく、第三話です!

誰がなんと言おうと第三話です!(しつこい)

それでは、ごゆっくり〜。

 ーーああ、頭が痛い。力が溢れてきそうだ。

 泰はこめかみをおさえながら、小屋までの道をたどっていた。

 あの後、泰はすぐに荷物を持って学校を後にした。良くあるためか担任の梅村先生は快く早退を許した。

 唯一、前から泰のことを理解してくれている先生であり、子供たちの評判も良く、大人たちからの信頼も厚い。そんな人が怪物の自分を怖がらず、軽蔑もしないのだ。

学校に来れるのもひとえに彼のおかげと言っていいだろう。

 泰は茜色に染まる空を見上げると片手を伸ばした。こめかみがドクドクと疼き、息が乱れていく。

 ーー少しだけ、放っちゃおうかな……。

 そう気を緩めた途端、何重にも重なった輪っかが鋭い速さで手からほとばしった。空気を裂き、さらには雲に穴を開けた。頭から徐々に重みが減っていき、息も安定してきた。最後は適当にばらまくと、ゆっくりと息を吸い込む。

 放出は定期的に行っていたが、これほどまでの量は初めてだった。これの意味することはわからないが、本能的な野生の勘がそうさせたのかもしれない。あるいは遺伝なのかも……。

 泰は身震いをした。力の暴走は身の破滅を示していたからだ。今は亡き母はそうして死んでしまった。

 泰は頭を振りつつ、一歩目を踏み出そうとした。しかし、前を向こうとして、すぐに立ち止まった。

 足下まで伸びている人影。自分のものではない。はっとして顔をあげると自分と身長が同じくらいの女性が立っていた。

 泰は動こうとしない女性を怪訝そうに見つめた。息をしていないようにも見える。夕日が彼女と重なり、影で顔が隠れるため、はっきりと見ることが出来ない。

 泰はどうしようか悩んだ。このまま知らん顔をして逃げるのも手だ。もしくは話しかけてみるか……だ。

 泰は警戒されないような笑顔でゆっくりと近づいた。向こうもこちらと視線を合わせる。泰は口を開こうとした。

 「……あなた何者?」

 泰は唇を噛んだ。放出をしているところを見られたらしい。嫌な汗が頬を伝う。どうにかしてごまかさないと……。

「さぁ、何の事か……」

「ごまかさないで。あたし見たのよ」

「……」

 全く気づかなかった。力を抑えつけるのに必死で、周りを警戒していなかった。泰は頭をかきむしると息を大きく吐き出した。

「……あんたさあ、村の者じゃないね」

「ええ、そうよ。それがなにか?」

「なら、話が早いや。今の見なかった事にしてくれないかな?」

 泰は懇願するように言った。

「……それは無理ね。見ちゃったものはそうそう忘れられないし。覚えているとまずいことでもあるのかしら?」

「……ああ」

 村からは力を放ってはいけないときつく言われているのだ。放った場合は村から永久追放。二度とこの地に足をつくことはかなわない。もちろん、ばれないように定期的に放出はしていたが。

 だが、今回はまずい。村の人だったら、梅村先生がカバーしてくれるが村の外の人間に見られてしまったのだ。

 泰は頭を下げた。

「……頼む。僕はまだこの村にいたい」

 女性は困ったように眉を寄せる。

「とは言われてもね。忘れようがないし……。あ、じゃあこうしない?」 泰は顔を上げた。

「私はこの村に初めて来たの。どうして来たのかは教えられないけど、今は泊まるところがなくて困ってるの。旅館でもあれば良かったけど、それもないみたいだし……。という事であなたの家にお泊まり出来ないかしら? 私がばらさない代わりに……どう?」

 泰にとっては願ってもないことだった。泊めさせるだけで助かるのだから。ただ、自分の家が旅館に早変わりするとは思わないけど。

「本当に? 助かります! ーーまあ、うちでよければいいですけど……」

 女性はにっこりと微笑んだ。

「お願いします、と。あ、自己紹介がまだだったわね。私は沢口ちづる。あなたは?」

 これが、殺人鬼との出会いであった。

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