どうしよう。なんか人間離れしてる。
開いた【ステータス】の中に居ましたよ。
えぇ、【クローゼット】から消えていた、彼等です。
『七大罪の魔眼』シリーズ。
君達が【クローゼット】から消えていて、正直ホッとしていたんだけど。
まぁ、『エフェクト』まで居なかったことが、せめてもの救い。
感情に連動して、花びらが舞ったり、キラキラしたり、ブラックホールが現れたりしたら
それはもう、人間じゃない。
それと、転生先に持って来ていたのは
Ver1~3の『アイテム』だけでは無かった。
ウルシュ君に貢ぐポイントを稼ぐために、繰り返し続けていたミニゲーム。
それで、経験値やレベルが上がるんだよね。
ポイントと課金と、他プレイヤーさんとの交換で手に入れていた回復薬が腐るほど有ったから
人一倍ミニゲームをして、レベルを上げていると思う。
私を『ラブ☆マジカル』に招待してくれた友人からも
「乙ゲーで、攻略そっちのけでカンストさせる奴、初めて見た。ちゃんとストーリー進めろよ。」
って、言われたからね。友人、元気かな?
いや、なんか苦痛だったんだよ。
ウルシュ君しか必要としてないし、ウルシュ君との交流だけを求めていたから
無駄にキラキラしたイケメンに、鳥肌が立つほど甘い言葉を囁かれ続けるのが、苦痛だったんだ。
だから、作業ゲーだろうが、鬼畜難易度のパズルだろうが
巨大モンスターのハントだろうが、イケメンの攻略作業から逃げられ、
なおかつウルシュ君にポイントが貢げる、ミニゲームへ走るのも当然だと思う。
そんな具合で上げていたレベルまで、転生先に持って来ていたわけですよ。
結果、私の【ステータス】はこんな事になっている。
【ステータス】
名前:イザベラ・アリー・ロッテンシュタイン (6)
種族:人族
HP:999/999
MP:999/999
職業
《公爵令嬢》 Lv3
《魔術師》 Lv99
《剣士》 Lv99
《暗殺者》 Lv99
《狩人》 Lv78
《料理人》 Lv45
特殊スキル
《クローゼット》
《傲慢》▽
《強欲》▽
《憤怒》▽
《暴食》▽
《嫉妬》▽
《色欲》▽
《怠惰》▽
スキル
《状態異常無効》
《全属性耐性》
《物理攻撃耐性》
《身体強化》
《魔力強化》
《高速回復》
《立体機動》
《気配察知》
《気配遮断》
《魔力察知》
《探索》
公爵令嬢のLvが3に対して、暗殺者がLv99でカンストってどうなんだ。
私の本業って何さ。
っていうか、公爵令嬢ってLv99行く事あるのかな?
見てみたい。Lv99の公爵令嬢。
この、『七大罪の魔眼』の横についている、▽ってなんだ。
詳細情報かな。
おっ!!開いた。なになに・・・
《傲慢》望遠。遠くまで見通し、目的の位置で視角を変える事が出来る。
《強欲》鑑定。鑑定を行う。
生物の鑑定は自分よりMPの低い者にのみ可能。
《憤怒》威圧。視界に入る全ての生物に対し威圧をし、行動不能、戦意を喪失させる。
相手のレベルや、相手との距離によって威力が変わる。
《暴食》回収。視界に入れたアイテムを、クローゼットへと回収する。
全体が把握できない巨大な物は不可。
《嫉妬》模倣。自分の持たない固有スキルを一番近い形で模倣する。
固有スキルの発動までの一連を見ている事が条件。
《色欲》透視。物体を透視し、その先を見る事が出来る。
自分よりMPの高い者の作る魔法壁は透視不可。
《怠惰》暗視。暗い所でも良く見える。
・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・。
「どうしよう。なんか人間離れしてる。」
《怠惰》は、ともかくとして・・・。
他のスキルと相まって、凶悪なんだけど。
自分よりMPの高い者には効かない物も有るけど、まず私のMPカンストしてるし。
同じようにカンストしている人が居たとしても
私に《高速回復》とか言うスキルが有るから、自分よりMP消費させる事さえ出来れば発動可能じゃないか?
いや、発動する機会なんて来なくて良いんだけど。
少し嬉しいのが、《強欲》だな。
ウルシュ君と同じ(?)【鑑定】スキルだし。
同じ錬金術科に行くなら、絶対に持っていた方が良いスキルだもんね。
よし、今日からスキルがゲームでは無いこの現実世界で、どのように発動するのか検証しよう。
──────────────────────────・・・
はい。ウルシュ君と出会い、記憶を取り戻してから2週間程経ちました。
その間、全然!!ウルシュ君に会えませんでしたっ!!なんでや~。
手紙のやり取りはしてるけどね。直接会って癒されたいんじゃ。
この世界の子は、10歳から小学校に通うそうなので
庶民の子で、6歳で読み書きできる子は少ないんだけど
流石、商人の子のウルシュ君。読み書き完璧ですね。素敵。
私?私は貴族なので、5歳から家庭教師が入っています。
日本語の知識が邪魔して、ロゼリアル語が覚え難いかと言うと、そうでも無い。
前世の記憶が無い、6年間の生活による物かな?
もちろん日本語も覚えているので、秘密のメモとかは日本語で書いています。
ウルシュ君との交流が進まない間、スキルの検証は着々と進んでいます。
まず、『七大罪の魔眼』シリーズ。
《傲慢》望遠、遠くまで見る分には問題無いけど、視点を変えると酔う。すごく酔う。
《憤怒》威圧、飛ぶ鳥で試したけど、恐怖で身動き取れずに、群れで落ちて来た。
これ人間相手に使うとマズイわ。気の弱い奴なら、これだけで死ぬかも。
《暴食》回収、【クローゼット】には生きた物は入らないようなので、落ちてきた鳥の群れは「一部」回収できなかった。
あと、物が何なのか確認できない位遠いと、回収不可。
ちなみに回収した鳥は、厨房に持って行き、夕飯に成りました。
《嫉妬》模倣、固有スキルの発動までの一連を見る状況が来ないので、検証不可。
《色欲》透視、一番若いメイドさんの今日の下着は、上下白に、白のガーターベルト、黒のストッキングです。
他に透視の使い道が思い浮かばないよね?
《怠惰》暗視、暗い所でも良く見えるね。
で、ウルシュ君と同じ(?)《強欲》【鑑定】さん。なんだけど・・・
周りの人達をコッソリ鑑定していくにつれて、
自分の人間離れ具合が浮き彫りに成り、落ち込む結果に。
例えば、上下白い下着の若いメイドさん。
名前:マリー・メイソン (17)
種族:人族
HP:5/7
MP:1/1
職業
《メイド》 Lv1
《ベビーシッター》 Lv2
《料理人》 Lv2
特殊スキル
なし
スキル
《子守》
《介護》
彼女、15歳からメイドをやっていて現在2年目です。
とくにドジっ子と言う訳でも無く、そつなくメイド業こなしています。
でもLv1。
2年間、真面目にやってLv1ってんなら、どうすりゃLv上がんのよっ!!
あと、HP:7は他の、マリーと同年代の女の子達の、平均値ど真ん中です。
どうしよう・・・・私、HP:999だよ。
うっかり、ウルシュ君に【鑑定】されたりして、HP:999有るのがバレたら
ゴリラかと思われちゃうっ!!
いや、コングだよっ!!キングなコングだよっ!!
大好きなウルシュ君に、キングなコング並みの女だと知られたら、
軽く5年は失踪できるレベルで恥だよっ!!
どうかウルシュ君が、私よりMP低くて私の【鑑定】が出来ませんようにっ!!
・・・・気を取り直して、他のスキルについては。
『職業スキル』と『スキル』を見て、薄々気が付いていたのだけど・・・
これ、もはや『忍者』じゃないか?
《気配遮断》なんて、声をかけるまで、
「目の前に居るのに」気づかれないレベルの精密性を誇るぜ?
この10日間、暇だから忍び放題だよ。
忍んでいた結果、
我が家に代々、長年使えている執事のショーンさん(初老の老メガネ)と、
上下白下着のメイドのマリー(17)の、年の離れすぎた恋愛模様を知ったよ!!
いいねぇ・・・・。
ショーンは若くに奥さんに先立たれ、息子は自立(我が家で執事見習い)。
後は息子に任せ、隠居するだけの人生に現れた、自分を慕う、まだうら若いマリー。
思いを寄せられ、いつの間にかマリーに惹かれているショーンだが、
老い先短い自分には、若くまだ未来の有るマリーには、ふさわしく無いと、
芽生えているマリーに対する恋心、いや愛情を断ち切ろうと苦悩する。
マリーはそんなショーンに、貴方の残りの人生を、私に下さいませんか?と・・・
・・・・何やってんだ、私。
皆さん知っていると思いますが、念のため解説。
※カンスト:カウンターストップ。レベルが上限に達し、それ以上は上がらない事。
※MP:マジックパワー。魔力量の様な物。MPが0に成れば気絶・戦闘不能になる。
※HP:ヒットポイント。体力の様な物。HPが0に成れば、気絶・戦闘不能になる。
本当に、誤字スミマセン↓誤字報告助かります。有難うございました!!
なんか、一話に付き必ず誤字が有る気がする・・・。
さらに、間違い報告有難うございます!!沢山出て来る↓