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悪役令嬢は、庶民に嫁ぎたい!!  作者: 杏亭李虎
カラーズコレクターと七大罪スキル
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《音波攻撃》!!

慌てて【裏クローゼット】はキャンセルして、【クローゼット】も閉じる。

その間にも、ヒルソン子爵との距離が縮まって来ている。


今度は必ず、《憤怒いあつ》を成功させないと!


普段は七大罪の魔眼に魔力を込めたりしないんだけど、相手のMPが私より多いので、意識して目に魔力を集める。

他の人に当たらないよう、高い位置にあるヒルソン子爵の頭に狙いを定めて・・・



憤怒いあつ》っ!!



ガックンと揺れて、ヒルソン子爵の動きが止まる。


「《氷の牢獄(アイスプリズン)》」


ギースの声が聞こえたかと思うと、ヒルソン子爵は一瞬で氷に覆われる。

周囲から、歓声が上がる。


「よっしゃぁぁぁっ!! 動きが止まったぞっ!! 」


「捕獲装置用意っ!! 」


「奴の近くに居る奴らは今のうちに離れろぉっ!! 巻き込まれるぞぉっ!! 」


ツインテールさんの上半身を抱き上げ、引きずってヒルソン子爵の進行方向から移動する。

が、すぐにヒルソン子爵は氷を内側から砕き割って振り払うと、恐竜みたいな咆哮を上げ進行を開始した。


さっき程の強力な咆哮では無かったが、それでも空気がビリビリと震えて肌が痛い。


「ちっ!! もう一度だっ!! 一瞬で良い!! 誰か奴の動きを止めろっ!! 」


何とかツインテールさんを引きずり、通りで待ち構えていた治癒士らしき人達に彼女を預けると、咆哮を繰り返しながら、公園から出て来たヒルソン子爵の方へと駆けだす。


あの、空気をビリビリさせて周囲の動きを鈍くさせる『咆哮』良いな。

あれを《嫉妬もほう》で手に入れて、『咆哮』と《憤怒いあつ》を重ねたら、効果が強くなるんじゃないだろうか?


ちょっと試してみる価値はある。

嫉妬もほう》を発動させ、ヒルソン子爵を視界に収めて『咆哮』する瞬間を待つ。


ヒルソン子爵の裂けた口が開く・・・・・・咆哮、来たっ!! 


空気の振動に耐えながら、ヒルソン子爵の『咆哮』を見続ける。

よっし。手に入ったか? 手に入ったか? 

直ぐにステータスを開き確認する。



《固有スキル》

[雷属性魔法][聖属性魔法][闇属性魔法][空間魔法]

[爆撃魔法][音波攻撃]←NEW[接触型MP吸収(ドレイン)]←NEW



いやったぁぁぁ!! スキルゲット!!

って・・・[音波攻撃]? 咆哮じゃ無いんだ。

あと、接触型MP吸収(ドレイン)とか見た覚えないんだけど、そんなの発動させてたのかヒルソン子爵。

ヒルソン子爵に直接触るのは止めておこう。


では、行きます。


女の子の私には『咆哮』といった雄々しい物は無理なので、『悲鳴』で行きます!

両手をきつく握りしめ、両足を踏ん張ってヒルソン子爵の後頭部に向けて悲鳴を放つ!!


喰らえっ!! 《憤怒いあつ》を重ねた《音波攻撃》!!


叫ぶと同時に、空気が波紋の様に波立つ。あれ? ちょっとヒルソン子爵のと違う。

『咆哮』じゃ無くて『悲鳴』だからか?


でも、効果は抜群だ。

ヒルソン子爵は足を止め、両手を耳に当て苦しみだした。


「ぐあっ!! なんだこの叫び・・・ 脳が揺れるっ!! 揺れるっ!! 」


「耳が痛ぇ!! 頭が痛ぇ!!」


・・・・・・・・・騎士や冒険者達にも、効果は抜群だ。

ちょっと早く、ヒルソン子爵が進行を止めてる間に、誰か何とかして欲しい。

肺活量は有る方だけど、そろそろ声が続かない。


「怯むなお前らっ!! 奴が動きを止めている今がチャンスだ、そこをどけぇ!! 捕獲装置用意っ!! 」


「対象確認っ!! ・・・・・・4機全ての照準が標的に合いましたっ!! 」


この世界、ファンタジー世界だよねっ?!

なんか周囲から、軍事兵器を起動させるような会話が飛んでいるんだけど、何事っ?! コワイ!!

ヒルソン子爵から視線を外せないから周囲の様子を確認できず、何が起きてるのか分からないから余計にコワイ!!


「放射用意!! ・・・・・・放てっ!!」


号令と同時に、私の肺活量が限界を迎え『悲鳴』が止まり、代わりに稲妻が走るような音が響いた。


大きく息をして、むせ返りながらヒルソン子爵を見ると、彼は青い電流の様な物で幾重にも縛り付けられていた。

電流の縄は4方向から伸びて来ていて、その先を視線で辿ると軽自動車サイズの砲塔を無くした戦車の様な物が停まっていた。

砲撃を放つ砲塔の代わりに、50㎝位の青白く光る透明な半球がハマっていて、そこから電流が流れている。


戦車みたいな機械の上には、さっきウルシュ君を預けたドワーフの冒険者が立っていた。

他の3機の上にも人が立っているが、その内の一つには10歳位の白髪、金目の少女がピンク色のロリータ風ミニスカワンピースをなびかせながら、腕を組んで仁王立ちしている。

彼女は何故か私をじっと見つめていたらしく、視線が合うと、それはそれは嬉しそうに笑って、大きく両手を振って来た。


彼女と、どこかで会ったっけ?

いや、あんなクリクリした瞳の可愛い女の子には、会った記憶がないな。

疑問に思いながらも手を振り返して、『捕獲装置』と呼ばれている装置を改めて見る。


装置の側面に、スネイブル商会のマークが入っている・・・・・・


あーー。これ、スネイブル商会のマジックアイテム(?)か。

と言う事は、あのドワーフの冒険者さんと、白髪の女の子はスネイブル商会の人なのね。




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― 新着の感想 ―
[良い点] 裏クローゼットの秘密は持ち越しでちょっぴり残念になりつつスネイブル商会の規格外ぶりが垣間見えるのが……そして金目の少女は何者なのか。 続きをどんどん読みたくなりますね……! [一言] 裏ク…
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