同時発動を確認。
明けましておめでとうございますっ!!
今年も一年よろしくお願いいたします!!
急激なMP減少で眩暈がするが、何とか踏ん張る。MP枯渇までは行っていない様だ。
多分MPだけじゃ無く、HPもいくらか吸われてる。
「押し留めろぉぉぉっ!! ここから奴を出すんじゃねぇ!! 」
周囲でたくさんの人が騒いでいるが、まるで水中にでも居るように、音がくぐもっていて聞き取れない。
揺らぐ視界の中で、倒れたウルシュ君の方へと進む。
ほんの1M程の距離なのに思ったように前に進めず、ようやくウルシュ君の傍にたどり着くと、そこで膝をつきウルシュ君を抱き起す。
「倒れた魔術師達を回収しろ! 戦闘に巻き込まれるぞっ!! 」
ウルシュ君に回復魔法をかけようとするが、身体がグラグラして上手く行かない。
「無事な魔術師をかき集めろっ!! 休んでいる奴も叩き起こせぇぇ!! 」
回復魔法が使えない。まずは自分の回復しなきゃ・・・
ウルシュ君の頭を膝に乗せたまま【クローゼット】からポーションを取り出すと、震える手で栓を抜く。
「くっそ!! なんて力だっ! 化け物か奴はっ!! 防御壁張れる奴らはまだかっ?! 」
ポーションを一気に飲み干すと、視界と思考がクリアに成り、段々と周囲の音がハッキリと聞こえはじめる。
ようやく頭がしっかりと回り始めた私は、ウルシュ君に回復魔法をかけながら【クローゼット】を開く。
中から『MP高速回復アイテム』を取り出すと、自分とウルシュ君に着ける。
MPの多い私が、MP回復アイテムを身に付けるのは初めてだ。これからも慢心せずに身に着けておこう。
「ちょっとぉ!! 倒れている魔術師の避難を早くっ!! 踏んづけちゃいそうで戦闘に集中出来ないわっ!! 」
ウルシュ君のMPが回復していく事を確認して、ようやく落ち着いた私は、状況確認する心の余裕が出来た。
一体なんだよ、あの攻撃っ!! MP吸引攻撃?! エナジードレイン的な奴?!
吸引力の変わらないただ一つの子爵かよっ!!
今日からヒルソン子爵じゃ無くて、ダイ〇ン子爵って呼ぶぞっ!!
キレてる場合じゃ無かった。
状況確認だよ、今やる事は。
周りを見渡すとヒルソン子爵に、騎士や冒険者が総攻撃を仕掛けていた。
ヒルソン子爵の姿は変わり果て、胴と両手両足の長さが二倍ほどに伸び、髪はまだらに抜け、口は裂け、顔全体がのっぺりと、かつ正面に向かって伸びていて、目が何処にあるのか分からない。
ナナフシって言う枝に擬態する虫を白く、かつ中途半端に擬人化した様な不気味な姿だ。
元々が長身の為、伸びた今は3~4M位に成るだろうか。とにかく細長い。
HPが小型地竜並みで、魔弾を打って来るヒルソン子爵だが、対する冒険者や騎士達も引けを取らない。
大人数なうえ、職種が違えど息が合っている。
近くの建物に登り、壁や窓枠に張り付いたまま狙撃している冒険者達もいる。
この国の冒険者と騎士・・・・・・強いな。
さすが魔物の居る世界で生き抜いてるだけ有るわ。
いくら私が転生チートでも、この国で無双は無理だ。数で来られたら余裕で負けるわ。場数が違う。
変に戦闘に参加するより、補助に回った方が良いかも知れない。私、大人数の戦闘だと足手まといかも。
これ放置してたら、”ウッカリ倒しちゃいました”とかなったりしないよね? みんな、分かってるよね?
皆様を信じて、私は補助に回ろう。
あんまり派手な事したら後日ダイモン兄様から怒られるし。
それでは私は、あのMP吸引攻撃を受けた人達の回復と、出来ればMP回復強化のアイテムを配りたい。
倒れている魔術師を探していると、先程トラ耳を欲しがっていたツインテールのお姉ちゃんが倒れているのを見つける。
急いで近くに居た筋肉質なドワーフ冒険者のおっちゃんに、ウルシュ君を任せて駆けだす。
戦闘でごった返す人の間を抜けながら、ツインテールお姉ちゃんの方に向かうのだが、彼女の居る位置はヒルソン子爵の進行方向だ。
冒険者達が進行妨害をしているけど、少しずつツインテールお姉ちゃんが倒れている位置へと近づいていく。
何とかヒルソン子爵より先にお姉ちゃんの元へとたどり着いた私は、【クローゼット】を開き、ポーションを取り出し、アイテムを探す。
「お嬢ちゃんっ!! そこから離れろぉぉぉっ!! 来るぞぉぉぉっ!! 」
声に振り返ると、ヒルソン子爵が進行方向を塞ぐ冒険者達を、片手で薙ぎ払いこちらへと向かって来ていた。
ヒルソン子爵の進行を止めないとっ!!
魔法攻撃? 駄目だ、私のは大技過ぎて周囲の人を巻き込むっ!!
アイテム? 【クローゼット】から探している暇は無いっ!!
どうする? どうする?
何が有った? 足止め出来る物は何が有った?
──────・・・コレだっ!! 《憤怒》発動っ!!
※《憤怒》と【クローゼット】の同時発動を確認。
【裏クローゼット】を開く事が出来ます。開きますか?
・はい◁
・いいえ
は・・・はあぁぁぁぁっ?!
ちょっ!! この一大事中に何? 何なのこの質問?!
【裏クローゼット】とか開いてる場合じゃ無いからっ!!
酔っててタイプミスが多いので、今回ちょっと短め。
間に合えば今日中にもう一話投稿する予定です。(出来なかったらゴメンナサイ)