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悪役令嬢は、庶民に嫁ぎたい!!  作者: 杏亭李虎
カラーズコレクターと七大罪スキル
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よし、完璧っ!!

山小屋から屋敷に帰って来て、5日ほど経過した頃、ポールさんがウルシュ君からの手紙を持って屋敷を訪ねて来た。

すぐに返事が欲しいと言う事だったので、ポールさんを応接間に通して、返事を書くまで待っていて貰う。

受け取った手紙を持って自室に戻り、手紙を開封すると、内容はカラーズコレクターの監禁場所についての調査報告だった。


・・・・・ウルシュ君とスネイブル商会の人達、仕事早すぎでしょ。少し怖いわっ!!


直ぐに返事を書いて、手紙を受け取ったポールさんを玄関先まで見送ると、自室に再度戻って、手紙を4通書く。

1通目は、クリス様に。

2通目は、王妃様に。

3通目は、長兄のトレヴァー兄様に。

4通目は、次兄のダイモン兄様に。


実は、あの山小屋から戻ってすぐに、第2王子がギースの誘拐騒ぎについて、私とウルシュ君が調べて動いている事を、王妃様に喋ってしまったのだ。

・・・なんてこったい・・・・・クリス様に口止めするの忘れてたわ。

そこで、王妃様経由でギースの父親である魔術師団長の耳へと話が入り、長兄のトレヴァー兄様を通して、知り得ている情報の交換を持ちかけられたのだ。

6歳の少女に、情報の”開示”じゃ無くて”交換”を持ちかけるのは、魔術師団長としてどうなんだ。

それというのも、極秘情報扱いに成っているらしいけど、私とウルシュ君がクリス様の呪いを解呪したと言う事にされていて、魔術師団にて一目置いちもくおかれてしまった事が原因の様だ。

実際に呪いを解いたのは、ウルシュ君とクリス様自身だけどね・・・。

ただ、それを主張しちゃうと、クリス様が命かけた事とかもバレそうなので、不本意ながら、黙って手柄を横取りする形になっている。

真実がばれちゃうと、私とウルシュ君とアリスちゃんの命が危ういからね。


話を戻すとして・・・・。

魔術師団長と情報の交換と言われても、前世のゲームの話を抜きにして、上手に説明する芸当など私には無理なので、ウルシュ君が他の誘拐被害者と思われる人達の情報を盛り込んだ、辻褄つじつま完璧な脚本を作ってくれました。

もう本当に困った時のウルシュ君頼みだよ。

ウルシュ君が居なかったら私、上手く世の中渡っていけないかも・・・。


その脚本を元に説明をして、ギースを狙った誘拐犯は”連続誘拐犯”であると言う認識が、捜査に当たっている騎士や魔術師の上層部に広まりました。

ちなみに、カラーズコレクターに、こちらが存在を認識した事が気付かれない様に、ほんの一握りの関係者にしか伝わっていません。

それも、情報を他に漏らさないようにする為、『誓約魔法』をかける徹底ぶりだったそう。


さて、今回ウルシュ君からもたらされた情報ですが

・監禁場所の特定

・監禁されている人数。

・監禁されている人の『色』と、身元が判明した人達の個人情報。


ココまで調べられるスネイブル商会って、何なんですかね?

商会を隠れ蓑にした秘密組織か何かか?

え?私そんな所に嫁に行くの?

・・・ちょっと、楽しそう・・・・・・。


捜査と言った頭脳系は無理ですが、戦闘要員として使って下され。


さて、受け取ったこれらの情報を、さらに4か所に届ける事に成るのですが、どう考えてもコレ、極秘情報です。はい。

当然ながら、マリーちゃんや郵便屋さんにお願いするわけには行かないのですが、そこはロッテンシュタイン公爵家。

しかも当主は現ロゼリアル王国の宰相です。

父の書斎に、王宮にある父の執務室行きの、書簡転送用マジックアイテムが有ります。

これで、クリス様宛と、王妃様宛、トレヴァー兄様宛、ダイモン兄様宛の手紙を、王宮の執務室に居るお父様経由で無事に届けられると言うものです。

お父様が届けている途中で、暴漢に襲われなければの話ですが。


マジックアイテムの呼び鈴を鳴らして、転送先にお父様が居る事を確認して、手紙を4通送ります。

なんかこの作業、特殊捜査チームの裏方みたいで楽しい。


さて、コレで私の役割は終了。


えっ?カラーズコレクターと戦わないのかって?

正直、連続誘拐犯の捕縛なんて、6歳のガキンチョ達が首を突っ込んで良い物じゃないと思うので、情報だけ捜査に当たっている人達に横流しして、彼らにカラーズコレクター騒動を丸投げですよ。丸投げ。


頑張ってっ!!魔術師団の人達と、騎士や憲兵の人達。王都の平和は君達の働きにかかっているんだっ!!


ぶっちゃけ情報提供だけでも、かなり捜査に貢献していると言えると思うのよね。実際に調べたのはスネイブル商会の人達で私はほぼ何もしてないけど。

それでも協力姿勢は見せているので、誘拐犯に狙われたギースサイドには恩を売れたはず。

コレで、少しはギースルートでの破滅フラグを、緩和出来るんじゃないかしら?


まぁ、私が転生している原因が判明した今となっては、そこまでゲームシナリオを意識する必要は無いかな?って思い始めているけどね。

多分、私を魔王にしようとしている人が、前世の私に《七大罪》を組み込む為に行った干渉方法が、乙女ゲームと言う形で発露したんじゃないか。って言うのがウルシュ君の見立て。

私はてっきり、その人が実際に前世の日本に来て、わざわざゲーム会社をおこしたのかと思ってたけど、よく考えたらそんな遠回しな事せずに、来てるんだったら接触すれば良い話よね。ウルシュ君の見立ての方が説得力が有る。

干渉する際に、何らかの形で異世界の情報や、”起こりえた未来”と言った並行世界の情報が一緒に流れ込んだのだろうと。

と、言う事はシナリオに縛られる必要はないけど、多少気を付けておこうって事ね。

実際、ゲームで見た未来とほぼ別物に成っているから、シナリオはもう無視して、新しい脅威が無いかを注意するべきね。

私を魔王にしようとするような、ちょっと頭おかしい男も居るわけだし。




手紙の送信作業が終わった事だし、もう一度ウルシュ君からの手紙を読み直す。

誘拐されている人物の中に、やっぱりヒロインの叔母さんが含まれている様です。

叔母さんの身元が分かったと言う事はですね・・・・

つまり、ヒロインの所在位置も分かったと言う事なんですよ。

ウルシュ君からの手紙には、カラーズコレクターの調査報告以外にも、ヒロインについての調査報告も記載されています。


私とウルシュ君は、カラーズコレクターを大人達に任せて、ヒロインの様子観察など、自分達に直接関係ありそうな方を優先しようと言う事に成りました。


さて、ヒロインですが

現在、母親と二人で王都の商業地区にある、集合住宅にて生活しているそうです。

この前、私が騎士団達と鬼ごっこをしたときに、私が駆け上った建物の一つ

5階建ての建物の3階、307号室に住んでいるとの事。個人情報・・・・。

そして結構近くに居たのね・・・・ヒロイン。

母子家庭で住むには、すこし家賃がお高めですが、住めない事も無い。

それと、父親であるヒルソン子爵がヒロインを認知していて、生活費を援助しているとの事。

ヒルソン子爵家は領地を持たない官職系の貴族との事。そんなん有るのか、知らなかった。

ヒルソン子爵と子爵夫人は政略結婚。

子爵夫人はそこそこ裕福な商家出身で、子爵家を経済的に援助する約束で婚姻を結んだらしい。

正妻との間の子供は、女の子2人。

ミリアーナ・リリィ・ヒルソン子爵令嬢(7)彼女は、将来のギースルートの悪役令嬢だね。

バーバラ・レイミー・ヒルソン子爵令嬢(6)彼女は、将来のブライアンルートの悪役令嬢。

彼女たち二人に、愛人の子供であるヒロインは、学院で虐められる事に成るのだけど・・・。

報告によると、学院に入る前である現時点で、既に虐めは始まっている様だ。


そして、肝心なヒロインの名前が・・・・


マリエタ・プレア(6)


なるほど、ヒロインの名前はマリエタか。

ゲームでは名前も苗字もプレイヤーが設定できる仕様だったから、この世界のヒロインの名前が分かんなかったんだよね。


ウルシュ君の予想では、彼女が転生者である可能性は限りなく低いらしい。

スキルも現時点で、特殊な物は持っていないとの事。

そして、報告書を読むに・・・まぁ、異母姉妹のイジメの酷い事、酷い事。

さて、どうしようかな。

こんなイジメを受けている事実を知っちゃうと・・・・なんか、知らんふりは出来ないなぁ。

でも、衝動で行動しない様にってウルシュ君に言われているしなぁ・・・。


よし、ウルシュ君の所に遊びに行こう。

その時に、ちょっとヒロインの住んで居る集合住宅の前を通って、様子を窺おう。

で、そのままウルシュ君に会いに行って、ヒロインに接触しても良いか許可を取ることにしよう。

よし、完璧っ!!


うあーーー。0時に間に合いませんでしたぁ。ごめんなさーいっ!!


カラーズコレクター・・・丸投げが成功すれば良いけどね・・ふふ。

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