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悪役令嬢は、庶民に嫁ぎたい!!  作者: 杏亭李虎
カラーズコレクターと七大罪スキル
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質問しても良いかな?

私の話を聞いて、頬杖をつき、しばらく無言で考え込んでいたウルシュ君は、ふと私の方へと視線を向けた。


「イザベラは、この誘拐の件、どうしたいのぉ?」


「う~ん。カラーズコレクターとは関わりたくないっていうのが、正直な気持ち。カンストした私で、高スペックな攻略対象6人を仲間に、7人がかりで何とか倒せる相手だから、今の私じゃ勝てないと思うの。実戦苦手だから。」


「えぇ~。誘拐犯、そんなに強いのぉ?・・・イザベラでも難しいのかぁ~。それ人族?」


「どうだろう?種族については特に語られて居なかったかな。とにかく、犯人を変につついてウルシュ君とアリスちゃんが狙われても困る。でも今、監禁されている人達や、ギースが狙われ続けている事を考えると・・・知らないふりはできないと言うか、何とかしたい気もすると言うか。」


だけど、居場所も存在も分かっていない誘拐犯を捕まえる為に、他の人たちの協力を得ることは難しいのよね。


「どうにかしたくてもぉ、イザベラ、勝てそうに無いんでしょ?危ないよねぇ。」


「うん。ゲームではHP・MP共に、上限999までっていう制限が有ったっていうのも有るけど・・・カラーズコレクター、素早い上に、当たり判定が厳しいのよね。」


「当たり判定ってなに?」


「攻撃がもろに入っているかどうかっていう判定の事。命中率っていうのかな?」


ラスボス並みの固さと攻撃力に、鬼畜シューティングゲームが組合わさったかのような、鬼仕様だったんだよ。

こっちの攻撃は、バグ技使ってんのかっ!!って位に全然当たらないのに、向こうの攻撃は、画面一杯に広がって、当たる当たる。

あいつ、本当に人間だったのかな?

もしかしてゲームで語られて居なかっただけで、ウルシュ君が疑っている様に人外だったんじゃないか?

ウルシュ君と二人並んで考え込む。


「・・・。あれっ?攻略対象6人を仲間に、7人がかり?攻略対象って3人じゃないのぉ?」


急に声を上げて、ウルシュ君が頭をあげる。

そういえば、私に関係のあるVer1の攻略対象しか、ウルシュ君に説明していなかった気がする。


「えーと。Ver2とVer3で3人ずつ攻略対象が追加されるんだよねー。私には全く絡んでこないし接点無いから、省いたけど」


それぞれの攻略対象を、ある程度攻略してイベントをクリアしたら、次のVerに進める仕様なんだけど、その間に攻略対象が増えていくので、逆ハー狙うのは大変なんだ。

9人の攻略対象をクリアしたら、隠しキャラが攻略出来ると聞いて、『もしかして隠しキャラはウルシュ君では?ウルシュ君が攻略出来るかもっ!!』と頑張って逆ハーして、隠しキャラを出したけど、ウルシュ君じゃなかった時のあの絶望感。


メイン3人攻略する間にも、学年が上がる度に攻略対象が3人ずつ追加され、それぞれの悪役令嬢やら、カラーズコレクターといった敵やらの相手もしないといけないので、本当に時間がかかったんだよね。

もし、ヒロインが私と同じ転生者だったとしても、ゲームの様に逆ハーするのは、まず無理だ。

あれはゲームだから出来る事であって、現実でやろうとしたら、命と時間がいくつ有っても足りない。


「と、言う具合でね。ゲームの攻略対象は最終的に合計10人なんだよ。」


「ふーん。まぁ、同じ学園に通う人達相手に10股っていうのは、現実的じゃ無いよねぇ~。やっぱり、そこまでゲームシナリオを恐れる必要は無いんじゃないかなぁ?現実世界にゲームの設定がそこまで影響するとは、僕には思えないなぁ。」


「う~ん。確かに今は、心配する気持ちは無くなってきたかも。10人のうち学院外の攻略対象も居るけど、ヒロインじゃない私には接点が本当に無いのよね。ただ、カラーズコレクターと戦うなら戦闘要員として必要だし、どうしよう。」


全く接点の無い悪役令嬢の私が、どうやってカラーズコレクター退治に攻略対象者を巻き込めば良いのか、全然分からない。


「その戦闘要員の攻略対象者って、今何歳くらいかなぁ。」


今何歳くらいか?

学院で会うキャラは同年代だし、学院の外の攻略対象は・・・


「最年長で、現在200歳超えかな。」


「・・・。間違いなく人族じゃ無いねぇ。」


まぁ、そいつ隠しキャラだけどね。

他の学院外の攻略対象は現時点で、10代そこそこだったかな?いや、20代もいたかな?

正直、ウルシュ君以外に興味がなかったから、うろ覚えだよ。


「その、200歳超えの人は、カラーズコレクターと戦ってくれそうなのぉ?」


「いや、全然。その攻略対象は、カラーズコレクター退治のメンバーじゃないんだよね。」


って言うか、2周目でしか会えない上に、やろうと思えば、そいつ一人でカラーズコレクター倒せちゃうからね。ゲーム的に過剰戦力に成っちゃう。

あれ?もしかして、キングなコングの私より、はるかに強い?


「じゃあ、ゲーム通りに攻略対象とカラーズコレクターを倒す案はなしねぇ。別のメンバーを組んで行こうかぁ。」


ウルシュ君はメモとペンを用意して、机の上に広げる。


「あれ?ウルシュ君。カラーズコレクター退治に協力してくれるの?」


基本的に、自分の興味の無い人や事象の事は、どうでも良いタイプのウルシュ君が、前向きにカラーズコレクター退治の作戦を立てている。

一体何がウルシュ君の興味を引いたんだろう?


「だって、イザベラが気にしているんだもん。あのメイドさんの時や、第二王子を連れて来た時もそうだけどぉ、イザベラってば誰かの事が心配に成ると、何かしたくなるでしょ?危ないからって止めさせても、イザベラは気に成って仕方ないだろうからねぇ。」


なるほど、気に成るとジッとしていられない私の為でしたか。

この短期間で苦労かけたね、ごめんねウルシュ君。


「でも、カラーズコレクターは本当に強いし危険だから、この件に関しては、ウルシュ君を巻き込めないよ。正直、今までのどれも、私の自己満足みたいなもんだし。ウルシュ君を危険に近づける位なら、知らなかった事にして、やり過ごす事も考えるよ?」


別に私は、全てを愛し守る聖人っていう訳ではないんだから、いざとなったらギースを犠牲にする事も選択肢に入れるよ。

一生後悔する事に成るだろうけど、ウルシュ君の身の安全には変えられない。


「でも、そんな事すればイザベラは悩むし、罪悪感を感じるでしょ?僕はねぇ、幸せそうに笑うイザベラが好きに成ったの。伸び伸びと自由に駆け回るイザベラが好きなの。だから、誰だか知らない他人の為に、気に病んだり、罪悪感に駆られて、イザベラが思いっきり笑ったり自由に駆け回れなくなってしまうのは、嫌だなぁ。」


そう言うと、ウルシュ君はフニャリと笑って、私の前髪をグシャグシャとかき混ぜる。


「だからねぇ?イザベラを悩ませる、異常な誘拐犯には・・・早々に退場して貰おうねぇ?」


あぁっ!!黒いっ!!癒しのフニャリとした笑顔なのに、気配が凄く黒いよウルシュ君っ!!

私も、ギースや攫われた他の人を見捨てようとする悪人だから、人の事をとやかく言えないけど、今のウルシュ君は何だか悪役っぽいよっ!!

そのまま覗き込んで来るウルシュ君に、羞恥心と恐怖心で逃げ腰に成る。

羞恥心と恐怖心って、同時に感じる事が出来るんだねっ!!新しい発見だよっ!!

なんか、ウルシュ君が居れば、カラーズコレクターを余裕で倒せそうな気すらしてくるよっ!!


ただ、ウルシュ君の言う「退場」に物騒な意味が隠れてそうな感じがして、少し不安にも成るんだけど・・・。


「じゃ・・じゃあウルシュ君。まだ世間一般に知られていない、カラーズコレクターを倒すのに必要な人材は、どこから見つけたらいいかな?」


そもそも、どんな名目で集めたら良いのかも分かんないんだけど。


「その辺りは僕に任せてぇ。大切なのは戦闘要員の数じゃなくて、戦う前から勝敗をつける為に、どこまで事前準備が出来るかだよぉ?」


おぉ・・・ウルシュ君。何か凄く頼もしい。

ただ、私には”戦う前から勝敗をつける”の意味が理解できない。

話しについて行けてない私を置いて、ウルシュ君はメモに計画や必要な作業を書き込んでいく。


「カラーズコレクターが世間に認知されてない今が、逆にチャンスかもしれないねぇ。つまり彼の存在や目的を知っている僕達の事も、相手は知りようが無い訳だからぁ・・・・これは動きやすいよぉ。」


確かにっ!!世間に存在を認知されてしまったら、相手のガードも固くなるかもしれないけど、自分の存在がまだ知られていないと思っている今なら、隙が有るかも知れないっ!!


「まずは、監禁先の特定だねぇ。憲兵に保護されたって言う事だからぁ、憲兵の巡回している地域から半径30km圏内の、人の住処や建物が無く、野生動物が少なく、かつ、あまり手入れのされていない山か森が有る地域。これだけで結構絞れるはずだからねぇ。」


「え~と。それぞれの項目について、何故そうなのか、質問しても良いかな?」


「良いよ~。まず、王都から離れる程に憲兵の巡回が無くなるのは何となく分かるよねぇ?ギースが何で意識喪失したのか分からないけどぉ、目が覚めた時には地下だった事や、憲兵に保護された事から考えて、王都からそこまで離れていないと思うんだぁ。憲兵の巡回地域より外なら、保護するのは冒険者だろうし、冒険者ギルドを通して、護衛されながら王都まで一直線だから、憲兵が介入するタイミングが無いんだよねぇ。」


「じゃあ、半径30km圏内って言うのは?」


「僕なら、自分の現在位置が分からない状態で、誰かから逃げ隠れしながら山を歩く事に成ったらぁ、一日かけてせいぜいその位の距離が限度かなぁ?って思っただけで。もしかしたらもっと距離が有るかも知れないけど、普段から山歩きした事の無い貴族の子供なら、その位で十分じゃないかなぁ?裸足だったみたいだし?」


なるほど、さっきの話でそこまで読み取る事が出来るのか。ウルシュ君スゲェ!!


「あと、その山だか森だかに拠点を持つ犯人から、逃げ隠れ出来るって言う事は、隠れる場所が多いって言う事だよねぇ。起伏が有って、手入れされていない鬱蒼とした感じの場所だと考えられるしぃ、裸足で歩いたら怪我をしていると思うけど、血の匂いにつられた野生動物に襲われなかった事を考えると、やっぱり場所が絞られるよねぇ。と、言う事で僕が考える監禁場所候補は、3か所かなぁ?」


今の時点で、既に3カ所まで絞っているっ!!ウルシュ君パネェ!!





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[一言] ???「うんうん、イザベラを悩ませる『悪い子』は、しまっちゃおうねぇ」
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