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悪役令嬢は、庶民に嫁ぎたい!!  作者: 杏亭李虎
カラーズコレクターと七大罪スキル
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分からないのよ。

「イザベラお嬢様、この誘拐が何か・・・。」


ポールさんが心配そうに、私の様子をうかがってくるけど、一体どう説明したら良いだろう。

噂で誘拐についての話を聞いたと言ったら、どこで誰から聞いた情報か?って成るし。

それに私の知っている情報は、全て前世のゲームで公開されていた情報だから、その情報が現実のこの世界で、どこまで通用するのか分からない。

第二王子の時みたいに、ゲームでは語られていなかった裏事情とかも有るかも知れないから、適当な事言えないわよねぇ・・・


その後も話を聞きたがるポールさんを、のらりくらりと、かわしながらオムライスを食べる。

ウルシュ君・・・後でちゃんと説明するから、ガン見するの止めてね。

なんか恐いのと恥ずかしいのとで、自分が今なに食べているのか、分からなくなるから。


昼食の後、第二王子は早速スキル操作の訓練の為に、マーキスさんに弓を教わる為に出て行った。

なぜスキル操作の訓練に弓矢なのかと思えば、ウルシュ君いわく、常時発動型のスキルを、急に遮断しようとしても無理なのだと。

常時発動の状態から、精密操作が出来るように成ってようやく、徐々に自力で抑え込む事が出来るので、スキルをピンポイントで発動できるように成る事が先決だと。


「って言う事は、ウルシュ君も弓矢を扱えるの?」


ウルシュ君も”強欲王マモンの目”の訓練の為に、弓矢を使ったのかと思い、聞いてみると、予想と違い首を横に振られた。


「僕の能力と、第二王子の能力は種類が違うからねぇ~。僕はひたすら一点集中で、深くどこまでも鑑定する方法で精密操作の訓練をしたけど、第二王子の能力は完全に対人スキルだからねぇ。弓矢に慣れるとスキル発動するときのイメージ訓練にも成るかなぁ?って思って、個別に訓練を組んでみたんだぁ~。」


なるほど、確かにターゲットに狙いを定めてスキル発動するには、弓矢を射るイメージは有っているかもしれない。

私も弓矢を始めようかな。

あ、必要ないや。狩人スキルに”弓矢”と”投擲”に”槍投げ””解体”その他、諸々もろもろのスキルが含まれてるわ。


この職業スキルって、ある意味ファイルみたいな物だね。

職業スキルに必要なスキルが揃うとファイル化されるみたいな。

これ、組み合わせ次第では新たな職業スキルを作れるんじゃない?忍者とか。

暗殺者スキルが物騒な名称だから、なにかと組み合わせて忍者にならないかな?


「ところでぇ、アマリリス嬢を第二王子と一緒に、弓矢を習わせに行かせたのはどうしてぇ?フォークみたいな槍を持ってたから、アマリリス嬢は近接型だと思ったんだけどぉ」


そう、弓矢を習いに行く第二王子と一緒に、アリスちゃんにも弓矢を習うよう、マーキスさんに付いていくよう勧めたのだ。


「アリスちゃんは、投擲とうてきや狙撃とかのスキルを持っているから、弓矢も直ぐに出来るんじゃ無いかっていうのと、レベルは上がっているけど、それは爆撃アイテムでワーム殲滅した経験値で上がったレベルだから、実際にアリスちゃん自身が強いかと言うと、そうでもないのよね。」


私もレベルといったステータスは高いけど、実戦じゃたいして強くないからね。

ゲーム流ステータス上げの弊害へいがいだね。


あとは、第二王子とアリスちゃんの接点を作って、仲を深めて貰おうって言う作戦でもあるけど。


「そっかぁ。アマリリス嬢が第二王子と一緒に正義の味方をするなら、爆撃アイテムに頼らない戦闘方法も持っとかないとねぇ~。街の建造物の為にも。」


「うん。広範囲爆撃は被害が甚大じんだいだから、せめてピンポイント爆撃が出来るように成ってくれたら、私も安心して行商に行けるわね。」


「ピンポイント爆撃かぁ・・・そんな事が出来る様になったら、軍事利用されそうだけど、アマリリス嬢は第二王子の仲間入りしたから、まぁ大丈夫かなぁ。」


ピンポイント爆撃って、そもそもが軍用だよね。

もしくは建造物の解体作業。


「ふふっ、でも良いねぇ。ピンポイント爆撃かぁ。そんなアイテムが出来たら、売れるかなぁ~。」


ウルシュ君、それアイテムちゃう。兵器や。


「創るのは良いけど、売るのは止めとこう?色々な所から狙われて、面倒な事に成りそうだから。」


「そうだよねぇ。売り出すのは止めようかぁ。行商で売れるような商品じゃ無いもんねぇ。」


行商で売るつもりだったのか。

行商の武器商人って、裏稼業臭うらかぎょうしゅうが半端ない


「ところでぇ、さっきの誘拐未遂の話だけどぉ・・・・何か知ってるの?」


「う~ん、それね。ゲームの知識だから、ポールさんに説明が出来なくて、困ってたのよね。」


私の前世の事を知っているのは、ウルシュ君だけだから、それ以外の人にゲーム知識を説明しようとしたら、”どこかで聞いた”とか”何かで読んだ”とか言う、不確かな情報に成るから、怪しい事この上ないんだよね。


「ゲーム設定シナリオってやつ?それに今回の誘拐の事があるのぉ?」


「そう。本当は一年後、ギースが7歳の時、初めてお茶会に参加した日に起こる事件とされているんだけど、今回ギースがお茶会に参加した事によって、誘拐が前倒しに成ったんじゃないかと思うんだけど・・。」


「ふ~ん。でも未遂に終わったから、良かったねぇ。」


「それが、かえって良くないのよ。ギースが誘拐されて逃げ出す事によって、誘拐事件の犯人である”カラーズコレクター”の存在が、世間に知られる事に成るんだから。未遂だと言う事は、あいつの存在が知られないままと言う事。」


ちなみに奴は失敗しても、獲物を手に入れるまで諦めない。

今回失敗した事によって、さらに慎重に成るだろうから、かえって厄介やっかいに成る。


「世間が存在を知らないと、なにかマズイのぉ?」


「シナリオ通りなら、最低でも1人、6年前に10歳になるピンク色の髪の少女が、そいつに誘拐されている筈。他にもその子を含めて、最大12人、いや、ギースの誘拐に失敗したから、最大11人が誘拐されている可能性が有るの。」


「なんで犯人は、最大12人集めようとしてるのぉ?」


「12色クレヨン。」


「へ?クレヨン?」


「クレヨンじゃ無くても良いの、とにかく12色セットの画材を想像して欲しい。犯人”カラーズコレクター”は、その12色の髪色を持つ人間を12色セットで集めたいのよ。だから通称”カラーズコレクター”もしくは”クレヨンコレクター”って呼ばれる様に成るの。」


連続誘拐犯なうえに、執念深くて、獲物に選ぶと中々諦めないから、本当に厄介なのよね。

それに、ギースみたいに”青い髪の色”を持つ人間が、中々居ないのも諦められない原因に成っているのかも。

攻略対象や、ヒロイン。それにレギュラーキャラって特殊な髪の色をしているから、犯人にしてみればウハウハだね。


ちなみに、その12色に金・銀は含まれていないから、私と第二王子はセーフ。

だけど、黒のアリスちゃんと、肌色?って言うかベージュ?のウルシュ君はアウト。

2人を狙おうものなら、私が全力でぶっ潰すけど、ゲームでカンストしていた私でも、苦戦した相手なのよね。

今の私はゲーム設定を外れて、ゲームカンストの数値、HP:999を超えているけど、安心できないわ。


「・・・・12色に執着している・・・。ねぇイザベラ。その話、もっと詳しく教えてくれる?」


「いいよ。」


7歳のギースは、騎士団長子息、ブライアン・ニック・アンダーウッドの家である、アンダーウッド伯爵家で開かれたお茶会が、お茶会の初参加。

そこで、ブライアンに誘われて庭を散策している時に、青い布で包まれたかと思うと、意識を失う。

ブライアンは他の子供達と先に進んでいたが、振り返った時に布に包まれ、連れ去られようとしてるギースを目撃し、慌てて駆けだすが、そのままギースを連れ去られてしまう。


直ぐにギースと誘拐犯の捜索が始まり、実行犯はすぐに騎士団に捕らえられたが、事情聴取をしようとした瞬間、実行犯は血を吐き死んでしまい、ギースの行方が分からなくなってしまう。


誘拐されたギースは、地下の様な場所で目を覚まし、そのまま2ヵ月ほど監禁されたまま過ごす。

そこで出会った17歳のピンク色の髪をした女性に、はげまされ、何とか気を強く保つ事が出来る。

彼女は10歳の頃、年の離れた姉に子供が生まれたので、毎日その子を見に行っていたが、その帰り道に誘拐されてきて、7年もとらわれたままだと言う。

他にも黄色や赤い髪の人達、ギースより年下の子も囚われていて、ずっと出られないままだと。


ある日の事、犯人の一瞬の隙を付いて、ピンクの髪の女性がギースを地下から脱出させる。

他の人達を助ける為に、必死で逃げ、裸足で森か林の様な所を1日中走り続けて、なんとか人の居る所まで逃げ切ったギースは憲兵に保護される。


そのまま熱を出し寝込んだギースは、3日後に目を覚ますとすぐに、他の囚われた人達の救出を願うが、7歳のギースは必死に逃げ隠れしながら走り回っていたため、囚われていた場所を、はっきりと特定出来なかった。


ギースの曖昧あいまいな情報を頼りに、大捜査が行われたが最終的に監禁場所の発見にいたらず、3か月後、捜索が打ち切りとなる。

自分だけが助かり、他の人達を助けられなかったギースは、その事に思い悩み、監禁場所を覚えられなかった事を後悔し続ける事に成る。


さらに、誘拐犯がギースを取り戻そうと、何度も手下を送り込んで来る為、ギースは心休まる時が無くなる。

だが周囲の人達を心配させまいと、穏やかな笑顔にすべての感情を押し殺し、あまり自分の気持ちを表に出さなくなり、それを見ていたブライアンは責任感を感じ、よくギースの傍に付き添う様に成る。


その8年後、15歳に成ったギースは魔術学院に入学し、監禁場所で一緒に捕らえられていた、ピンク色の髪の女性によく似た少女と出会う。


その少女が主人公ヒロインである。


主人公ヒロインは、自分を助け、地下から脱出させてくれた女性の姪だった。

彼女は10歳の頃、赤ちゃんのヒロインに会いに行き、その帰り道に誘拐されたのだった。


ヒロインの叔母に助けられ、その彼女を助けられなかった為に、ヒロインに対して引け目を感じるギース。

そこでギースは、彼女が大切に思っていたヒロインを、何かと助ける様に成る。

その中で彼は、ヒロインの前向きさ、誠実さを知り、心惹かれていく。

しかし、ヒロインの叔母を助けられなかった事に引け目を感じるギースは、その思いを胸に収めようとする。


だが、Ver2で急展開を迎える。

Ver2の初め頃は、ギースだけを狙っていた誘拐犯だったが、なかばからヒロインも狙う様に成る。

そう、12色コレクションの”ピンク色が欠けた”ために、補充として、同じピンク色の髪を持つヒロインも狙われる様に成ったのだ。


その事実を知ったギースは、彼女を最後まで救い出せなかった後悔に押し潰されそうになるが、ヒロインに支えられ、ブライアンを含む、他の攻略対象と共に誘拐犯”カラーズコレクター”と対峙する事を決めるのだ。


「最終的には、Ver3で”カラーズコレクター”を倒して、他の囚われていた人達を解放して、氷漬けで保存されていたヒロインの叔母を無事に埋葬してあげて、ギースが彼女の墓前で、”ヒロインをこれから先も守って行く”宣言してギースルートはめでたしなんだけど、結局、監禁場所は端折はしょられていて具体的に分からないのよね。」


「ふ~ん。それで・・・誘拐犯の見た目はぁ?」


「それも分からないのよ。結構、高身長の男だっていう事しか。」


「うん?どうしてぇ?戦闘するんじゃないの?」


そう、戦闘シーンは有る。だが、犯人の見た目は分からないのだ。何故なら・・・


「犯人”カラーズコレクター”は豚の頭の皮を、すっぽり被っていて、素顔どころか髪の色も年齢も、分からないのよ。」




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