成ったら?
平原に残ったワームの残骸ですが、表面の皮や、内臓が素材になるそうで、マーキスさんが引き受けてくれました。
私とアリスちゃんは、ワームを持って帰ったところで、どうしようもないので、有り難く後処理をお願いして山小屋に帰ります。
山道を登る途中で、アリスちゃんは立ち止まり、不安そうな顔で、私の顔を見る。
「どうしたの?アリスちゃん。」
「ベラちゃん。私、レベルが上がりましたかぁ?山小屋につく前に、確認して貰えませんかぁ?」
山小屋に帰って一息ついてから確認をして、持っているスキル一覧と共に、メモを書いて渡す予定にしていたんだけど・・・
アリスちゃんは山小屋につく前に知っておきたいらしい。
「もし、殿下よりレベルが低かったら、私、山小屋に帰れませんわぁ・・・だから、今確認してぇ、足りなかったらレベルが上がるまで、山で何か捕まえてきますぅ・・。」
一人で狩りに出るつもりっ?!
って言うか、絶対に必要ないと思うよっ?!
あれだけの数のワームを殲滅しておいて、未だにレベル4以下だったら驚きだよっ!!レベル4の壁が高すぎるよっ!!
だけど、実際の結果を知らなければ、納得出来ないだろうし・・・
と、言う事で、私とアリスちゃんは、山道の開けた所に有った、大きな切り株に腰かけた。
おっきなフォークを持って、おっきな切り株に腰かけるアリスちゃん。
やっぱり妖精か小人みたいで可愛いなぁ。
「では、アリスちゃん。覚悟は良いですか?」
問いかけると真剣な面持ちで、頷く、アリスちゃん。
そんなに緊張しなくても、大丈夫だから・・・・ほら・・・
《ステータス》
人族:アマリリス・エリー・ブルネスト(6) Lv:15 ←(12UP)
HP:29/53 ←(47UP)
MP:60/60 ←(7UP)
身分:
ロゼリアル王国 ブルネスト侯爵家 次女
ロゼリアル王国 侯爵令嬢
《職業スキル》 *レベル最大:Ⅹ
[魔術師の卵Ⅱ][縫術師Ⅰ][槍士Ⅰ]←(new)
[砲撃手Ⅱ]←(new)[発破技師Ⅰ]←(new)
《特殊スキル》 *レベル最大:Ⅹ
[超加速Ⅰ]
《固有スキル》 *レベル最大:Ⅹ
[魅了Ⅶ][爆撃魔法Ⅰ]←(new)
[HP消費緩和Ⅳ]←(new)[HP回復強化Ⅲ]←(new)
《スキル》 *レベル最大:Ⅹ
[物理攻撃耐性Ⅱ]←(new)[身体強化Ⅰ]←(new)
[火属性魔法Ⅱ]←(new)[火属性耐性Ⅳ]←(new)
[水属性魔法Ⅰ][風属性魔法Ⅰ][光属性魔法Ⅰ]
[水属性耐性Ⅰ][風属性耐性Ⅰ][毒耐性Ⅲ]←(2UP)
[魅了耐性Ⅶ][動体視力Ⅷ]←(2UP)[刺繍Ⅴ]
[持久力Ⅲ]←(new)[採取Ⅰ]←(new)
[投擲Ⅱ]←(new)[狙撃Ⅱ]←(new)
《称号》
[爆撃狂]
って、上げ過ぎたーーーーーーーっ!!
やばいっ!!このHPなら、第二王子を一瞬で仕留められるっ!!もちろん物理的な意味でっ!!
しかも、『爆撃魔法』だとっ!?○○属性魔法とかじゃ無く、爆撃特化っ?!
そして、何だっ?!この物騒極まりない称号はーーーーっ!!
あっ!!でも、そうですよねー。
30分で200発も爆撃すれば、その称号も納得しまs・・・・って、納得したら駄目だっ!!
侯爵令嬢なのに『爆撃狂』だなんてサイコパスな称号が付いたら、ゲームとは違う意味で『悪役令嬢』だよっ!!
そして、このレベルとHPは、一人前の冒険者レベルだよっ!!
残念ながら、マーキスさんには劣るけどっ!!
いや、6歳児の令嬢がC級冒険者と並んだら不味いから、劣っているならギリギリセーフか!!
ん~後は、[槍士]の職業スキルが現れているから、『巨大フォーク』は槍や矛扱いになったんだー。へー。
ひとしきり心で突っ込んだり、納得したりした後、アリスちゃんに結果を伝える。
「ふぇぇ・・・良かったですぅ~。」
良かったと言えば良かったけど、良くないと言えば良くないからね?
私と同じで、ある意味、女子力が下がっているからね?
まぁ、当初の目的が達成されているならOKかな?
これなら王子のレベルが上がって行っても、中々追い越せないだろうねっ!!
第二王子が騎士団とかに入って、前線で活躍する様な英雄に成らない限りは・・・
えっ?!無いよね?!
私、いま、フラグ建てたりして無いよね?
「えへへぇ~。ベラちゃん、安心したら私、お腹が減っちゃいましたぁ!!山小屋に帰ってご飯を食べましょ~!!」
そう言えばアリスちゃん、日の出前の朝食以降は、回復薬しか口にしてないもんね。
私は山小屋と平原で、2回朝ご飯を食べたけど。
残りの山道をアリスちゃんと手を繋いで帰る。
もしかして、アリスちゃんは、私の初めての友達に成るのかしら?
もう長年一緒に居る気分だったけど、よく考えたら、昨日のお茶会が初対面だったのよね~。
これからも、仲良く出来たら良いな。
そして、アリスちゃんの破滅フラグも折れたら良い。
「あ、イザベラとアマリリス嬢、おかえりーっ!!」
山小屋に着くと、ウルシュ君が笑顔で出迎えてくれた。
・・・もう起きたのね。
「ただいまウルシュ君っ!!アリスちゃんのレベル上げ、終わったよーー。」
「ウルシュ様、ただいま戻りましたわぁ」
アリスちゃんに言われて、ウルシュ君は複雑そうな顔をした。
「僕、アマリリス嬢に、様付けで呼ばれるような立場じゃないから、普通に呼んでねぇ?」
あ、アリスちゃんは侯爵令嬢で、ウルシュ君は大商会とは言え、商人の息子だからね。
身分を気にしているのかな?
「ふぇ?ではウルシュさん?」
アリスちゃんは首をかしげて、呼び直す。
「ん~、まぁそれで良いかな?あ、あと、第二王子起きたよぉ~」
「ふぇっ!!」
そのまま、3人で山小屋の中に入って行くと、テーブルの席に着いて、サンドイッチをかじっていた第二王子が、こちらに視線を向ける。
いまだにハイライトの消えた目だし、眠たそうな半目に成っているが、薄笑いはしていない。
「ふぇ・・・・クリストファー殿下。」
硬直するアリスちゃんに向かって、第二王子は軽く手を挙げると、ワンテンポ遅れて、無気力と言うか、脱力した様な感じで、挨拶をする。
「・・・・・ど~も。・・・・おかえり?」
ふぅおおおおおおおおおっ!!
第二王子がっ!!第二王子がっ!!
「シャァベッタァァァァァァァァァっ!!」
「イザベラ・・・落ち着いて?」
ウルシュ君は、興奮する私と、硬直するアリスちゃんを落ち着かせると、第二王子と同じテーブルに着かせた。
冷静に成った私達と、第二王子が、お互いの自己紹介を終わらせると、ウルシュ君が話を進める。
「えっとぉ。イザベラ達が帰って来るまでに、だいたいの事情は説明しているつもりだよぉ。スキルとか、ココに居る理由とかぁ。」
ウルシュ君、素敵です。
一番面倒くさそうな・・・・じゃなかった。大変そうな説明を、アッサリ済ませておいてくれるなんて。
有難う。本当に助かります。
私は語彙力無いから、どう説明しようか実は悩んでいて、その時が来るのが少し憂鬱だったんだよね。
「あ、そうだ。第二王子にもあげたけど、アマリリス嬢にも渡しておくよぉ。僕が創った、自分のステータスが把握できる指輪だよぉ~。」
そう言うとウルシュ君は、魔石で出来た指輪をアリスちゃんに、コロンと差し出した。
よく見ると第二王子も、人差し指に同じ指輪を付けている。
ん?『看破』スキルを弾き返す第二王子も使える程って言う事は、結構凄いアイテムじゃないっ?!
「ウルシュ君凄いよっ!!そんなの作れるのっ?!恰好いいよっ!!」
「えへへぇ~。有難うイザベラ。イザベラのはコレね~。必要無くても、一応着けておいて~。」
「わぁ、有難うウルシュ君っ!!」
多分、私には【ステータスチェック】の目くらましの為にくれたんだろうなぁ。
高価なアイテムだろうに、使わない私にまでくれるなんて、嬉しいよ。
でも、勿体無い事させちゃったな・・・。
後でさっき手に入れた魔石を、お礼としてプレゼントしよう。
「さて、第二王子についてなんだけどねぇ。スキル制御の訓練をするのは、決まったんだけどぉ・・・」
その後を言いづらそうにしたウルシュ君は、そのまま話を途切れさせた。
「ふぇ?どうしたんですの?何か問題ですの?」
アリスちゃんに問いかけられたウルシュ君は、軽く首を振ると、第二王子に向かって声をかける。
「う~ん、第二王子・・・自分で説明して頂けます?」
「・・・・うん、ボク・・・・スキルをちゃんと扱えるように成ったら・・・・」
「「成ったら?」」
「・・・・・騎士の訓練を受けて・・・」
「「受けて・・・」」
「・・・・・王都を守る、正義の騎士に成るよ・・・。」
ウルシュ君がアリスちゃんに向かって、苦笑いを向ける。
「と、言う事で、正義の騎士に成るらしいからぁ・・・・これからもずっとアマリリス嬢は、レベル上げが必要だねぇ?」
フラグが建ってたーーーーーーーーーっ!!
アリスちゃんゴメンっ!!もしかして私のせいかもっ!!私がフラグを建てたかもっ!!
10分そこらで建てたフラグを回収する事に成るとはっ!!
アリスちゃん本当ゴメンナサイっ!!
第二王子、ゲームでハイスペックだったから、きっと騎士の訓練受けたらレベルがメキメキ上がるよっ!!
他人事みたいだけど、頑張ってっ!!追いつかれない様に逃げ切ってっ!!