魔石が豊作だよっ!!
まずは私が、巨大ワームを真っ二つにして、魔核を露出させる。
その間にアリスちゃんが、街道寄りの地面に、爆撃系アイテムの一つ『遠距離操作式地雷』を等間隔で撒く。
ちっさいワームの大群が地上に出てきたら、派手に吹き飛ばす予定。
街道を通る馬車を、ワームが襲うと不味いし、巨大ワームを相手にしながら、小さいワームも振り払うって、戦闘初心者の幼女二人には無理ゲーだから。
さて、5両編成の機関車サイズのワームだけど、真っ二つにするのは骨が折れるな。
ゲームに有った『剣士スキル』の『一閃』が使えたら良いんだけど、どうすればスキルが発動するやら・・・
一応[剣士Ⅹ]は持っているのよ。だから理論上は出来る筈なんだけど・・・力技でゴリ押しする?
気合を貯めに溜めて、『巨大ナイフ』に闘志を注ぎ込む様にして更に溜める。
『色欲』で魔核の位置を確認。
ゲームモーションを真似する感じでっ!!ナイフでワームを薙ぐっ!!
「『一閃』っ!!」
轟音と共に真っ二つになるワーム。『一閃』成功だっ!!
だがここで問題が発生。
『一閃』で”地面も”割れた。
巻き上がる土煙。そして地面の中には、ワームがいっぱい。
どうなるか、分かりますよね?
「アリスちゃんっ!!一旦退避ーーーーーっ!!」
「ふぇっ!!・・・・・うにゃぁああああああっ!!ワームがいっぱいっ!!」
割れた地面から、幼体のワームが大量に沸き出してきたっ!!
それに呼応する様に、街道側の地中からもワームが飛び出してくるっ!!地獄絵図だよっ!!
「アリスちゃんっ!!『地雷』のスイッチっ!!」
2人で平原を駆け抜けながら、アリスちゃんに指示を出す。
「了解ですぅっ!!くらえっ!!ですとろーいっ!!」
掛け声と共にスイッチを押すアリスちゃん。
ゴーグルの奥で怪しく目が光っている。若干コワイ。
次々に爆発していく『遠距離操作式地雷』。
爆散し飛び散る幼ワーム。地獄絵図だよっ☆
「流石に一網打尽とは行かなかったみたいっ!!追って来るワームを『爆撃弾』で応戦しててっ!!私は前方に居るアイツを潰してくるからっ!!」
そう、真っ直ぐ走る私達の前に立ち塞がるかの様に、もう一体の巨大ワームが、もうもうと土煙を上げ、地中から飛び出して来ていた。
「はいっ!任せて下さい!ちっさいのは全部私が粉微塵にしてやりますぅっ!!」
木っ端微塵を通り越して、粉微塵か。
腹の据わったアリスちゃん、まじカッケェ。頼りに成るぅっ!!
なら、私は私のやるべき事をするだけっ!!
さっきの『一閃』で、だいたい『剣士スキル』の使い方が分かってきたよっ!!
「そこのデカブツっ!!邪魔よっ!!喰らいなさい『桜花五連閃光』っ!!」
巨大ワームは『剣士スキル』の『桜花五連閃光』をモロに喰らい、一瞬で6分割に成った。
自分でやった事だけど・・・・『剣士スキル』威力ヤバい。怖い。
おっと、自分のした事に引いてる場合じゃ無いわ。
『色欲』で魔核の位置を割り出すと、解体して魔核を取り出す。
「アリスちゃん、この魔核を一撃っ!!」
アリスちゃんを振り返り、声をかける。
が、アリスちゃんは『爆撃弾』を一心不乱に打ち込み続けて、気付かない。
遠くまで投げられないせいか、アリスちゃんは『フォーク』をスイングさせ、『爆撃弾』を遠くまで打ち込んでいる。
それ、その行為・・・誤爆が怖いんだけど。
あちこちで爆発と爆風があがり、『視界クリアゴーグル』が無ければ、弾幕で平原が見渡せなかっただろう。
「スゲェな。戦地の最前線みたいに砲弾が落ちてる・・・。って、アリスちゃーんっ!!気付いてっ!!この魔核を一撃っ!!」
「ふえぇ・・・もうちょっと、”どっかーん”って、してたいですぅ。」
アリスちゃん、爆撃狂って言うか、爆弾魔って言うか、何かそんな感じに成ってきてない?
「ちょっ!!その前にコレ砕こうっ!!地中の最後の巨大ワームが動き出したから、先にコレでレベル上げしてっ!!」
渋々、爆撃を中断したアリスちゃんは、魔核に向かってフォークを振り下ろす。
「ふえぇぇぇぇっ!!ですとろぉぉぉいっ!!」
スライム潰しで慣れたのか、スイカサイズの魔核は一撃で粉々に成った。
それと同時に、地中の最後の巨大ワームが地面を押し上げ現れる。
「アリスちゃんっ!!次っ!!2時方向っ!!来るよっ!!」
だが、アリスちゃんはマイペースに、爆撃アイテムのケースを覗き込んで、残念そうに声を上げる。
「ふえぇぇぇっ!!ベラちゃんっ!!『爆撃弾』と『遠距離操作式地雷』が残り30個位しかないですぅ!!」
そんなに気に入ったの?爆撃。
って言うか、王都の平原で、合計140発もの爆撃アイテム使ったの?30分そこらで?
国同士の戦争レベルだよ、ソレ。
確かに”残数減ったら教えてね”とは言ったけど、本当にそんなに消費するとは、お姉さんビックリだよっ!!
涙目で、しかし、ちょっと期待を込めた視線を向けながら、アリスちゃんは手を差し出し、追加分を要求する。
まだ要るんかーいっ!!
「今来てるコレを何とかしたら、5分だけ”シールド”張るよっ!!その時に補充するから、その数で持ちこたえてっ!!」
期待した物が直ぐに手に入らず、ショボーンとするアリスちゃん。
「はぁい。ですとろーい・・・。」
いや、アリスちゃん。
ワームの幼体は、君一人で、ほぼ殲滅完了してるからね?
あと、60発あれば十分だし、余るからね?
とりあえず、アリスちゃんは置いといて大丈夫そうだから、最後の巨大ワームに向かって走った。
「なんだ、これは・・・・。」
平原に辿り着いたマーキスは呆然と呟くと、そのまま立ち尽くす。
まるで戦争の爪痕の様に、平原はあちこちがえぐれ、巨大なワームが引き裂かれた状態で3体・・・だろうか?転がっている。
それだけでなく、幼体のワームの残骸だろうか?それが平原中に撒き散らされていた。
ちなみに幼体のワームと言えども、大蛇位のサイズが有る。
それが、平原中にだ。
そんな地獄絵図の様な光景の中、巨大な『ナイフ』と『フォーク』を持った少女が2人、キャッキャッと走り回っていた。
「ベラちゃーんっ!!魔石、こっちにも有りましたぁ!!コレは欠けてないですぅ。」
「アリスちゃんっ!!やったねっ!!魔石が豊作だよっ!!」
「でも、ちっさいワームは、魔石持ってない奴の方が多いですねぇ・・・。魔石の大きさも小さいし・・」
手の平に乗せた魔石を指先でつつきながら、アリスちゃんはちょっと不満そうに呟く。
「私達の年齢や経験からしたら、コレは良い方だと思うよ?」
「でも、これだけじゃ、爆撃アイテムがいっぱい作れないですぅ・・・。」
まだ諦めて無かったのか、爆撃アイテム。
いったい、侯爵令嬢が何に使うんだ爆撃アイテム。
今回がイレギュラーだっただけで、常日頃からモンスターと対峙する事は無いでしょうに。
今日の午前中だけで、アリスちゃんは立派な「破壊者」予備軍として、成長しちゃったんじゃないかしら・・・
・・・進化キャンセル・・・・・・出来ないかな?
41話の前書きに※虫注意※警告文を付けましたっ!!
提案してくださった方、有難うございました!
次回はアリスちゃんステータスチェック☆
第二王子も、お目覚めだよ☆