デストローイっ!!
本日2回目の投稿。
切りの良い所で止めたので、短めです。
アリスちゃんに、状態異常解除の魔法をかけながら、背中をさする。
怪我でも病気でも無いので、治癒魔法が効かなかったんだよね。
ちなみに、アリスちゃんの名誉の為にも言っておくけど、アリスちゃんはギリギリ、気合いで吐き気に打ち勝って押し留める事に成功しています。
令嬢としての誇りは失いませんでした。流石です。
でもこれ以上、回復薬は飲ませられないわね。
回復薬に用法・用量が有るのかは知らないけど、何でも飲み過ぎは良くないかもしれない。
HP枯渇から全回復と言う流れを繰り返したかったんだけど、アリスちゃんの健康面の方を優先しよう。
「アリスちゃん、HP消費緩和とHP回復強化のアイテムを渡すから、ソレをつけて、回復薬を使うのを止めよう。あと、身体強化の魔法もかけておくね。」
「うぅ~。分かりました。でも、その分レベルアップのために、努力が必要ですわね。」
決意の表情を浮かべるアリスちゃんを見て、私も全力でサポートをする事を心に決める。
スキルをフル稼働させるわよ。
次は絶対にアリスちゃんに危険な目にはあわせないっ!!
回復薬が使えなくなった分、アリスちゃんの体力消費を極限まで抑えさせ、完全フルサポートの上、がっちり護衛し、それでもなおかつレベル上げが出来る様に、経験値の美味しい所どりが出来る様にお膳立てをする。
・・・・自分自身のレベル上げをするより、かえって大変だな。やるけど。
「それじゃあ、気合を入れ直したところで、慎重にスライム狩りを再開しましょう。頑張るぞーー!せーのっ!!デストローイっ!!」
「で、ですとろーい?」
「気合を入れる合言葉みたいな物だよ。デストローイっ!!」
「ですとろーいっ!!」
そして再開されたスライム狩りは、スライムに対しての油断を無くしたイザベラの働きにより、もはやスライム殲滅・掃討作戦へと変わっていった。
イザベラが『傲慢』で片目の視界を上空に打ち上げ、視角を下に向け平原を見下ろし、上からスライムや一角ウサギを捜索。
同時に広範囲に『気配察知』『索敵』『魔力察知』をフル稼働させ、森から出てくるスライムやその他のモンスターを警戒。
スライムを発見したら、『身体強化』と『気配遮断』を使って接近し、追い立て、アマリリスの手前で『憤怒』でスライムが死なない程度に威圧。
動きを止めたスライムを、アマリリスが巨大なフォークで仕留める。という流れ作業で、平原のスライムが次々と駆除されていった。
正直、スライム相手に、そこまでのスキルは要らない。過剰だ。
「アリスちゃんっ!!最後の一匹!!そっちに蹴り飛ばすよっ!!それっ!!」
ぶりょん。
「たぁっ!!ですとろーいぃ!!」
ぷちっ。
次々と届けられる、動けないスライムを仕留める作業に追われたアリスちゃんは、当初のおっかなびっくりな様子はどこに行ったのか、一撃で魔核をフォークで貫く、機械のように成っていった。
透明でプルプルなスライムが、フォークでプッチンプッチンと刺される様子は、まるで”わらび餅”みたいで美味しそうに見えてくる。きな粉が欲しい。
「ふぅ・・・・この辺りのスライムは、あらかた狩り尽したね。」
「はいっ!!でも、一角ウサギが全然いませんわね?」
そう。上空からどんなに探しても、一角ウサギが居ないのだ。
これにはポールさんも首をかしげる。
「本当におかしいですね。この辺りは一角ウサギがよく居る場所なんですよ。イザベラお嬢様の、上空から広範囲に探す方法でも見つからないのは、不思議ですね。」
「ふぇ・・・レベル上げの為に、一角ウサギを一人で狩れる様に成らないといけないのにぃ~」
何気にアリスちゃん、ヤル気に満ちているわね。
ちゃんと一角ウサギを、午前中のうちに一人で狩れる様に成るつもりで来たのね。
でも、どんなに探しても一角ウサギは見つからないのだ。
ほかに原因になるような、生き物。例えば”一角ウサギの天敵に成りそうな生き物”とかも探したんだけど、全然いない。
一体、どこに行っちゃったのかしら?