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悪役令嬢は、庶民に嫁ぎたい!!  作者: 杏亭李虎
チート転生と、ゲームの裏事情あれこれ。
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チート持ってるのに、スライムに苦戦するなんて

【クローゼット】をあさり、アリスちゃんの武器に成りそうなものを探す。

将来的に風魔法と水魔法が使える様に成る事を考慮して、選ぶのも良いかも知れない。

あ、『超加速』も有るから、早い動きにも対応できちゃう武器が良いなぁ。

武器初心者の幼女なんだから、ダガーとかショートソードとかの方が良いんでしょうね。


だけど、私のヲタク心が『幼女に持たすなら、体格に不釣り合いな巨大武器だろJKっ!!』って叫んでて、中々決まらないのよねぇ。

巨大武器かぁ・・・大鎌とか斬馬刀とか?幼女にモーニングスターとかも良いかも知れない。あの鉄球を自由自在に振り回す幼女ってカッコイイよね~。

実際にはアリスちゃんの方が振り回されるんだろうけど。


「アリスちゃんが、憧れている武器とか有る?」


もう、分からなくなって来たから、本人の希望を聞いて考えよう。


「ふぇ?憧れの武器ですか?武器に興味を持った事が無いから分かりませんわ。」


だよねー。武器に興味深々な侯爵令嬢ってあまり聞かないよね~。


「私、ティーカップやフォークより重い物を、持った事が無いのです。だから、軽くてフォークみたいな使いやすい物が良いですわ。」


そうなんだよねぇ、令嬢って本当に物を持つ機会がないよね。

髪の毛だってメイドさんがしてくれるから、ヘアブラシすら持たなければ、財布も持たないし、バックだって持たない。あと持つとしたら扇子くらいかな?

フォークかぁ・・・そんな軽い武器、有ったかなぁ?

もう、武器無しで素手喧嘩ステゴロ極める方が早いんじゃない?

いや駄目だ。殴り合いの得意な侯爵令嬢とか駄目だ。


困ってポールさんの方を向くと、3個目のジャイアントフロッグのホットサンドに、手を伸ばしている所だった。

・・・・そう言えば、ジャイアントフロッグのホットサンドって『ラブ☆マジカル』のVer3のイベント

『ジャイアントフロッグ大量発生ハーベストイベント』で作った料理だったよね?


確か、そのイベントで取得したポイントごとに、料理に関したアイテムが貰えたはず。

200ポイント取得でフリフリエプロンのアバター衣装。

500ポイント取得で全回復効果のあるデザート。

そして最高得点の100000ポイントで貰えたのは、武器でありアバターの小物にもなる、『フォーク』が。


そうだっ!フォークだよっ!!フォークならアリスちゃんにも持てるハズっ!!

【クローゼット】からフォークを取り出しアリスちゃんに差し出す。


「アリスちゃんっ!!フォークだよっ!!」


「ふぇっ?!コレですの?無理ですぅ!!持てませんわっ!!大きすぎますぅ・・・」


そう、このフォーク型武器。アリスちゃんの身の丈より少し大きい。

巨大武器で、なおかつフォーク。私とアリスちゃんの希望に上手い具合に合致しているんじゃない?

鑑定すると、持ち主の身長に合わせてサイズが変わるらしい。


「見た目の大きさと違って、本当のフォークみたいに軽いから、騙されたと思って持ってみて。」


そう言って更に差し出すと、アリスちゃんは半信半疑な様子で受け取り、叫んだ。


「だっ騙されましたぁ~!!重いですぅ!!」


「うん!!騙したけど、見た目より軽いでしょ?アリスちゃん大きいフォークが良く似合うよ!!小さな妖精がフォーク持っているみたい!!」


見た目はそこそこ重たそうだけど、実際に持った感じだと500mlペットボトル程度の重さだ。持てないほどではない。

素材はミスリルで、魔力を通すけど、熱は通さない。最高じゃないかっ!!

そして、アリスちゃんが持つとメルヘンチックな感じで、とても可愛いっ!!

多分私が持つと、海の神のポセイドンが片手に持っている武器みたいに見えるんだ、きっと。


「じゃあ、早速スライムを狩りに行こうっ!!正面10時方向、600M先にスライムを一体発見!!直ぐに向かわれたしっ!!」


用意も出来た所で、いざっ!!スライム狩りだっ!!


「ベラちゃん、直ぐにスライムを見つけられて、凄いですわぁ。」


アリスちゃんが感心したように私を見て来る。むふふ。もっと褒めてくれても良いのよ。

たまには良い所を見せないとねっ!!

それに、たまには気配察知スキルを使わないと、スキルの存在忘れるし、レベル上がんないし。


「私はスライム探すけど、やっつけるのはアリスちゃんだからね?レベル上げの為に頑張ってね?」


「ふ、ふぇ・・で、では・・・スライム頑張ってやっつけて来ますぅ。」


「頑張って、アリスちゃん!!多分、スライム3体くらいやっつけたら、レベルが上がるよっ!!あと、スライムは酸を飛ばしてくるけど、毒耐性アイテムが効果を発揮してくれるから、大丈夫だからね?ひるまずに進むんだよっ!!」


「はっ、はいぃっ!!」


見つかったスライムは綺麗な透明の球体で、目も口も無い。

想像よりも大きく、バランスボール位の大きさだった。

まるでウォーターボールみたいな身体の内部に、大人の握り拳位の大きさの赤い球が浮遊している。

その赤い球が『魔核』と呼ばれるもので、それを壊すと退治できるらしい。


アリスちゃんはフォークを構え、へっぴり腰でジリジリとスライムに向かって進んで行く。

うん。やっぱりフォーク型武器を選んで良かったな。

おっきなフォークを構えたアリスちゃん、本当に可愛いわ。妖精みたい。


ゆっくりと時間をかけて距離を詰めて行き、スライムまで後1M程の距離になったところで、アリスちゃんはおっかなびっくりフォークを振り上げると、精いっぱいの力で振り下ろす。

だが振り下ろされたフォークを、スライムは横に跳び難なく避けると、アリスちゃんの方へと跳び上がった。

ポーンと高く舞い上がったスライムは、アリスちゃんの頭を、自身の身体で包み込み込むように取り込み、

アリスちゃんはその衝撃で、後ろにコロンと倒れた。


「うわぁぁぁ!アリスちゃんっ!!アリスちゃんっ!!」


スライムに頭を取り込まれ、呼吸が出来ず、もがくアリスちゃん。

慌ててアリスちゃんをスライムから解放しようと、スライムを引っ張るが、強力に引っ付いている為、スライムと一緒にアリスちゃんの体まで引きずる羽目に成る。


「取れないっ!!抜けないっ!!アリスちゃんが死んじゃうっ!!窒息しちゃうっ!!」


完全にパニックに陥り、頭の中が真っ白で、どう切り抜ければ良いのか全然わからないっ!!

慌てて駆け寄ってきたポールさんが叫ぶ。


「お嬢様っ!!スライムを倒すんですっ!!早くっ!!」


「でも、私っ!!スライムだけじゃ無く、アリスちゃんの頭ごと吹き飛ばしかねないよっ!!」


私が力任せにスライムを倒そうとしたら、アリスちゃんごとオーバーキルだっ!!


「魔核っ!!魔核っ!!魔核だけで良いんですっ!!全部潰さなくて良いんですっ!!魔核だけ何とかするんですっ!!」


慌ててスライムの魔核を探す。アリスちゃんの顔色がかなり悪いっ!!急がないとっ!!

必死に探して、アリスちゃんの髪の毛に隠れる様にして存在する魔核を見つけ出した。


力任せにスライムの身体の中に手を突っ込む。


「ちょっ・・・お嬢様っ!!素手っ!!駄目です!!溶けますよっ!!」


慌てて、私の肩を掴んだポールさんに言い放つ。


「大丈夫っ!!この位の酸は平気っ!!」


実際、この程度の酸は問題無い。

そのままスライムの中をまさぐり、逃げ回る魔核を掴むと、力任せに握りつぶした。


魔核を握りつぶされたスライムは、水の様にサラサラと溶け、流れて行き消えていく。

頭を解放され、盛大にむせ、咳込むアリスちゃんを急いで抱き起こした。


「ごめんっ!!アリスちゃんっ!!スライム舐めすぎていたっ!!危険な目にあわせて本当にゴメンっ!!」


「ふぐ・・・げほっ・・。ふ、ふぇ・・だ、大丈夫でしゅう。アイテムの、お蔭で、溶けずに済みましたぁ・・・」


「ごめんね。もう少し事前に色々調べておくんだった。危ない目にあわせてゴメンね。」


物理攻撃耐性と毒耐性さえ有れば、余裕だと思っていたけど、全然駄目だった。

それに、実戦に成るとパニック起こして、私、全然役に立たない。

ポールさんが居なかったら、アリスちゃんを死なせていたかもしれないんだ。

ゲームでは初心者向けの雑魚モンスターだったとしても、現実ではゲームの様にパターン化した動きはしてくれない。

現実にこの世界で生きて行くなら、どんな小さなモンスターでも気を抜いたり舐めてかかっては行けなかったんだ。


「チート持ってるのに、スライムに苦戦するなんて、この世界甘く見過ぎてた。」


私の呟きに、アリスちゃんは首を傾げながら答える。


「チートが何かは分からないですが、失敗は成功の元なんですわ。甘く見てたのは私も一緒なのです。次はもっと気を付けてスライムをやっつけに行きましょうっ!!」


「アリスちゃん・・・。まだ、頑張れるの?」


「ふぇぇぇ・・・頑張らないと、殿下に変な歌とか聞かれるのです・・・私、無意識に変な歌を作って歌うのです・・・スライムよりその方が怖いのですわぁ~!」


アリスちゃんは、想像したのかオロオロとし始める。

今、スライムで死にかけたのに、それ以上に作り歌を聞かれる方が怖いなんて、恋する乙女は半端ねぇわ。

いや、恋する乙女は強いわ。


「じゃあ、何としてもレベルを上げないとね。」


そう言うと、アリスちゃんは勢いよく頭を縦に振る。何度も何度も。


「はい、なのですっ!!次のスライムは私がちゃんとやっつけますわ!!・・・でもその前に回復薬が欲しいのです。立てませんし、動けませんの。」


そう言うとアリスちゃんは、私が差し出した13本目の回復薬ポーションを一気に飲み干し、前かがみになった。


「うぷっ!!飲みすぎて、気持ち悪いのです・・・・吐きそう。」


「──ちょっ!!アリスちゃんっ!!もどしちゃダメっ!!もどしたらせっかく回復したHPが下がるっ・・・あれ?下がるのかなぁ?・・・って!!アリスちゃん、袋出すからもう少し待ってっ!!」



舐めプは負けフラグだと言うのに、イザベラったら・・・。


※ダガー:全長10cm~30cm程度の諸刃の短剣。使用者の手首から肘までの長さがベスト。

※モーニングスター:モルゲンシュテルンとも。実際は殴打用の武器で、棍棒の先端に星の様な棘付きの球体が付いた物。ファンタジー武器としてのモーニングスターは棍棒の柄の部分と、棘付きの鉄球が鎖で繋がれたもの。イザベラが言っているのは、この鎖付きの方で、鉄球もスイカ以上の巨大な物。

※ポセイドン:ポセイドーン、ポセイダーオーンとも。ギリシャ神話の海の神。

※ポセイドンが片手に持っている武器:三叉の矛『トリアイナ』。嵐や津波を引き起こしたり、大陸沈めたり、万物を木っ端微塵にしたり、世界丸ごと地震を起こしたりするチート武器。さすがのウルシュ君もオリジナル同等の物は創れない。



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― 新着の感想 ―
[一言] そうです!!!主人公はアホなのです!!!w
[一言] 主人公アホか 自分が盾役になって攻撃を受け その間に他の人がモンスターを倒せばいいじゃん rpgの基本だろ
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