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悪役令嬢は、庶民に嫁ぎたい!!  作者: 杏亭李虎
チート転生と、ゲームの裏事情あれこれ。
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うん。分かってる。

一角ウサギと言うのは、大型犬サイズのウサギだ。

メイドのマリーちゃんが冒険者ギルドの前で、3人組の冒険者の仕留めた一角ウサギの角を欠けさせてしまったのが記憶に新しい。


一角ウサギは名前の通り、ユニコーンの様に細長い角が額から生えていて、その角をドリルの様に回転させながら突っ込んで来る為、下手に近づくと死ぬ。

とても素早く動き、角が危険な為、一人で捕獲するのは難しい。


「アリスちゃんには、その一角ウサギを狩って貰おうと思うんだけど、ウッカリ油断するとドリルで、どてっぱらに風穴を開けられるので、ドーナッツみたいに成りたく無ければ、一角ウサギの真正面に立たない事。以上。」


「むむむむ無理ですぅっ!!無理ですぅっ!私、死んじゃいますわぁ!!」


う~ん。そんなに駄目かな?

一角ウサギ狩りは、ミニゲームのチュートリアルでも使われる位に、初心者向けなんだけどな。

まぁ、私も現実で一角ウサギと対峙した事ないから、ゲームと現実を一緒にしたらまずいか。

ゲーム時の感覚を引きずったままでいるのは、やっぱり危険だから、少し考えを改めよう。


「じゃあ、まずスライム狩りから練習しましょうか?すぐに一角ウサギが見つかるとは思えないし。」


「す、スライム・・・・もっと簡単な物から始められませんのぉ~。」


スライムより簡単な物って何だろう?チュートリアルだと確か、薬草摘み?

でもそれじゃぁ、今日中にレベルを2段階上まで引き上げるのは難しいなぁ。


ちなみにアリスちゃんのステータスはこんな感じ。


《ステータス》

人族:アマリリス・エリー・ブルネスト(6) Lv:3

HP:6/6

MP:53/53


身分:ロゼリアル王国 ブルネスト侯爵家 次女


《職業スキル》 *レベル最大:Ⅹ 

[魔術師の卵Ⅱ][縫術師Ⅰ]


《特殊スキル》 *レベル最大:Ⅹ

[超加速Ⅰ]


《固有スキル》 *レベル最大:Ⅹ

[魅了Ⅶ]


《スキル》  *レベル最大:Ⅹ

[水属性魔法Ⅰ][風属性魔法Ⅰ][光属性魔法Ⅰ]

[水属性耐性Ⅰ][風属性耐性Ⅰ][毒耐性Ⅰ]

[魅了耐性Ⅶ][動体視力Ⅵ][刺繍Ⅴ]



[超加速]スキルとか初めて見るわ。流石ゲームの悪役を務めるだけあるね。

[超加速]スキルと[動体視力]スキルは極めると強いと思うのだけど、気に成るのが・・・。

なんで侯爵令嬢のアリスちゃんは、こんなに動体視力スキルが高いのか?

侯爵令嬢って、動体視力が鍛えられる様な生活するかな?


「アリスちゃんは、動体視力のスキルがとても鍛えられているみたいだけど、何故?」


「ふぁっ?!どうたいしりょく?それって何ですの?」


そうか。6歳児に『動体視力』って言っても分かんないか。

普段ウルシュ君と会話していると、6歳児の会話のレベルが分からなくなるわね。


動体視力について、私が分かる範囲でザックリと説明すると、アリスちゃんはしばらく考えた後、思い当たる事が有ったのか、笑顔で手を打った。


「まぁっ!それでしたら、お母様のお蔭ですわっ!」


なんでも、アリスちゃんのお母様は刺繍が得意なので、アリスちゃんはお母様に刺繍を習っているのだが

お母様は刺繍をするスピードが早すぎて、手元の残像すら見えないらしい。

最近ようやく手元の作業が目で追える様に成ったのだが、うっかりクシャミでもすると、その間にクジャクの刺繍が完成していたりするので、見逃さない様に、まばたきも出来ないと。


[動体視力]を6レベルまで引き上げないと見えない刺繍教室って何だ。

それ、本当に教える気あるのか?

アリスちゃんのお母様は普通のご婦人に見えてたんだけど、残念。普通じゃ無かった。

手元の残像すら見えないって、刺繍が得意とか言うレベルじゃない。

きっとアリスちゃんのお母様も[超加速]スキルを持っているんだ。多分。


そんな話をしながら山を下っていると、最終的にポールさんが本日の予定をまとめてくれた。


「とりあえず、この道を抜けたら平原が有るので、スライム狩りと薬草摘み、慣れて来たところで一角ウサギ狩りと言ったところですかね。」


そう、ポールさん。スネイブル商会の荷馬車で、ここまで連れて来てくれたポールさんです。

流石に6歳の令嬢二人きりでは、狩りに行かせて貰えなかった・・・。

このレベル上げには、お目付け役としてポールさんも一緒です。後からマーキスさんも来てくれるとか。

実はこのアリスちゃんのレベル上げは、私の実践訓練も兼ねられています。

スキルとHPの高さを武器にすれば、私でも一角ウサギなら何とかなりそうだけど、やっぱりゲームと実践は違うからね。

ステータスが高くても、経験や技術が圧倒的に足りていないんだ。

その辺りを、C級冒険者のマーキスさんに教えて貰えないかな~。


平原に着いた頃、日の出が近いのか遠くの空がうっすら明るくなって来ていた。

ポールさんが平原をさして説明する。


「山小屋の人達が言うには、平原に点々と小さな木の茂みがあって、その根元に時々白いキノコが生えているのそうです。ソレを見つけたら採取しておいて欲しいそうですよ。」


おぉっ!!チュートリアルっぽい!!

むしろゲームの画面でするチュートリアルより、実際に探して採取する分、何か楽しそう。


「アリスちゃん、行こうっ!!キノコ狩りだよっ!!」


何かもう、お嬢様言葉が面倒になって普通に喋ってしまっているけど、まぁ良いか。


「わぁ!キノコ狩りですかっ!!楽しそうですわぁ~。見つけられるかしら?」


うん。これでアリスちゃんが『採取』スキルを手に入れられたら、多少レベル上げの足しになるし、スライムが見つかるまでキノコ狩りで体力作りするのも良いかな。

3人で平原に出て一番近くの茂みを目指す。

茂みを作っている木は、よく日本の車道と歩行者用道路の間に植わっている、ツツジの木位のサイズで、花も実も付いていない面白味の無い木だ。

アリスちゃんと茂みの下を覗きこむ。


「キノコ、有りませんわねぇ~」


「他の茂みも探してみよっか。」


その後、平原の茂みを転々と探し歩く。

アリスちゃんのレベル上げが目的なので、キノコ探しはアリスちゃんに主導してもらう。


「ふわっ!!キノコありましたわ!!」


「アリスちゃんは、シラボソキノコを手にいれた。」


「あ、これは薬草ですの?摘んで行きますわね~」


「アリスちゃんは、ペチペチ草を手にいれた。」


「ふわぁ~。大きな木の実です。記念にもって帰りますわ~。」


「アリスちゃんは、コルコルの実を手にいれた。」


「ふぇぇぇぇっ!!ベラちゃんっ!!さっきからソレ何なんですかぁ~っ!!」


「ごめん。なんとなく。」


ゲームで素材を採取すると、一体何を採取したのかを、何者かが、いちいち実況してくれるじゃん?

あの実況、誰がしてくれているんだろうね?

ちなみに現実では当然ながら実況してくれる人はいないから、私が代わりにしようかと。


「イザベラお嬢様は薬草に詳しいんですか?薬草の名前を沢山知っていますね。」


ポールさんはしゃがんで、私と目線を合わせると、ニコニコと問いかけて来た。


「ううん。全然詳しくないよ。私はウルシュ君と同じで『鑑定』みたいなスキルを持っているから、それ見て言っているだけ。」


そう返していると、アリスちゃんが興奮気味に話に加わって来る。


「そうっ!!ベラちゃんは凄いのですわっ!!『鑑定』と『看破』の両方を持っているのですわっ!!」


本当は違うけど、アリスちゃんにどう説明したらいいか分からないから、私は『鑑定』と『看破』のスキルを両方持っている事にしている。


「そうですか『鑑定』と『看破』。坊ちゃんと同じですね。」


ウルシュ君も本当は違うけどね。


「という事は、私の事も『看破』で分かりますか?」


ポールさんはニコニコと問いかけて来る。


「分かるけど、言わないよ。それにスネイブル商会の人も知っているんでしょ?」


「はい。知っています。他の人達には内緒にしていて下さいね。」


「うん。分かってる。」


分かってるから、ニコニコ顔で威圧するの止めてね?

持っているスキルから、ポールさんの元の職業が何となく察しが付くけど、確証も無いし言い触らす気も無いから、そのニコニコ顔の威圧は止めてね?

感想やメッセージ有難うございますっ!!考察して下さる方も多くてドキドキします。

ネタバレしない様に感想に対して、個別の返答は避けてますが、みなさんの考察を読むたびに先の展開の予定をバラしたくなる発作に襲われます(笑)

と言っても、先の予定を急に変更させる事が多いのですが・・・。

感想やメッセージの返事はしていませんが、全て目を通させて貰っています。本当にありがたいです。

あと、感想欄で私を笑わせにかかるのヤメレ(笑)作業が進まなくなるじゃない(笑)


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