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悪役令嬢は、庶民に嫁ぎたい!!  作者: 杏亭李虎
チート転生と、ゲームの裏事情あれこれ。
33/145

ダイモン兄様に似てるかな。

荷馬車で山小屋へ向かう。

街道はいつの間にか、石畳から土の道に変わっていた。

御者はスネイブル家の使用人さん。

昨日私を、ウルシュ君の作業場まで送ってくれた人と同じ人だった。

名前はポールさんと言うらしい。


荷馬車の中には、アリスちゃんと第二王子。

アリスちゃんは第二王子に寄り添うようにして、眠ってしまいました。

色々あったし、道中が長いからね。疲れるよね。

私とウルシュ君は御者台の背もたれの上に、腰かけている。

本当は荷馬車の上に座ろうとしたんだけど、ポールさんに止められました。


「ところでウルシュ君、本当にあの麻酔針って未完成品なの?」


「まっさかぁ~。そんな事無いよぉ。さすがに王族相手に、試作品の実験は出来ないよねぇ。あと、本気で階段から蹴り落とす気もなかったよぉ。」


ですよね~。

反逆罪通り越して、王族暗殺未遂になるもんね。

私は本気で殴るつもりで居たけど。


「イザベラどころか、僕までいい加減に見えたら、アマリリス嬢は自分がしっかりと王子をサポートしないといけない。って思うだろうからねぇ。」


そして、ウルシュ君は

僕の婚約者イザベラが王子の面倒見るのも、自分がイザベラの婚約者に成ったかも知れなかった男の面倒を見るのも、嫌だったんだ。と言って、ふふふと笑った。


に、にゅぉぉぉうおうおうおうっ!!

ソレって、独占欲的なアレですかぁーーっ?!

頂きましたっ!!独☆占☆欲っ!!

有り難うございま~すっ!!ゴチになりま~すっ!!


「う~ふぅ~ふぅ~ふぅ♡私が面倒見るのはウルシュ君だけですよ~♡将来の介護も任せてねっ!!」


「うん。僕がお爺ちゃんになっても、ずっと一緒にいてねぇ~。」


ふふふ、お爺ちゃんに成ってもウルシュ君はきっと素敵なんだろうなぁ。

お爺ちゃんに成ったウルシュ君と、手を繋いで散歩する未来を想像してニヤニヤする。


「そんな素敵な未来を現実にする為にも、今が頑張り時だねっ!!」


「今回の行動で第二王子の問題が解決して、更に第二王子に申し分ない婚約者が出来れば、学院生活は2人でのんびりと送れるからねぇ。上手く行けばいいねぇ。」


「私としては、第二王子の婚約者にはアリスちゃんを押したい。第二王子が呪われていると聞いても”支えたい”って言うような、一途な子だからねっ!!応援したいんだよね。」


「ふ~ん。」


めっちゃ、どうでも良さそうに、返事をするウルシュ君。

今回、私が早まって起こした騒動に巻き込んでしまった、重要な2人についての話題なのですが・・。


「ふ~ん。ってウルシュ君・・・。」


「いやぁ。僕としては、第二王子の婚約者が、僕のイザベラでさえ無いなら、本当に誰でも良いんだよぉ。それが例えヒロインでもねぇ?他人の恋愛事情は、心の底からどうでも良いよぉ~。」


そうだった。メイドのマリーちゃんの時もそうだったけど

ウルシュ君って、他人の恋バナとか興味ない人だったわ・・・。

どんな話題なら、ウルシュ君は楽しく聞いてくれるかしら?

そう言えば私、ウルシュ君の興味のある物とか、良く知らないかもしれない。


「ウルシュ君は、どんな物や事に興味が有るの?一体何が好き?」


「僕が今一番、興味が尽きない物は、イザベラと錬金術だねぇ。好きな物はイザベラと、物創りかなぁ?」


どっちの答えも、ほぼ一緒だよっ!!

そして、そんなに堂々と好きだと明言してくれて恐悦至極だよっ!!

私も、ウルシュ君の事が好きだぁっ!!ウルシュ君に興味津々だぁっ!!


幸せを噛み締めていると、ウルシュ君が手を差し出してきたので、その手を取り手を繋ぐ。

荷馬車に揺られながら、ウルシュ君と手を繋いで、寄り添って座れるこの状況っ!!幸せ!!


前世では、ゲームの画面が邪魔で、いつも”液晶の馬鹿っ!!そこどいてぇぇっ!ウルシュ君に会いに行きたいんだぁ!!”って思っていたんだよね。

そして、実際に転生という形で、液晶を超えた先に居たウルシュ君は

本当は黒くて、なんか怖くて、身の回りに無頓着で。

でも味方に付くと、これ以上ない位に心強くて。

誰よりも、私の手を握って、一緒に生きようとしてくれて。

この握った手は6歳にしては、荒れてて、指先が硬くて、でも温かくて。

もうっ!!もうっ!!もうっ!!


ビバっ!!乙女ゲー転生っ!!

悪役令嬢転生っ!万歳っ!!

この世界に転生させてくれて、神様(?)有難うっ!!

私、この世界で幸せに成りますっ!!


ウルシュ君の横顔を見ながら、ニマニマしていると、ウルシュ君がこちらを向いて首を傾げる。


「イザベラ?お喋りしないのぉ?他人の話自体はどうでも良いんだけどぉ、イザベラがお喋りしているのを、見るのも聞くのも好きなんだぁ。だから、何か喋ってて?」


はいっ!!この喉がれて、声が出なくなるまで喋りましょうっ!!

何の話題が良いかなぁ・・・。

今すぐ出て来る話題が、アリスちゃんの話くらいしか思いつかないんだけど、それでも良いかな?


「えぇ~と。さっきも言ったように、私としてはアリスちゃんが第二王子の婚約者に、成れたら良いなぁ~って。もちろん、第二王子の状況が改善されたうえでね?」


「うん。」


「第二王子のルートでのライバルキャラは、私含めて4人なんだけど、そのうちの2人は双子のメイドでね?王子の親衛隊みたいな感じで、メイドって言うより護衛って感じなんだけど。」


「うん。」


「その2人はヒロインだけじゃ無くて、イザベラに対しても、王子に接近する者は、全て、全方位に向かって攻撃するタイプでね?その双子の妹の方が、”アン”って言うんだけど、アリスちゃんと性格が似ているんだよね~。」


「似ているって言うのは、ゲームの妖艶系アマリリス嬢の方?それとも今のアマリリス嬢の方?」


「あぁ!今のアリスちゃんね。だから、アリスちゃんがこのまま大きく成ったら、アンとは気が合うんじゃないかと思うのよね。」


お茶会の時、魔術師団長の子息のギースとウルシュ君が、若干キャラ被りしているんじゃないか説が、私の中で浮上していたけど

むしろ、今のアリスちゃんとメイドのアンの方が、キャラ被りしているわ。


「双子の、もう一人のメイドの方は?」


「もう一人のメイドは、”メリー”。この子は軍人っぽいのよねぇ。ウルシュ君も知ってそうな人で例えるなら・・・ダイモン兄様に似てるかな。」


「っ!!ダイモン兄様似のメイドぉ?!」


「ちょっ!!見た目じゃないからっ!!中身だからっ!!あんな屈強なメイド居たら嫌だからっ!!」


一瞬、あの大男のダイモン兄様が、メイド服着てる姿を想像しちゃったじゃない。


「あ、あぁ・・。中身ねぇ。そうだよねぇ。・・・でも中身って言われても想像つかないやぁ~」


「え、え~と。学院でふざけて第二王子に迷惑をかけた男子生徒とかを、アイアンクローして、引っ張って行くような子です。」


「・・・・それって、やっぱり屈強なメイドじゃない?」


確かに。言われてみれば、屈強なメイドだ。


でも、アリスちゃん似のメイドの”アン”に、ダイモン兄様似のメイドの”メリー”

この第二王子の護衛の様なメイドの2人は、王子がスキルを使いこなせるように成って、塔に幽閉される未来が消えたとしたら、どうなるんだろう?

第二王子の婚約者が、悪役令嬢のイザベラじゃ無く、例えば、アリスちゃんが婚約者に成ったら。

それでも、第二王子付きの専属メイドとして双子は雇われるんだろうか?


ふとわいた疑問を乗せたまま、荷馬車は進んで行く。

少しずつ日は暮れて行き、山小屋までは、あと少し。


ポールさん「後ろで会話している坊ちゃん達の話が、良く分からない。」


※アイアンクロー:イザベラがダイモンから、よくされている攻撃。片手で相手の頭部を掴み、持ち上げる技。

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