表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢は、庶民に嫁ぎたい!!  作者: 杏亭李虎
チート転生と、ゲームの裏事情あれこれ。
26/145

どうして、第二王子は駄目なんですの?

話が広がって行くうちに、尾ひれが付くってのは良く有る話だけど

尾ひれどころか脚まではえて、水陸両用に進化するレベルで話が盛られてるんだけど・・・

進化する前に、現場に居た関係者とか誰かから、訂正が入らなかったのかしら・・・

一体どこからマフィアから命を狙われる下りが入ったのか不思議だわ。

正しくは、マフィアじゃなくて闇ギルドって言われていたけど、ゲームじゃ「闇ギルド」とかいうの出てきてないのよね。

何かしら「闇ギルド」って。

多分マフィアみたいな物だと、勝手に判断したんだけど・・・

帰ってからウルシュ君に答え合わせしてもらおう。


そんなとんでも話に進化したエピソードを聞きつつ、気を遠くしていると

私の向かいに座っている、10歳位の令嬢が、フワフワした笑顔で語りだした。


「素敵ですわ~。まるで恋愛小説みたいです。私もそんな大恋愛してみたいですわ。」


したいか?

恋愛小説っていうか、ほぼ、痛快アクションコメディ映画みたいな話だったよね?

突如混入してきた、仮面の麗人のくだりとか、唐突過ぎてもはや意味不明だったんだけど。

本当にそんな恋愛したいのか?やめときなよ。

マフィアから命を狙われて追い回されるんだよ?

逃げ切れずに死ぬ確率高いのよ?良いの?

私だったら、そんなのまっぴらゴメンだけど。


って・・・おっと。まずいまずい。

私は、情報収集をしないといけないんだった。

私とウルシュ君の話をノンビリ聞いている場合じゃ無かったわ。

少し話の流れを変えさせて貰おう。


「そうですわっ!!皆さんでしたら、どんな方と恋愛してみたいですか?”今、このお茶会にいらっしゃる殿方達で”例えるなら。」


よっし!!我ながら良い感じの誘導じゃないか?

これで、第二王子や他の攻略者の名前が出てきたら、それをきっかけに情報に成りそうな話を引き出してみる、っと。

こんな作戦でどうだろうか?


私の質問をうけて、テーブルの令嬢達は一斉に身を乗り出し、ひそひそ声で自分の一押しの子息達の名前を挙げ始めた。

誰がカッコイイとか、優しいとか、ダンスが上手だとか、色々な子息達の情報が飛び交い始める。


───だがしかし、肝心の第二王子と騎士団長子息の名前がさっぱり出て来ない。

魔術師団長子息の名前は、おとなしそうな令嬢から時々挙がるのだが、他の2人はさっぱりなのだ。


まぁ、騎士団長子息の名前が出て来ないのは、まだ何となく分かる。

騎士団長子息は、まだ6歳。

このお茶会に参加している大多数の令嬢達からしてみれば、年下で、なおかつ性格もガキンチョだから対象外に成るのも仕方がないだろう。


彼は将来、落ち着いた笑顔の頼れる兄貴分に成長するんだけどね。

例えるなら、少年漫画で主人公を守って命を落とし、主人公が成長するきっかけを作る様なキャラだ。

少年漫画あんまり読んだ事ないから、イメージだけで語っているけど。


名前の挙がっている魔術師団長子息も6歳だけど、物知りで、優し気な話し方をするらしい。

同年代の箱入りの令嬢達からすれば、活発に走り回るやんちゃなガキンチョよりも、軟らかい話し方をする、物知りな男の子の方が憧れの対象に成りやすいのだと予想する。

図鑑持ってウロウロして、いまだに戻って来ない様な不思議な子だけどね。


多分、日本の小学校に通っていたら、「博士」とか「専門家」ってあだ名を付けられそうだわ。

大人しい子や、おっとりした子に好かれるタイプだよね。


だが将来、優しい笑顔でブリザード吹かせながらキレる男に成るけどな。

そして、性格に若干オカンが入っているんだ。

男キャラが大勢登場するようなゲームやアニメ、漫画や小説には大概いるタイプのキャラだよね。

様式美なのかな?


もしかして、ウルシュ君と若干キャラ被りしてるかな?

・・・いや、そんな事は無いな。

ウルシュ君のは癒しの笑顔だし、ブリザードでは無く「暗黒のオーラ」や「殺意の波動」を放つタイプで

何かを企んでいたり、算段している状態がデフォなので、まるでキャラが違うな。ウルシュ君素敵。



────────さて、そんな事をつらつら考えつつ、様子を見ていたのだけど

待てども暮らせども、第二王子の名前が挙がらないぞ?

なんだ?もしかして第二王子ってば人気無いの?


そんな筈は無いと思うんだけどなぁ・・・

目が死んでるけど、見た目は如何にも王子様な、キラキラしたイケメンなんだけどねぇ?目が死んでるけど。

見た感じマナーもしっかりしているし、年の割には落ち着いた雰囲気だよね。目が死んでるけど。

第一王子が王太子だから、第二王子は将来、王弟とか大公とか・・・良く知らないけど、何かそんな感じの地位に付くんでしょ?

という事は、その婚約者は王妃教育みたいな、厳しそうな勉強は受けなくても良い訳だから、狙っている子が居ても不思議じゃない筈なんだけど・・・。


何故、ここまで名前が出ない?


始めのうちは、恐れ多くて遠慮して名前を出さないのかとか、牽制し合っているのかとか、ファンクラブが怖いからとか、色々想像したんだけど、どれも違う様子なんだよね。


ここは、私から話題を振るべきか?

でも変に第二王子の名前を出して、王妃様に目を付けられたら嫌だから、注意して話を振らなきゃいけないわね。

気が有るわけじゃ無く、興味も無い感じで、尚且つ第二王子の事を聞きたいって言うのは、どうすれば良いだろう?


そう悩んでいると、ナイスなタイミングで声が上がった。


「私は、第二王子のクリストファー殿下が素敵だと思いますわぁ。」


でかしたっ!!どこぞの令嬢っ!!

声のした方向を見ると、私と同い年位の令嬢が、可愛らしくピンク色に染まった頬っぺたに両手を添えて、照れ笑いをしていた。


あぁ、私この子知ってるわっ!!

第二王子クリストファールートの、4人いるライバルの内の一人。

もう一人の悪役令嬢。

侯爵家令嬢、アマリリス・エリー・ブルネスト。


気位が高くて、我儘な悪役令嬢だったイザベラと違い

アマリリス嬢は、下僕の男達を傍に侍らせる、お色気担当の、妖艶系悪役令嬢。

艶のある黒髪に、ワインレッドの瞳、重たそうなバサバサの睫毛に、隙のある垂れ目、左目には泣き黒子、ぽってりとした唇。


ゲーム開始時には、けしからん感じに育ったボディを武器に、クリストファーにしなだれかかったりして、それを目撃した主人公ヒロインがショックを受けたりするんだよ。

ちなみに、Ver3までいます。


アマリリス嬢は、Ver1ではそこまで目立たないライバルなんだけど

イザベラが退場して、第二王子の婚約者の座が空席になってからのVer2では

侍らせていた下僕の男共をまとめてポイして、第二王子を本格的に落とそうと始めるんだ。

Ver1の影の薄さから一転、何気に強敵なんだよこの子アマリリス


まぁ、なんだ。

アマリリス嬢ってば、この時点で第二王子に気が有るんじゃないか。

もう第二王子の婚約者は、アマリリス嬢でよくね?

めでたし。めでたし。


「まぁっ!!いけませんわっ!!アマリリス嬢っ!!今の言葉が王妃様の耳に入ったら、第二王子の婚約者にされてしまいますわよっ!!」


ん?


「そうですわっ!!今のは聞かなかった事にいたしますから、不用意に今みたいな発言はおよしに成ってっ!!」


ん、んむぅ?


「周りの皆様も、アマリリス嬢の今の発言は聞かなかった事にいたしましょう。彼女はまだ6歳ですの。まだ何も分かっていない子の発言ですので、忘れてしまいましょう。」


顔色を真っ青に変えた先輩令嬢達が、慌ててアマリリス嬢をたしなめ、周囲の令嬢達も口止めを始めた。

他の令嬢達も、口止めに対して真剣な表情で、何度も頷いている。

そんな周りの令嬢達の慌て様に、アマリリス嬢はポカーンとしている。


私もポカーンだよ。どうした?どういう事だ?

この話は聞いておかないとまずい。

多分、第二王子に対しての、かなりの有力情報だ。


「あ、あの・・・。どうして、第二王子は駄目なんですの?」


私の質問に、令嬢達は顔を寄せ合い、声を潜めて答えた。


「貴女、知らないのね。第二王子は狂っているんですのよ。将来、今より精神状態が悪く成ったら、王宮の塔の中に幽閉される事が、既に決まっているんですの。」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ