よく分かんないけど、凄いな。
現在わたくし、王宮へとドナドナされております。
そうです、王妃様主催のお茶会です。
昨日、屋敷を抜け出してウルシュ君の作業場に、突撃訪問かましていたのがバレまして
現在、地龍用の拘束鎖にて、グルグル巻きにされたまま馬車に積み込まれました。
妹にする仕打ちじゃないよコレ、ダイモンお兄様。
この鎖は大型地龍用に以前ウルシュ君が創った物だそうです。
何でウルシュ君が、大型地龍のHP知ってるのかと思えば、そういう事でしたか。
ウルシュ君が鎖を創った頃、まさか鎖が自分の婚約者(6才♀)に使われるとは、流石に予想出来なかっただろうな。
ちなみに鎖の太さは、日本の駐車場とかで使われているのと同じくらい。
この太さで地龍の動きを封じられるという事は、強度が凄いんだろうな。
なんか怖いから、強欲はしないけど。
そうそうっ!!強欲さんですが、ウルシュ君の協力により、進化しましたっ!!
ゲームの仕様を引きずっていて、HPやMPの数値がウルシュ君達が視ている数値と違うので、分かりづらいとぼやいた所
ウルシュ君が、"試しに、《強欲王の眼》を嫉妬してみる?"と提案してくれまして。
上位スキルだし、"固有スキル"では無いので、弾かれる覚悟で発動したのですが
結果としては大成功で、《強欲》が進化っ!!という形になりましたっ!!
スキル名は《強欲》から《強欲王》へと変化しています。
凄いよっ!!凄いよ《嫉妬》さんっ!!
多分、『七大罪の魔眼』で一番チートなんじゃないのっ?!
嫉妬さんのおかげで、MPやHPがゲームの仕様から外れ、ウルシュ君と同様の分かりやすい物へと変わり
それに同調したのか【ステータス】の表示も変化しましたっ!!
っていうか、やれるなら始めからやってよっ!!強欲王さんっ!!
強欲王さんは、ウルシュ君の《強欲王の眼》と比べると若干性能が違いますが、どう違うかは、これから詳しく検証していく予定。
検証する前に、お兄様が私を回収しに来たんだ・・・・。
他にも、ウルシュ君の協力によって、他の『七大罪の魔眼』の効果について検証する事が出来ましたっ!!
やっぱり私1人じゃ、やっていけなかったんだ・・・・
協力者は必須だったんだね。
ウルシュ君という協力者が得られた事によって、私の精神安定もはかれたのか、攻略対象者にエンカウントするかもしれない王宮にも落ち着いて向かえます。
ウルシュ君は私の前世の話、とくに私が第二王子の婚約者になる予定だったという話を聞いて、未来視の強制力が働いて、私が無理やり第二王子の婚約者にされないかを警戒していました。
王命されたら、私にもウルシュ君にもどうしようも無いからね。
身内に結婚を反対される程度なら、余裕で二人で逃げるけど
王命されると、残していく家族が罰を受けないか、心配で逃げられなくなるし。
さて、王宮までまだまだ時間が有るので、王子ルートについて思い出してみよう。
王子ルートのメインとなるキャラは・・・・。
まず、攻略対象者の
第二王子、クリストファー・ロン・ロゼリアル。
魔術師団長子息、ギース・ネイ・トーランド。
騎士団長子息、ブライアン・ニック・アンダーウッド
そして、クリストファーのルートのライバルキャラ達
婚約者、イザベラ・アリー・ロッテンシュタイン。
侯爵家令嬢、アマリリス・エリー・ブルネスト。
王子の双子メイド、メリーとアン。
合計4人。
まず攻略対象者の第二王子と私の、設定としては・・・
ゲーム上のイザベラは、ロゼリアル王国の第二王子の婚約者。
7歳の頃に、王子に一目惚れし、父親に頼み込み縁談を持ちかける。
他の王族や貴族から、ロッテンシュタイン家が権力を持ちすぎる事を理由に反対されるが、
第二王子に「特殊な事情」が有る為、国王の指示により、第二王子の判断に任せられる事になった。
いやいや、この段階で王子自身も7歳でしょうに、なに判断丸投げしてんねん王様。
あと、「特殊な事情」っていうのが、本編で詳しく語られてないんだよね。
多分、ゲームでの会話や、やり取りで察するに、王子に呪いか何かが有るんだと思うんだけど、本編で呪いを解くイベントなんて無かったし、伏線ばかりで結局「特殊な事情」とは何か。の答え合わせが無かったのよね。
私がそのイベントを逃しただけかと思いきや、友人も結局分からなかったみたいなので、
脚本家の伏線回収忘れなのか、イザベラと婚約させるためのご都合的な展開なのかわかんないけど。
この辺りは、王子の鑑定が出来れば、呪いの有無は判断できそうかな?
なにはともかく、その「特殊な事情」とやらと、王様が王子に判断丸投げした事で
王子は”当時の”イザベラが、王子に対する恋心以外に他意が無かった事も有り、
他人に興味が無い王子は、別にどうでもいいや、と婚約を了承。
王子様よ、そこはもう少し考えよう?
未来の奥さんの事だよ?
長い人生を共にする人だよ?
他人に興味が持てないなら、興味が持てる人が現れるまで、もう少し粘れよ。
と、とにかくイザベラは王子の婚約者の座を勝ち取り
その後、絶大な権力を誇るロッテンシュタイン家に取り入ろうとする者達が、
第二王子の婚約者であるイザベラを取り巻き、彼女を称賛し甘やかしていくうちに
イザベラは傲慢で我儘な令嬢へと育っていく。
ゲームが開始される魔術学院入学時点には、
傲慢で選民意識の強いイザベラに対して、王子は興味が無く、無関心。
だが、ゲームが進むにつれ、王子は、子爵の庶子で平民の主人公に興味を示す。
その事に選民意識が強く、平民を蔑んでいるイザベラは激昂し
主人公に対して、濡れ衣を着せ、孤立させる等の嫌がらせや、
誘拐させ、奴隷が禁止されているロゼリアル王国で、闇の奴隷オークションで売り飛ばそうとするといった、犯罪行為など、多数の非道な行為を主人公に行うが、
その度に、第二王子や他の攻略対象によって、阻止される。
思い返せば、ゲームのイザベラ本当に酷いな。
私が前世の記憶を思い出すまで、普通かつ、少しだけ転婆なお嬢さんだったのに
そんな立派な悪役令嬢に育て上げるって、取り巻き連中もやばいな。
兄達が魔術師士団や近衛騎士団といった、王国を守る立場にいるのに、その目を掻い潜り
15歳で闇の奴隷オークションに関わりを持つって・・・
どんな人脈と繋がりが有れば可能なんだよ・・・
まぁ、そんな感じで悪役令嬢道を突き進んだイザベラは
学院の一年目終了時、第二王子ルートでは、公開断罪・婚約破棄、追放または処刑され、ロッテンシュタイン家の爵位が降格される。
ちなみに、魔術師団長子息ルートでは、公開断罪、第二王子に婚約破棄され、追放または中年商人の後妻になる。
既に商人のウルシュ君の婚約者に成っているという、設定からかなり外れたイザベラに成っているとはいえ油断は禁物ですっ!!
ウルシュ君の実家のスネイブル商会が、大陸で力を持っている大商会の一つとはいえ、爵位を持たない平民です。
いくら周囲に周知されているとはいえ、王命によって、この婚約を無かった事にする事は容易いのですよ。
そこでウルシュ君と共に決めた、今日の目標は
①第二王子とのエンカウントを避ける。
ただしコレは、ウルシュ君から無理そうだと言われたので、"出来れば"っていう感じ。
エンカウントした時の為に、腹をくくっておこう。
②王妃に気に入られない。
王様はロッテンシュタイン公爵家が、権力を持ちすぎているのを知っていて、私が商人次男に嫁ぐ事に賛成しているらしく、婚約祝いも贈ってくれたけど
王妃様は、第二王子の後ろだてに成りそうな、権力を持った家の令嬢と第二王子を婚約させたがっているらしいので、要注意なのだ。
③第二王子に気に入られない。
全てに関して無感動・無関心な王子だから、そんな王子に興味を持たれたら、王妃様が大喜びで婚姻話を持って来そう。
④攻略対象者の王子のスペック・ステータスを含む、情報の収集。
コレはウルシュ君からの指令。
ウルシュ君が言うには、第二王子との婚約さえ避けられれば、そこまでゲームシナリオの強制力は恐れなくて良いらしい。
むしろ、第二王子との婚約が避けられたら、『ゲームシナリオの強制力は無い』と判断しても良いくらいらしい。
まぁ確かに
私とウルシュ君(物理担当/頭脳担当)二人で力を合わせれば、王命さえ無いなら後はどうとでもなりそうだもんね。
ただ、第二王子との婚約が無くても、学院に入った後の事を考えると、一応の対策はしておいた方が良いだろうという事で、情報収集をお願いされました。
情報収集など動くのは私。
それを元に考えるのはウルシュ君。
相棒として、なかなか良い組み合わせじゃなかろうか?
さて、わたくし頑張りますよっ!!
気合を入れ直したところで、王宮に着き、お母様が鎖の鍵を外して下さいました。
やっと自由の身です。
お母様は鍵と鎖を外すと、そのままプンプンしながら、ドレスのシワを伸ばそうとしてくれます。
「もうっ!!ダイモンったら、妹相手に大袈裟ね。野獣じゃ無いんだから、鎖まで巻くこと無いのにっ!!せっかくのドレスにシワが寄っちゃったわ。」
お母様、もっと言ってやって下さい。
出来れば後日、ダイモンお兄様に直接言ってやって下さいっ!!
お兄様ってば幼い6歳の妹を、野獣どころか地龍扱いですよっ!!
6歳の幼女を地龍扱いする近衛騎士なんて、多分ロゼリアル王国が始まって初ですよっ!!前代未聞ですよっ!!
一体、お兄様ってば、どうしちゃったんでしょうね?
私がそう言うと、お母様は
恋する乙女は、時々思いがけない行動を取ったりする事があるのだから、ダイモンお兄様はもっと女の子に理解を深めるべき
鎖で行動を縛りつけるなんて、とんでもない!!と同意してくれた。
やったねっ☆お母様は私の味方だっ!!
お父様もお兄様も、私の行動にとても厳しいから、お母様が味方に成って下さると嬉しいですっ!!
ドレスのシワを伸ばし終わると、お母様と馬車を降りて王宮へと入っていきます。
今日のお茶会は、温室で開催されるそうで、従者の方に案内されました。
「イザベラはお城の温室は見た事が無いでしょう?」
「えぇ、お母様。きっと素敵な温室なのでしょうね。」
ヨソイキなので、お嬢様っぽく、お淑やかに話そうとしてみるけど、これで合っているだろうか?
最近ウルシュ君と、普通の子みたいに話しているから、お嬢様言葉を忘れかけてるんだよなぁ。
「とっても素敵な温室なの。イザベラもきっと気に入るわ。私がココで暮らしていた頃の一番のお気に入りの場所だったのよ?」
そうでした。お母様は元王女様でした。
お父様と結婚するまで、このお城に住んでいたのか・・・・
お母様の実家がお城って、なんか凄いな。
どう凄いかと聞かれると、よく分かんないけど、凄いな。
イザベラ「っていうか、やれるなら始めからやってよっ!!強欲王さんっ!!」
強欲「やらなかったのは、チュートリアルの為です。」
嫉妬「私が大罪王スキルにも発動可能な事を、学べましたわね?」
強欲「さぁっ!!他の大罪王を見つけ出し、その力を手に入れるのだっ!!強欲にっ!!」
傲慢「我ら以上の強さは許すまじっ!!大罪王の力を全て掌握せよっ!!傲慢なまでにっ!!」
暴食「さぁっ!さらなる高みへ!!大罪王の力を貪り喰らうのだっ!!暴食を尽くせっ!!」
嫉妬「・・・・・。貴方達お黙りなさい。働くのは私ですのよ?」