ほ、ほどほどにね?
ふぅぉぉぉぉぉぉ・・・
いつか自分からカミングアウトしようと思っていたのに、ばらしおったな強欲王さんよ。
結果的に、予定より早くカミングアウトする事に成りましたよ。
そしてその結果はと言うと・・・。
「つまり、イザベラは前世で、ゲーム感覚でドラゴンとか倒したり、ダンジョンを踏破して、財宝強奪してて、そんな生活で得ていたステータスと前世の記憶を引き継いだまま、転生して来た。って言うことかなぁ?」
「えっと・・・違くてね?ゲーム感覚でドラゴンとかを倒していたんじゃ無くて、ゲームなの。あと、ダンジョンはダンジョンなんだけど、メインは罠のパズルを解除するミニゲームで、財宝は達成報酬として出現するの。決して強奪じゃないの。」
「ダンジョンの罠の解除をミニゲーム扱いできるって、凄腕だったんだねぇ~。イザベラ、前世でどういう職業に就いてたの?冒険者?」
「違うの~!!そうじゃないの~!!本当にミニゲームなの!!あと職業はさっき言ったように、受付嬢みたいなので、ゲームはあくまで趣味であって、仕事でも職業でも無いのっ!」
「う~ん。確かにさっきも聞いたけど・・・”姿を見せずに、遠くから全国に、声だけで受付対応する受付嬢”が本業で、その仕事の合間に趣味でドラゴン討伐しに行くって・・・・報酬的にも労力的にも、本業と副業が逆転してないかなぁ?」
だから違ーーーーーうっ!!
仕事の合間にゲーム感覚で、ドラゴンを一狩り行く受付嬢って何じゃいっ!!
誰か助けてっ!!
私の語彙の無さと、説明の下手さで、前世について正しく説明が出来ないっ!!
特に、ゲームでポイント稼ぐためのミニゲームについて誤解が大きいっ!!
今世で、HPやMPが実際に高くなっているせいも有って、前世で現実的に、ドラゴンとかの巨大モンスターを狩って来たと思われているっ!!
ゲームだと言っても、スポーツや賭け事的な意味合いのゲームだと思われて、正しく伝わらないっ!!
誰かっ!!誰かお客様の中に、20XX年前後の日本の状況と、日本のサブカルチャーについて、異世界人に詳しく説明できる方はいらっしゃいませんかーーーーーーっ?!
「え~と・・・。どうも僕、上手く理解できてないみたいだねぇ~。」
「いや、違うの・・・・私の説明が下手なの。自動車保険の見積もりについての説明なら出来るんだけど・・・。」
だけど、自動車どころか、車の免許すら無いこの世界において、自動車保険の案内を役立てる機会が思いつかないわ。
「私が闇雲に説明していっても、意味不明に成りそうだから、ウルシュ君が今の説明で気に成った事について質問して、それに私が答える形式にした方が、上手く伝わる気がするんだけど、どうでしょう?」
「そうだねぇ~。そうしようか。じゃあ~、イザベラが前世で、来世で起きる数パターンの出来事について、見て来た事からにしようか?」
乙女ゲームのルートについてですね。
私としても、今世で一番重要になって来る事なので助かります。
私の破滅ルートに一人で立ち向かっていく自信が無いので、ウルシュ君が協力してくれたら、何よりも心強いです。
そうして数時間かけて、ウルシュ君の質問に答える形式にしたら、サクサクとうまい具合に情報整理が出来て行った。
・・・私、前世でアラサーだったのに、6歳の男の子に知能で負けている気がする。
「色々、まだ分からない事も有るけど、イザベラが今一番怖い事が、その未来視の強制力って事だねぇ?」
「はい、そうです。未来視の出来事に外れた事をしても、何かしらの世界の意志みたいなのが働いて、ウルシュ君と結婚すると言う望みが果たされないんじゃないか?って言うのが、一番の不安です。」
そう、そこなんだ。
私が一番嫌なのは、何を置いても、ウルシュ君と結ばれなくなる事なんだ。
「そっかぁ~。・・・ふふふ。大丈夫だよぉ?絶対そんな事にはさせないから。僕もイザベラが手に入らなくなるのは絶対に嫌だからねぇ。」
「ありがとうウルシュ君。私が無事にウルシュ君に嫁げるように、協力をお願いします。」
「所で、最後の質問なんだけど、良いかなぁ?」
そう言うと、ウルシュ君は椅子に座る私に近づき、目の前で膝立ちになると、私の頭を両手でガッチリ固定して下から覗き込んで来る。
ウルシュ君っ!!近いよっ!!顔が近いよっ!!
嬉しいですっ!!ご褒美ですっ!!このままチュウしたいっ!!
でもなんか、纏っている空気が怖いよっ?!何か怒ってるのっ?!
「ななななんでしょう?」
「イザベラが前世で見たって言う、未来の僕と、今ココに居る僕。どっちが好きかなぁ?」
「え?・・・・う~ん。今のウルシュ君かな?」
好きになった切っ掛けは前世の記憶からだけど、今はウルシュ君の時々黒くなる性格とか含めて、生身のウルシュ君が好きかな?
単純に、前世の好意に、今世で良く知った分の好意が上乗せされているだけの気もするけど、確実に今の方がウルシュ君と言う人間が好きだと思う。
ゲームキャラとしてでは無くて、生身のウルシュ君が。
「そっかぁ、良かったぁ~。あと、イザベラが僕を通して誰かを見てる気がしてたんだけど、それが誰かはっきりして良かったよぉ。未来の僕を見てたんだねぇ・・・。でも、未来の僕が恋敵で、更に錬金術師としても好敵手って言うのは複雑だなぁ。結局、自分との戦いになるわけだねぇ~。」
「錬金術については・・・未来のウルシュ君が錬金術で創った物も、前世から持って来ているんだけど、参考に見る?」
更に魔改造がされそうで怖いけど、教材に成るんじゃないかしら。
「それも、良く分かんない所なんだよねぇ。何で前世のイザベラが、今世で更に未来の僕から商品が買えるのかが、どう考えても分かんないやぁ。」
「その辺りは私にも分からないけど・・・。ちなみにウルシュ君がこの前飲んだレモネードも、ウルシュ君が創ったものです。」
未来のウルシュ君が創った飲み物を、過去のウルシュ君が飲むって言うのも変な話よね。
「イザベラの【クローゼット】って言う時空間魔法が、時を超えているからって言う理由で、無理やり納得するしかなさそうだねぇ・・・・。良いなぁ時空間魔法。何としても習得しよう。」
ウルシュ君なら実際に習得できそうだよね。
スキル取得率上昇とかいう、何か狡い感じのスキル持っているし。
「あと、未来の僕に教えを乞うみたいで気に入らないけどぉ、せっかくだから、未来の僕が創ったものを見せて貰おうかなぁ?」
そこで、未来のウルシュ君の傑作であろう”Sレア”や”レア”を取り出す。
更に、大量にダブっている品物をプレゼントする。
調べたり勉強するためには、解体しても良い、自由になる物も必要だよね。
それに、これらのアイテムについては、何で私がそんな物を所持しているのかと、疑問に思われそうで使用できずにいたんだけど
もしウルシュ君が創れる様に成ったら、私が所持していても不思議じゃなくなるから、人前で使用出来る様に成るんじゃないかしら?
次々と【クローゼット】から取り出されるマジックアイテムを、ウルシュ君はじっくり観察している。
”レア品”には、絶句していた。
「ねぇ、イザベラ・・・・。これ、本当に未来の僕が創ったのぉ?」
「そうだと聞いているよ?複数取り扱っていたから、自分で創らなきゃあんなに所持・販売出来ないと思う。」
「そっかぁ・・・・・・。ふ・・・・ふふふふふ。絶対に超えてやる。僕のイザベラが好きになったって言う、その男を絶対に超えてやる。」
いや、ウルシュ君、”その男”って、並行世界の君なんだけどね?
「ほ、ほどほどにね?現時点で、私は今のウルシュ君の方が好きなんだから、無理はしなくても良いからね?」
嫉妬さん「私が居ましてよ・・・」 ←スキル取得率上昇より、チートな人。